2002年9月

4日(水)
 まずは合宿の話から。参加者は静大のWさん、法大のKさん、自動車のYさん、コンピューターのIさん、石炭のYさん、家電のNさん、在日企業のHさん、僕、それにオブザーバーとして武田先生でした。1泊2日で7時間を越える勉強会は、さすがに疲れました。でもそれよりも、日本酒が効きました。そろそろ日本酒は体力的に、かなりセーブしなければならないと自覚。まぁ、睡眠時間が短かったのもあるのですがね。

 武田さんの報告は、橋本先生の業績紹介と、それへの批判でなかなか聞き応えがありました。11月の経営史学会関東部会の事前報告だったので、興味がある方は当日どうぞ。それ以外の報告はそのうち活字になることでしょう。

 合宿は伊豆高原でしたが、高原の芝生は気持ちよかったです。酔い気を飛ばしてしまうくらいに。でもふとした疑問が。東京から伊豆高原へ行くのに、新幹線と踊り子号を使う選択肢があるのですが、所要時間が短い新幹線の方が、踊り子号より運賃も安いのです。乗換えがあるか否かで価格が決まってるのかなぁ。すっげー非合理。帰りにはついつい鯖の干物を買ってしまった。何気に鯖とか鯵とか鰯とか、青い魚大好きなんですよね。

 話はグルグル前後しますが、宿は貸し別荘でして、23時までは温泉も沸き出て、すごく良いところでした。ただ、高原というものの、さすがに伊豆はそんなに涼しいところではなかったです。避暑になるかと思っていた当ては外れましたが、2時代前くらいの日本の夏は堪能出来ました。窓を開けて蝉の声を聞きながら過ごす夏のひと時、かなり贅沢な時間です。

 で、今日は先述のHさんと、企業株主(で良いんだろうかチョと不安)のKさんと、後楽園のビアガーデンへ行って来ました。この夏初めてで多分最後のビアガーデン。そろそろ夏も終わりだなぁ。

5日(木)
 住基ネットの番号が届かないので、文京区役所に電話した。もう郵送済みとのことで、それでも未着なんだと伝え、再送してもらうことになった。よくよく話を聞くと、僕のアパートの住所は正しいのだが、部屋の号室が抜けており、多分そのためどこかで消失してしまったらしい。で、番号が漏れている危険があるので、番号を変えてもらえないかと尋ねると、最初は出来ないという回答。それでも不安だから、区役所へ行けば変更できますねと言ったら、電話は保留となり、再び戻ってきたときには、番号を変えて再送しますとのこと。まぁ、どっちにしろ怖いので、文京区へ番号変更へは行くつもりですがね。

10日(火)
 9月11日がやってくる。9月分の奨学金の振込み日、家賃払って、カードの入金してと、忙しい日になる。いやそれは置いておくとして、あのテロから早くも1年が過ぎた日である。思い起こせば昨年の9月11日、珍しくネットも繋がず、家でボーっとテレビを付けて、何故だかニューステーションなど見ていた。そしたら緊急ニュースで、ニューヨークの世界貿易センターにジェット機が突っ込んだという一報が入り、これは大ニュースだと急いでNHKにチャンネルを変えて、その後の情勢を見守っていた。

 そうしたらLIVEの文字と共に、冗談でなくまさに今、黒煙を上げている塔が目に入ってきたのである。マジかよマジかよと思いつつ、呆然と画像に見入っていたら、何やら向こうの方から飛行機がフラフラやって来て、塔に激突していくシーンを目撃してしまった。テレビ画面の中からは、今のはVTRなのか、LIVEなのか混乱している声が聞こえるが、画面の表示は明らかにLIVEのままで、画面が切り替わったシーンも無かったため、2機目が突入したんだということが即座に理解できる。

 で、2機目が突入しているということは明らかにテロ。それと共に、他にも何機かハイジャックされているという情報や、世界貿易センターで仕事をする邦人情報などが慌ただしく流される。テレビの情報だけでは物足りず、ネットの方も接続してみたり、そうこうしているうちにペンタゴンが攻撃されたという報道や、エアフォースワンや自由の女神も攻撃対象であるという情報まで流れてくる。また数日前からネット上では、日本国内の米軍施設が狙われているという情報が飛び交っていたが、実際国内の米軍・自衛隊施設の警備が強化されている報道も入り、こうなって来るとテレビを見ている身も緊張してくるわけです。

 そうこうしていると、今度はテレビから貿易センター崩落の映像が飛び込んできて、避難中の人々や救助に出かけた消防士の安否は絶望的になっていく。この頃になると、携帯メールで友達と井戸端会議的に情報交換をし、どのHPが詳しいとか、どのテレビ局でどんな情報が流れたかが噂されたのであるが、そのうち2つ目の塔も崩落し、死者の予測は5〜7千人ほど、未だ十数機がハイジャック状態という、今から考えればかなりの未確認情報も錯綜していた。

 結局は小泉さんの深夜の記者会見も目撃し、続々と入ってくる世界首脳の声も聞き、崩落後も燃え続ける貿易センターの映像を見ながら、各新聞社のHPの記事を一通り確認し、朝刊をほぼ見終わったところで眠りについた気がする。さて、このテロを切っ掛けとして何が変わったのか、その辺のところはまた次の機会にでもまわしましょう。

12日(木)
 のどが痛い。昨日、知人が悲恋を紛らわすために幸せな歌を歌うぞと言い出し、一緒に飲んだ後で歌ったのが響いた。何がいけなかったって、やっぱり27にもなって〈ロマンスの神様〉を声を張り上げて付き合うもんじゃない。もう声帯も若くないんだし。でもやっぱり、自分の恋愛に谷があれば、誰かに憂さ晴らしを付き合ってもらうんだから、他人の憂さ晴らしは最近付き合うようにしている。昔みたいに話題そのものへの興味はなくなっているのだが、何となく捨て置けない。俺も年とったよなぁ。

15日(日)
 年とったネタをもう一つ。年下の奴らと飲むときに、「オヤジですよね」とか、「もうちょっと若くしたらどうですか」とか言われているうちは、はいはい、という程度で済ませていたのであるが、「宮地さんってまだ若いですよね」って言われた時はかなりショックだった。その「まだ」は何だ!「まだ」は!しかも、「若いですね」って、そこまで気を使ってもらう必要なんてないやい!ってなぐらいにショックだった。別に君らの年齢に迎合しようとも思っていないしと。

 多分若い子達は、精一杯言葉を選んでいるのだろうし、「若い」っていう単語が誉め言葉になると思っているから使うのであろうが、僕はいつも年相応でいたいと思っている。20には20の、25には25の、30には30の、それぞれの持ち味っていうのがあると思うし、無理に自分の年齢に比して若く振る舞う必要も、無理に背伸びして大人な振りをする必要も無いと思う。

 勿論この先、35とかになっちゃった時にも、今と同じ感覚でいられるかはわからない。だが取り敢えず今のところは、27歳(もうすぐ28ですけどね)ってこんな感じか、って言うレベルの在り方が出来ていれば、一先ず良しとしようと考えている。

 でも35くらいになって中年の仲間入りすると、ショックはでかいんだろうなぁ…てか、33辺りからの、中年へ向けたカウントダウンがヤダ。。。

17日(火)
 昨日の話ですが、自動車のA氏や紡績のO氏、在日企業のH氏などと共に、プリント配線板のM氏のところへお邪魔し、軽く飲んできた。M氏お手製の麻婆豆腐やタイカレーなど、趣味で作っているとは思えない味わいで、とっても堪能させてもらいました。下手に居酒屋とか行くよりも、よっぽど美味しいおつまみとお酒を楽しめました。

 で、その場でOさんが、この映画広東語だから言葉は意味不明と言いつつ、日本語の字幕を見るんだと言って持って来ていたのが〈食神〉というビデオでした。そこで、みんなで飲みながら鑑賞会。周星馳(チャウ・シンチー)が監督兼主役という、話題の〈少林サッカー〉と同じ路線である。ただ、こっちの方が5年も前の作品ですがね。他には〈少林サッカー〉でも共演している莫文蔚(カレン・モク)も出演している。かなりの汚れ役でだが。

 映画には色々な側面があるだろうが、芸術性や社会性を一切取り除き、ただひたすら笑いや娯楽を追求するという姿勢も、当然の如く存在するであろう。言うなれば昨今のハリウッドと共通の性格を読み取れ、しかも、下手に賞レースとかが絡まない分だけ、より純粋に娯楽性を追及していると思われる。本当にバカでバカでバカ以外に表現の仕様がないが、とにかく単純に笑える。これと比較するならば、〈ウォーターボーイズ〉などが、如何に緻密で繊細なストーリーなのかと思わされる。とにかくくだらなさを堪能する作品なので、斜に構えた人間は見ない方が良い。

 映画っていうのは、同じく2時間程度を拘束されるのであるが、〈チョコレート〉みたいな作品もあれば、〈食神〉みたいな作品もある。それはベクトルは違うが、絶対値としては、それぞれ素晴らしい作品であろう。多分どちらしか存在しないならば、それはとてもつまらない未成熟な世界なんだと思う。どちらもが存在し、どちらもを見ることが出来る。そんな幸せを噛み締めてみるのもいいだろう。

 あと今日は本来なら拉致ネタ・北朝鮮ネタでも語るのがいいのだろうが、眠いのでまた次の機会に。

18日(水)
 今日はまた京都のJ氏が上京したので、日本史のT氏とM氏、近世のN氏、東大出版会のY氏等と、偽チムニーで飲んできた。まぁ話題はいろいろあったが、『日本経済史』3巻が出版されない理由などを聞いてきて、とても面白かったのだが、オフレコだと釘をさされてしまったので、ここで公表するのは辞めておきましょう。

 で、更に深刻な話として、経済史系の本が最近は売れないとのこと、取り敢えず経済史に席を置いているものとして、それを捨て置くわけにもいかず、まぁ簡単に話を聞いていたのである。ただ、よく考えてみれば、最近の東大出版会の本で、院生でも買いたいと思わせる本なんて、果たしてあったのかという疑問は確かに浮かぶ。予算なんて限られているので、緊急性がない本は、後々買っても問題ない本は、後回しにされるのは必然である。どうしても必要な本、もしくは本当に話題になっている本でもなければ、急いで買おうという気にはならない。

 それでは、どんな本ならば買うのかと聞かれたので、あくまでも2種類ほど述べておいた。一つは、沢井先生の工作機械の本。鉄道車両が先に出たが、沢井先生の一番面白いのは工作機械であろう。それが出れば、多分売れるのではないかと答えておいた。あと、最近注目の若手は誰かということで、九大の有馬門下のN女史などを勧めておいた。詳しくは知らないが、学会報告はそれなりに面白かったし、論文も興味を引かれた。阪大に行ったNさんなどはもう勧める必要も無いので、取り敢えずそんなとこではないであろうか。(あぁ、先輩を勧めない俺は悪いやつ。。。)

 聞いていると、出版社の情報というのは、学界自体の情報よりも、2年以上遅れるとのこと。まぁそんなもんかと思いつつ、反面、研究者同士の噂の方が、出版社の情報網を凌いでいるのも面白い。まぁ情報には疎い方だが、かろうじて後者に属する身だから、特にそう感じたのかもしれないですけどね。

19日(木)
 小泉訪朝前、拉致事件の被害者達の様子は、わざわざ首相が出向くのだから、それなりに明らかにされるだろうと楽観視していたが、出てきた答えは8人死亡というかなりショッキングなものであった。拉致られた時に40代50代だった方はともかく、10代20代で拉致られた、生きていれば40代くらいの人たちまでがなくなっているとは、全く想像の範疇を越えていた。

 北朝鮮では、40歳くらいで6割が死んでいるのは、それほど不思議な数字では無いという意見もあるが、よど号ハイジャック犯達が、時折テレビで映るように、のうのうと安穏と暮らしている姿を見れば、拉致られた方たちが、真っ当な暮らしをさせてもらえていなかったと言うことが分かり、非常に心が痛む。また当然の如く、思想教育に失敗して、殺されてしまったのかもしれないという疑惑を抱く。

 そんなこんなで、この訪朝を成功なのか失敗なのかと断じるのは、非常に難しくなってしまった。今までの愚かな社会党や、腐った金丸訪朝団などと比べれば、小泉さんは成果をあげて帰ってきた。ただ、事実があまりにも残酷であるため、小泉さんの成果を、成果として評価することは、同時代的にはなかなか困難であろう。もうすぐ補選も待っているが、ここでも自民が勝つのは難しいだろうし、結局今回の小泉訪朝は、小泉さん自身にはあまりプラスにもなることなく、陰鬱な空気だけを漂わせることになるんでしょう。

 ただこうなって来ると、国交回復して、賠償金払って、北朝鮮の市場経済化に備えるというのも難しくなりそうですね。拉致られた人々8人死亡という事実を前にして、国民の多くは北への援助や補償などは、なかなか了解できないことでしょう。個人的な意見としては、甲午農民戦争や三・一事件弾圧などを含め、賠償すべきとこは賠償した方が好ましいと思うのですが、一般の感覚からは、昔に死んだ多くの他国人よりも、最近死んだ少数の国民に関して、より同情するのは当然でしょうからね。

 ですがやはり、北朝鮮が日本の安全上のネックになっているのは事実な訳で、あの国が突然暴発することがないように、硬軟織り交ぜた外交が、今後もより要求されることとなるでしょうね。現在の体制のままなら援助や賠償は危険ですが、かつての中国のように、政治体制や経済体制が、次第に変化していくならば、積極的に金を渡して、日本の経済圏に取り込んだ方が有利でしょうから。

 それにしても政治家っていうのは向き不向きがあると感じた。小泉さんは、内政に関しては、郵政改革も中途半端だし、道路改革も道半ばだし、ペイオフ解禁はブレまくるし、緊縮財政も守りきれるか怪しいし、国会対策も上手とは言えまい。しかし、外交ではコンスタントにある程度の成果をあげてきている。これは交渉相手の違いによるのかもしれないと思うのだが、より少数者の利益を代弁する者の方が、総合的な利益を考えない分タチが悪いといううことか。

25日(水)
 ははは。ふられちまった。1年3ヶ月くらい付き合ってた相手に。今の気持ちはいっぱいいっぱい。かろうじて頑張っている。でも、前に一度すっごく喧嘩して、直後に仲直りした時、俺、こいつと付き合えたことは、それだけで幸せだったよなって思った。そして、再び別れを切り出されたら、気持ちよく了解しようってね。まぁ、いろんな恋愛あるだろうけど、今回の恋愛はとても俺のためになったよ。ピシャっとふられたけど、感謝の気持ちかな。ふる方だってどうやってふるか悩んだろうし。

 いい恋愛させてもらったよ。楽しかった。面白かったし、いい経験もたくさんできたし。過去の傾向と対策から学ぶと、3ヶ月前後はひきづるはず、ばっかだね。ばっかだね、ばっかだ。せっかくいい恋愛させてもらったんだから、ステップに次ぎ行けば良いのに。とっとと。はぁ、顔見ているだけでも幸せだったんだよねぇ。って、未練たらしいセリフは辞めておこう。はぁ。なんでもっと上手い恋愛できなかったんだろうね。俺って。未熟だねぇ。また一人身生活が始まる。久しぶりの独身生活だから、ちょっとツライかも。

30日(月) 
 金木犀の香りが清々しくて、そのうちHPに載っけなきゃって思っていたんだけど、今日は台風の影響で秋雨前線が活発化し、生憎のお天気となってしまっています。自転車で風を切って走っているときの、街中にあふれる金木犀の香りは、東京は殊に強いような気がするのですが、他の都市と比べてどうなんでしょうかね。

 9月も今日で終わりですね。めっきり朝晩冷えるようになってしまいました。もう半袖はそろそろ仕舞わなければならないでしょうか。秋ですね。早く台風が去って、澄み渡るような秋の青空が見たい気分です。