2004年6月

3日(木)
 たまには、友達に聞いた面白い話しでも(でも文字にしちゃうと面白くないかも)。子どもって言うのはとっても柔軟な発想をするっていう話で、「冷蔵庫に象を入れるにはどうするか?」っていう設問に答えろっていう問いです。大人だと「冷蔵庫の蔵を象に変える」とか、「象を切断する」とか「象が入る大きな冷蔵庫を造る」とか、まぁ可愛くない答えを色々と考え付く訳ですよ。ところが子どもは3つの行動でこれを解決してしまうんですね。それが「@冷蔵庫を開ける A象を入れる B冷蔵庫を閉める」です。ね、柔軟な発想しているでしょ。

 象の大きさに悩んだりして立体的に物事を捉えるって言うのは、もう様々な事を知ってしまっている大人の発想であって、図鑑や絵本やテレビで見ている限りの象って言うのは、明確には大きさが意識しづらく、その限りにおいては、「冷蔵庫を開け、象を入れ、冷蔵庫を閉める」その行動で矛盾無く解決してしまうらしいんです。

 それでは、冷蔵庫にカバを入れるにはどうしたら良いのでしょうか。これはヒントを貰ったのですが、今回は4つの行動で出来るっていうんですね。僕はちょっと考えて、「@冷蔵庫を開ける Aカバを入れる Bカバの口を閉める C冷蔵庫を閉める」って答えました。もぉ、質問した方が大笑いしていたのですが、どうやらそれは正解ではないということ。でも、我ながらこの答え素敵だと思っているんですけど、どう思われます?とっても子どもらしいアイデアだと思うだけどなぁ。

 で正解、っていうか多くの子どもが答えるらしい発想なんですが、それは「@冷蔵庫を開ける A象を出す Bカバを入れる C冷蔵庫を閉める」らしいんです。いやぁぁぁ、そう言えばさっき象を入れた。確かに象は入れたが、まだ入っていたんかい!!!って大人は答えてしまうらしいんです。もう別の問題に移っているからと言って、さっきのは一度リセットしてしまうのは、色々な経験によってそう切り替えるだけであって、子どもの頭の中では色んなものが連続しているということ。なんか目から鱗が落ちましたねぇ。子ども心を失っている自分にちょっぴり反省。

 ところで小泉訪朝に関して、過去の2つの外交との比較が最近しばしばなされています。ひとつはポーツマス条約の講和から戻った小村寿太郎を迎える日比谷焼討。もうひとつはミュンヘン会談から帰国して熱狂的に迎えられたチェンバレン。前者は後世賞賛される妥協であり、後者は後世罵倒と非難の嵐に包まれる妥協なんですよね。同時代的な外交評価なんて当てにならないっていう例として2つが出されるのですが、小泉訪朝っていうのどうなんでしょうか。

 今回の場合は、前回の訪朝での賞賛とは違い、一方では賞賛を受け、一方では批判をうけるという、とても評価が定まらない外交であります。相手が日本に核とミサイルを向けている中、そうそう強硬外交だけを出来るわけも無く、この前の竜川の列車事故への国際支援として、韓国だけでなくアメリカも援助を決め、日本も何らかの支援をせざるを得ない中で、その援助と絡めて5人を連れ戻した事は評価されるべきだと思っています。特に、金丸訪朝団のように現金化されてしまい国民に届かない白米ではなく、小麦やトウモロコシ中心の本当に北朝鮮国民に届く食料が援助される事は望ましい。

 今まさに飢餓で死んでいく人々がいて、しかしそこへ援助をすると対日本攻撃のための軍事費に化けてしまう、そう言うジレンマの中で、白米ではなく小麦やトウモロコシを支援する事でそれをクリアするというのはなかなか上手いなぁって感心してしまいます。外務省が珍しく外交をしている驚きでしょうか。まぁ今後の10人やら特定失踪者やらがどうなるかも分かりませんし、小村寿太郎やチェンバレンの外交評価が逆転していった歴史も知っていますからなんともいえませんが、まぁ、現状ではこの件に関しては良くやったと思いますねぇ。

 ところで最後にもうひとつ問題。キリンさんが5歳の誕生日を迎える事となりました。そこで友達の動物さん達を招いて、誕生日パーティーをする事となりました。たくさんの友達に集まってもらいたいキリンさんは、シールを貼ったりリボンを付けたり丸文字書いたり、とっても可愛らしい招待状を作り、みんなに郵便で送りました。すると、ある動物さんは喜んで参加しますよっていう返事を返したり、ある動物さんはあぁその日は親戚の法事だからごめん欠席で、とか、返事を返してくれたのです。ところが、一人(一種類)だけ返事を返してくれない動物さんがいました。さて誰でしょうか?

 僕は「手紙を食べちゃった山羊さん」だと思ったのですが、どうやら違ってしまったようです。友達は「手紙が読めないモグラさん」と答えたのですが、これも間違いでした。「間違って自分宛に出してしまったからキリンさん自身」っていう答えもありましたが、これも不正解です。「郵便は使わない主義のペリカンかクロネコ」っていうのも違います。さぁ勘の良い人は分かったと思いますが、そうカバさんが正解ですね。ほらさっき冷蔵庫に入ってまだ出てきていないでしょ(笑)

7日(月)
 レーガン元大統領が亡くなりました。享年93歳と言う事です。史上最年長で選出された大統領として有名でしたが、調べてみたら、1981年から89年まで大統領職にあったと言う事で、僕が7歳から15歳までアメリカ大統領だったんですねぇ。どうりでアメリカ大統領と言うと、レーガンのイメージが強かったわけだ。それこそ僕自身の同時代史って言うのは、レーガンアメリカ大統領・サッチャーイギリス首相・ミッテランフランス大統領・コール西ドイツ首相・ゴルバチョフソ連書記長・中曽根日本首相辺りから明確には始まるのですが、なんかその時代の主役が一人(しかも中心人物が)没してしまったと言うのは感慨深いですねぇ。

 ベトナムで傷ついた西側の大国アメリカと、アフガニスタンで傷ついた東側の大国ソ連が、中距離核戦略の削減に踏み出し、そこからあのドラスティックな東欧ビロード革命による独裁者達の末路へと繋がって行った時代なわけで、ちょうど多感な中学生時代でしたから、日々のニュースが鮮烈であり強烈でしたねぇ。ベルリンの壁の上に人々がよじ登り、ハンマーでコンクリートを打ち壊す、ブランデンブルグ門に人々が詰め掛け、東西の行き来が自由に行われる、昨日NHKアーカイブスでヨーロッパピクニック計画も再放送していましたが、あの高揚感って言うのはなかなか言い表しづらいですが、独裁者に対する民衆の力って言うのを目の当たりにし、感動していたものです。

 そんなレーガン元大統領も、アルツハイマー病と10年の闘病生活を送っていたんですよね。要するに現状では不可逆的なボケな訳でして、その姿を晒さないようにっていうナンシー夫人等の意向もあり、最近はとんとその情勢を耳にする事も無かったのですが、いざ訃報に接してみると感慨深い。アメリカ国内でも、昨今の中東外交の失敗によって自信が揺らいでいる中で、ベトナム以来自信を失い、前職カーターの在イランアメリカ大使館事件の失敗もあったのを、強いアメリカに引き戻した彼の評価が高まっていたとかで、アメリカ的には強いアメリカの象徴が亡くなったと言う事なんでしょうねぇ。ただ、レーガンの時の敵はソ連やイランと言う明確なる国家だった訳で、今更レーガン時代に郷愁を抱いてもアメリカ的にはどうしようもない筈なんだが、まぁ当事者的にはそうなんだろうなぁ。

 しかし、思い出すべきは、米ソの対立っていうのはアメリカが軍事的に勝利したのではなく、先に財政的に耐えられなくなったソ連が崩壊していったのであり、独裁的な体制への民衆の反発が勝利したわけで、今のアメリカを見ていると、冷戦が何故終結したのかも踏まえないままに、悪戯に軍事に依存しているとしか言い様が無いんですよね。強いアメリカを唱え、悪の帝国と戦ったはずのレーガンが、何気にかなりの妥協によって冷戦を終わらしているから、なかなか見えづらくなっているのかもなぁ。

11日(金)
 久しぶりに体調を崩してしまいました。梅雨に入って天気が変わるのに、十分に対応出来ていなかったみたいだ…体の節々が若干痛いんですよね。やな感じ。そんな訳で家で大人しくビデオでも見ていました。梶尾真治原作で、元は熊本日日新聞って言う地元の新聞に連載していたと言う〈黄泉がえり〉です。多視点的な原作を、監督の塩田明彦はじめとする脚本家たちで見事に映像化した名作でして、柴崎コウ演じるRUIの歌声にのって、切なく切なくそして切なく流れるストーリです。そう言えば柴崎コウの〈月のしずく〉はオリコン1位もゲットしていますし、CD売上枚数も72万枚と言う大ヒットなんですよね。

 ストーリーは熊本県のある地域でだけ、死者が黄泉がえるっていう現象が起きていて、それを調査に行った地元出身の厚労キャリア川田平太(草g剛)と、幼馴染みの橘葵(竹内結子)をメインキャストに、多彩な脇役陣で固めた映画です。石田ゆり子と哀川翔の夫婦の間も切ないし、50年以上前に神隠しになった息子が帰ってきた老婆役の北林谷栄、命と引き換えに娘を産んだ斎藤園子と、娘を大切に育ててきた田中邦衛、そして、耳の聞こえない母を思って手話の先生になった伊東美咲、あとは弟の事を気にかける東新良和、これら脇役たちの名演技が素晴らしい。竹内結子の見せる切なさが涙を誘うんだけど、その背後での彼ら脇役のそれぞれのシーンで、もう涙涙の連続です。

 ただねぇ、草g剛はまぁまだ許容範囲だとしても、寺門ジモンやら山本圭壱やら、いかんでしょあれは・・・学芸会でも今日日もっとまともだと思うんだが、何であんな重要なポイントにあんな大根置いているの???かなりあれで興醒めさせられるんですよね。さらには、原作が熊本だからって言うのがあるんだろうが、あんなに草gと竹内と伊勢谷の3人が、回想シーンの中では海岸を走り回るのに、現実世界では常に阿蘇の山と森でストーリーが進むのはおかしいよなぁ。白砂青松のあの回想が、全く黄泉がえりには関係ないんだからちょっと拍子抜ける。

 で、この作品の描いていた世界では、いずれ消え行くと分かっていても、人は亡くなった人に会うと幸せになれるっていう、そして会いたいと思っているって言うのが表のメッセージ。そして背後に流れているのは、亡くなった人たちって言うのは、生きている人たちの事を心配し、そして幸せになって欲しいと願っている、そういう姿なんですよねぇ。それが一番表れているのが、哀川翔と東新良和の姿であって、この2人はとっても重要なんですよね。サブストーリーなんだけど、彼らの存在が黄泉がえりの人々の姿をもっとも体現している。それと、黄泉がえりと蛍のような青い光の関係が、夏の夜の儚い夢みたいな印象を与え、とっても効果的ですねぇ。RUIのコンサートシーンとかも幻想的です。

 (こっからネタばれ)一方でメインストーリーの方は、竹内結子が最初乗ったワゴンが、崖から転落して彼女自身が草gの思いによって黄泉がえった黄泉がえりだったとは、いいオチだよなぁってすっげー関心。そう言えば最初に、草gと話しながら封筒何処へやっちゃったかって話していましたよね。あの辺の伏線がフワーって思い出されて、お見事って言う感じでした。またRUIの方も愛する人を失って歌えなくなっていたんですね。それが黄泉がえり、阿蘇の地でだけコンサートを一緒にできると言う事で、彼が消える時間まで精一杯歌う。その思いの篭もった歌声と、自分が消えるのを恐れる竹内結子の焦りがいいねぇ。他の死者たちは長く死んでいる訳だけど、彼女だけは死にたてのホヤホヤで、しかも眠っている最中に死んだもんだから死者だっていう意識が殆ど無い、そういう点での自分が死者だったと気付くその彼女の心の揺れが切ないんだよなぁ。黄泉がえりそのものよりも、1つのラブストーリーがそこにはある訳で、それはそれでよかったと思います。ただ草gが相手役だったのが残念ですねぇ。この作品、キャスティングをもっと上手くやったら、すっげー名作になっていたのにと残念で仕方が無い。安藤政信主演で、吉岡秀隆を山本圭壱の役にして、寺岡ジモンの替わりに田口トモロヲとかでどうだろ。これだとかなり引き締まった名作になると思うんだけど。

13日(日)
 市川新之助の土下手な演技に嫌気がさして、〈武蔵〉は全く見ていなかったし、今回の〈新選組!〉(番組名は新撰組じゃなく新選組みなんですよね)も、まぁ時間があって気が向いた時ぐらいしか見ていないのですが、来年度の大河ドラマのキャスティングを見てビックリ!ちょっとちょっとちょっと、これいいんじゃない?すっげー見たくなっているんですけど。

 主役の源義経は滝沢秀明でじゃニーズから主役って言う最近の傾向通りなんだけど、脇役陣がとにかくすごいんですけど。まず、弁慶役に松平健。言わずと知れた暴れん坊将軍、〈利家とまつ〉の柴田勝家から3年ぶりの登場。個人的には〈マツケンサンバ〉も気になっているけど、大河では踊らず豪快な弁慶を希望かな(笑)。静御前役は未定なんだが、生母常盤御前役には稲森いずみ。源義朝の妾から平清盛の妾へと言う数奇な運命を辿った役柄に、薄幸な女性を演じさせたら間違いが無い稲森いずみですよ。〈ブルーもしくはブルー〉での好演が良かったんでしょうか。

 さて源頼朝役には中井貴一。中井貴一で大河って言ったら当然〈武田信玄〉でして、大河史上最高視聴率を誇っているあの名作を引っ提げての頼朝役です。〈壬生義士伝〉で日本アカデミーの主演男優賞を取ったのも記憶に新しい。そして北条政子役には財前直見。〈お水の花道〉のあの啖呵で、亀の前の家を壊しに押しかけるかと思ったらゾクゾクするね。北条時政には小林稔侍、源行家に大杉漣、源三位入道頼政に丹波哲郎、梶原景時に中尾彬、木曽義仲に小澤征悦、ねぇ源家のこの顔ぶれ見ていたら絶対面白いの決まってるでしょ。って言うか、中井貴一主役で大河ドラマ一本作れるぞって言うすごい顔ぶれ。

 そして平家側は、平清盛役に渡哲也。〈西武警察〉。大河ドラマは竹中直人主演〈秀吉〉の織田信長役以来かな?最近の名作〈秀吉〉を引き締めたうちの1人でして、これは期待が持てるでしょう。そして平時子、通称二位尼には松坂慶子です。松坂慶子と言えば、〈毛利元就〉の時の継母杉の方が印象的ですが、僕が生まれる前年には〈国盗り物語〉で濃姫役なんてやっているんですねぇ。若くして亡くなる嫡子平重盛役には勝村政信で、こちらも〈毛利元就〉の渡辺通。さらには壇ノ浦の敗軍の大将、平宗盛は〈毛利元就〉で桂元澄役だった鶴見辰吾です(笑)。あと、大仏殿の焼き討ちで有名な平重衝役には、〈ブルーもしくはブルー〉で博多での旦那役だった細川茂樹、その妻の輔子には〈ショムニ〉の杉田美園の高笑いが印象的な戸田菜穂。もう一人忘れていけないのが、凡将宗盛を支える平知盛に阿部寛。最近は〈トリック〉の天才物理学者上田のイメージが強いですが、彼も名バイプレーヤの1人ですよね。

 朝廷には後白河法皇役が老優平幹二朗。〈樅の木は残った〉の原田甲斐、〈国盗り物語〉の斎藤道三、〈武田信玄〉の武田信虎、〈信長〉の加納随天、〈北条時宗〉の北条重時と、まぁ大河ドラマ常連も常連主役準主役級の常連ですからね。しかも、その平幹二朗を操る丹後局役には怪女優絹の靴下夏木マリ。最近では〈千と千尋の神隠し〉の湯婆婆&銭婆が子どもの夢に出る顔してます。それと仮想キャストで義経を思い続ける女性役に〈金八先生〉の上戸彩。〈あずみ〉もコケたし、〈エースをねらえ!〉もコケたんだけど、でも彼女いい演技するんだけどなぁ。

 最期に奥州藤原氏では、義経を庇護する藤原秀衝役にポンポンポンポンポンポンポンポン〈桃太郎侍〉の高橋英樹。大河は〈北条時宗〉の初回で殺された毛利季光(浅野温子の父、つまり時宗の外祖父)役の前は、〈翔ぶが如く〉の島津久光に、〈花神〉の河合継之助、見ていないなこのへん。そして〈国盗り物語〉の織田信長かぁ。何気にまだ遡れて、1971年の〈春の坂道〉では坂崎出羽守、1968年の〈竜馬がゆく〉では武市半平太という渋めの役柄やっていますが、今回は円熟した秀衝が楽しみ。さらにクライマックス間際の枢要人物藤原泰衡に渡辺いっけい。〈ひらり〉の竜太先生が良かったですねぇ。渡辺いっけいの小物っぽい悪役上手いんですよぉ。さらには、奥州藤原氏を支える砂金商吉次に市川左團次。市川新之助の失態で、梨園は若干大河に及び腰だが、〈竜馬がゆく〉の千葉重太郎以来の大河出演の大物登場です。その妻あかねには萬田久子。

 ね、これで期待するなって言う方が無理でしょ。普通に。中井貴一主演の〈源頼朝〉、渡哲也主演の〈平清盛〉、松平健主演の〈武蔵坊弁慶〉、高橋英樹主演の〈藤原秀衡〉、もぉ、どのバージョンでも血湧き肉踊る名作になるの間違いないんですけど。って言うか、このバイプレーヤーに囲まれて主役張らなきゃいけないタッキーは気の毒の一言に尽きるんだけどね。っていうか、中井貴一・渡哲也・松平健・高橋英樹が同じドラマに出演するって言う事自体が信じ難い。なんだかんだ言って大河恐るべし。でも、エンドロール(って言うか大河だからオープニングか)のクレジットの順番どうするんだろ。兎に角、来年までにはビデオの録画方法を習得出来るように頑張らなければ!

21日(月)
 イギリス映画っぽいアメリカ映画〈5シリングの真実〉を見ました。第一次世界大戦前夜のイギリスの海軍幼年学校で生じた事件をモチーフに、冤罪を着せられた家族が、海軍と言う大きな壁に立ち向かい、如何に家族が困難に巻き込まれて苦悩するかっていう、けっこう地味な作品です。作品は裕福な中の上ぐらいの元金融マン(〈英国万歳!〉のナイジェル・ホーソーン)の家庭から始まり、娘(ジェマ・ジョーンズ)と海軍エリートとの婚約の場面に、次男が退学処分を受けたと言う手紙を持って、寄宿舎から帰ってくるところから始まります。ここで息子の無実を信じたホーソーンは、断固としてネルソン提督の末裔と戦うことになるんですね。ちなみに監督は〈郵便配達は二度ベルを鳴らす〉の脚本を手がけたデビット・マメット。

 娘の婚約は当然破棄されるし、裁判費用のために別の息子はオックスフォードから退学させられる、妻にはプライドのために家族が滅茶苦茶じゃないかと詰め寄られる。そんな中で、父親自身も自分の行動に疑問をはさみつつ、苦悩し、それでも息子の無実を証明するために頑張ります。その無実を証明する手助けをするのが、ジェレミー・ノーザム扮する上院議員。イギリスって法律貴族が裁判やっていたよなぁってちょっと感動します。裁判として、上院で貴族が海軍大臣に直接詰め寄ります。日本的な感覚で見ていると変ですけど。

 で、だからと言ってこの作品は別に法廷ものとまでは言えないんですよねぇ。(こっからネタバレ)家族の苦悩と裁判の謎解きの両者をこめて、しかも実話を基にしたもんだから真犯人が出てこないし、ちょっと中途半端な感じで、裁判は最終的には勝訴で終わるものの、その勝訴のシーンすら映らなく、家で家族と一緒に知らされるだけです。新犯人の分からない法廷ものはなぁ。よっぽどの何かが無いとつらいんだが、これはノーザムと、娘のジェマ・ジョーンズにほのかな恋が芽生えるかのような、しかしそれすらそう匂わせるだけだし、やっぱり中途半端な作品。個人的にはもっと法廷シーンをふんだんに散りばめてくれた方が好き。

24日(木)
 経営史学会から連絡が来て、投稿中の論文が若干の手直しの上で掲載可、つまりはB判定になったとの事です。経営史では実際にコメントが郵送されてくる前に、メールで掲載可になったなんていう情報を送ってくれるサービスまでやっているんですねぇ。めちゃくちゃ感心してしまった。色々と投稿者に優しい学会になるように配慮しているみたいで、とっても嬉しいかぎりです。

 でもこれで社経史・政治経済学・経済史学会(旧土地制度史学会)・経営史と、バランス良く3誌に論文載せることになって、レフェリー付3本+紀要1本で、何とか形になったかなぁってところでしょうか。あとまだ活字化していないネタを2つ持っているから、それと合わせて博論をと思っているのですが、なかなか博論にまとめ上げるのって悩ましいですねぇ。今までは史料のあるところを研究してきたわけですが、博論の構想をしていると、どうしても十分満足行く史料は見つからないところがある。そう言うのってどう扱ったら良いんでしょうねぇ。無視するか、サラッと流すか、史料がないと開き直るか。実証部分に限っても、個別の論文だったら悩まなくて良かったことで悩まなきゃいけない。実証なおもて往生こくに、況や研究史整理をや。(と我ながら上手い掛け言葉だなぁって書いたものの、往生こくっていうのはもしかしたら方言?おまーさんそりゃだちゃかんわ)

 話は変わりますが、札幌で中日が3連勝し、2位の読売との差が2.5ゲームに広がりました。去年の阪神優勝はジンクス通り景気回復をもたらした訳ですが、中日優勝のジンクスは政変ですから、参議院選次第で中日が優勝出来るかどうかが決まると言うところでしょうか。ちなみに過去の中日の優勝は1954年、1974年、1982年、1988年、1999年の5回です。54年は造船疑獄によって第5次吉田内閣退陣、74年は金脈問題で田中角栄内閣退陣、82年は鈴木善幸が総裁選に出馬せず中曽根内閣成立、88年はリクルート事件(竹下退陣は89年になるが)、99年は自自公内閣が動揺(小渕急死は00年になるが)ってことで、中日が優勝すると予期せぬ事が起こります。99年はジンクス破れたかって思って年度末まで行ったのに小渕急死ですからねぇ。