2005年1月

7日(金)
 あけましておめでとうございます。本年も一年またよろしくお願いいたしますm(__)m

 年の初めは何を書こうかと考えるのですが、今年の抱負とかも何度か書いてしまったしで悩みどころ。中曽根康弘の本でも読んでいたので、今年来年と議題に上るであろう憲法改正、就中、憲法9条に関してでも考えましょうか。焦点は云わずと知れた集団的自衛権を明記するか否か。たぶんこの点が一番の議論になる部分だと思われます。中曽根元首相は集団的自衛権は当然だという論の運びをしていましたが、事はそう単純ではない。ちなみに現在の内閣法制局による憲法解釈は、集団的自衛権を持っているが日本国憲法で一部制約されているというもののようです。

 さて、集団的自衛権を持った場合のデメリット、言い換えるならば放棄した場合のメリットを考えてみる。これは「集団」と言ってみたところで、現実にはその対象は沖縄の基地等を持つアメリカであって、アメリカの戦略に否応なく日本が引きずり込まれていくことを意味する。ブレアですらブッシュのプードルと呼ばれている状況下で、占領軍みたいなものを国内に置く日本がポチ以上の事を出来る訳もなく、集団的自衛権=アメリカの尖兵になる可能性も高い。そしてそれは当然、アメリカ憎しのテロ集団等の標的に日本もなることを意味する。また日本と友好関係にあるイランをアメリカは悪の枢軸に含めている訳で、直近のそれへの対応という点でも困難があるだろう。

 次に、集団的自衛権を持った場合のメリット、言い換えるならば放棄した場合のデメリットは、国民に反日教育を施しつつ核弾頭を突きつけている中国だとか、日本人拉致などを平気で行う北朝鮮との関係において、アメリカをはじめとするオーストラリアやインド・東南アジアなどを含めた幅広い安全保障体制が築ける点。また中国や北朝鮮ほどの緊張感はないものの、太平洋戦争終戦のどさくさに紛れて北方領土を奪っていたソ連(現ロシア)だとか、李承晩ラインによって竹島を不法占拠している韓国とも、潜在的には緊張関係を持っている。唯一の被爆国という立場から、日本の核武装が国民的支持を得られない状況下で、日本を取り巻く国々と対等に渡り合うにはアメリカの傘下に居るしかないのも現実。

 まさに、前門の虎、後門の狼、とはよく言ったもので、どっちに行っても簡単な状況ではない。そして多分、憲法9条に関する議論でも、この交差しない論議を、不毛に繰り返すことになるのは目に見えているから憂鬱だ。お互いがお互いのデメリットを強調し、自分たちのメリットを唱え、宗教の教義のように自説に固執するだけだろうしね。まぁ、個人的にはどちらを選ぶべきなのか、まだしっかり頭の中で整理できていないので、どちらに組すべきかは判然としていないのだが、この問題に関しては中間って見つけられないのかなぁ。。。

8日(土)
 年末年始の話題といえばスマトラ沖大津波が第一でした。当初はマグニチュード8.5という話でしたが、すぐさま8.9に訂正され、最終的には9.0までいったんですよね。で、マグニチュード8.5って言う時点で、すでに関東大震災の8倍、阪神大震災の90倍というとてつもないパワーを持った地震だと分かっていたわけで、最終的には関東大震災の45倍、阪神大震災の500倍、っていうとてつもない大きさの地震だったわけです。ただし震度のほうは、直下型でないために震度5弱〜5強程度ということで、被害も津波による被害が中心で地震そのものの死者は少ないようです。

 ところで、地震が起こったその夜、日本人観光客も多く出かけるプーケット島なども被害に見舞われているという情報が入り、死者が2000人、3000人と増加して言っているそのときに、日本のテレビ各局は軒並み年末番組をただただ垂れ流していただけでした。非常時には必要不可欠の存在だと豪語していた、身内に甘いNHKは、ドリカムから木村佳乃へと芸能番組を垂れ流し、民放各局はお笑い番組で笑い転げる始末。幸いにもBBCやCNNなどの報道機関が情報を流してくれていたので、甚大な災害だという事をいち早く知ることはできたのですが、日本には報道機関が一つも存在しないために、情報が素早く得られない人々もたくさん居たことでしょう。

 それとも9.11テロと違って東南アジア・南アジアでの出来事だったので、差別主義者である日本のマスコミは、重要性を軽視して報道しなかったのでしょうか。年末休暇を利用して遊びに出かけている家族友人を持つ人も多かっただろうに、CNNやBBCなどが映像付きで報道できている状況下で、日本のマスコミたちは映像が手に入らないどころか、報道すらしないという状況。もはや存在意義が感じられない。NHKは会長の報道許可を取るのに戸惑ってでもいたのだろうか。この国の自称報道機関、NHKをはじめとして民放各局も、権力に胡坐をかきすぎで、報道の使命って言うのをきれいさっぱり忘れ去っているらしい。報道の自由さでも日本は国際的にかなり低位にあるのですが、記者クラブ制度はじめ、日本のマスコミって言うのは本当に困った存在。

10日(月)
 この年末年始帰省したら、うちの母親が新しい料理を習得していました。牛すね肉を2日間じっくりと煮込み、それでビーフシチューを作るだけなんですけどね。それがあまりにも美味しかったので、この休日を利用しながら、僕も挑戦していました。作り方はいたって簡単で、まず肉屋へ行って牛すじ肉を買ってくる。そして、たっぷりのお湯を用意して弱火でコトコト煮込む、煮込む、これでもかって言うくらい煮込む。それで初日は終了。すると翌朝、表面に大量の脂の塊が浮いて出るので、それをきれいに取り除いてやる。ちょーヘルシー。

 んでもって、また煮込む、煮込む、ほどよくお湯を注ぎ足してやりながら更に煮込む。2日目も煮込む。弱火で煮込む。で、一度火を止め、2−3時間また放置しておくと、朝よりは少ないけれどもまた脂が浮いてくるので、これを再びきれいに取り除いてやる。ちょーちょーヘルシー。これで下ごしらえ終了です。ここからが料理開始。

 まずは用意するものは、上記の処理を施した牛すじ肉(煮汁もね)と、人参、玉葱、じゃが芋、塩、市販のルー。以上です。買い置きが残っていたらローリエ(月桂樹)の葉もよろし。ローリエは肉の臭みを取り除いてくれます。で、牛すじ肉のスープの中に、いい感じに切った人参を入れて煮込む。コトコト煮込みながら、次にじゃが芋を入れ、玉葱も入れる。そうしてまたしばらく弱火でコトコト煮込む。ここでポイントはじゃが芋でして、じゃが芋の澱粉質で、シチューのとろみが増すので重要。で、いい感じになってきたら、ルーを入れてしばらく弱火で煮込む。このとき塩・ローリエで若干味を調えてやると、牛すじ肉の臭みがさらに取れます。

 これで、絶妙なビーフシチューが出来上がります。ほんと、トロ〜っとしたあの舌触りは、肉の舌触りとは思えないプニプニさ。すじ肉に赤身がくっついている部分は、旨味が抜けきってカスカスなんですが、すじの部分は煮込むほどに美味しくなる。ガス代すごく高くなりますけど、2日間家に引き籠もって(って、数日に分けて、帰宅後だけ煮込むという方法もあるが、鍋が占領され続けるのが難点なんだよね)頑張る甲斐はあります。必要なのは根気だけでして、後はカレーを作るのと大して変わらないんだから、是非是非挑戦してみてくださいな。2日間なんて、本読みながらならあっという間ですよ。

13日(木)
 いやいや、今度の4月30日-5月1日という、またとんでもない日程になっている社会経済史学全国大会の、自由論題報告に手を上げ許可を頂いてしまいました。去年は全く学会報告をやっていないので、1年半ぶりの報告ですね。社経史で報告をやったのは2001年の上智大での時以来だから、かれこれ4年ぶりになるんですねぇ。報告時間は未定のようですが、朝はやだな…文京区から国立までだと1時間以上だよなぁ。南北線を四ツ谷で中央線に乗り換えてっていうのが一番便利かな。

 しかし今回に限らず、報告要旨にしろそれ以外の論文とかの原稿にしろ、FDで提出しろって言うのが多いんだが、最近ではCD−RWでデータを保存している方が多いんじゃないだろうか。FDで提出するのって面倒なんだよなぁ。。。印刷会社とかもCD−RWで出してくれた方が便利だろうに、内規か何かが変更されていないままなんだろうか?書籍とかはどうなっているんでしょうね。最近ではFD機能が付いていないPCも多いですし、内規だったら変えないと、そのうち色々と面倒になるような気もするんですけどねぇ。。。

18日(火)
 安倍晋三・中川昭一両代議士とNHKが口裏合わせて嘘をついているのか、朝日新聞の取材がいい加減(NHKの台詞を借りれば捏造・歪曲報道)だったのか、今のところはよく分かりませんが、なんともまぁ不可解な話ですねぇ。絡まった紐を解かないと焦点すらも見えてこない。
 
 ニュース等を見ながらある程度の整理をしてみますと、最初NHKの孫請け会社と取材対象である模擬裁判を主催した左翼団体とで、模擬裁判の主張をそのまま伝えると契約。そしたら、そのNHK子会社の担当者=模擬裁判の当事者の一人だったという話もあり、NHKの上層部が番組内容はじめ問題が多々ありすぎると2回も手を入れていた。(孫請け会社が両論併記しようとしたら、子会社やNHKの担当者=泣いていたオヤジ=子会社の担当者の後輩から両論併記を禁じる指示が出たようです)

 ところがそれが外部に漏れ伝わり、右翼は騒ぐは、永田町にも伝わるはとなっていて、NHK予算の審議などもあって安倍(中川もか)等と会談したときに、その番組のことが話題になる。そこで安倍晋三は「公平公正に」というふうに伝える。それに前後して、NHK側ではマダマダ問題だとさらに3回目となるが番組内容に手を加えて変更した、っていう話のようです。で、問題は安倍晋三が政治的圧力を与えたから3回目の変更となったかどうかっていう話のようですが、安倍等と面会する前に、色々と噂にも立ち上り、番組変更も種々行われている無茶苦茶いわく付きな番組だったわけでして、安倍等の政治圧力だと言い切ってしまうのは困難だと思われます。

 放送法の精神と言うものがとかく言われていますが、外部から干渉を受けないと言う部分と、公平中立な報道を行うと言う部分と、放送法自体は両面を規定している法律なんですよね。それが、政治家側は公平中立を声高に叫び、マスコミ側は政治的干渉を非難する、要するに話が噛み合っていない。政治家側は干渉とならないよう配慮し、マスコミ側が公平中立を配慮する、最初からそうしていれば問題は生じなかったわけですけどね。

 ところが今回の場合(ってそれも比較的皆嘘をついていないと仮定すればですが)、NHKの孫請け会社が両論併記の報道をしようとした時に、模擬裁判の主催者に名を連ねる、NHK子会社の女性(及びその後輩でNHKの泣いていたオヤジ)が好き勝手しなければ、問題は生じなかったわけで、問題の出発点はそこにあると思うんですけどねぇ。国民の受信料で成り立っているNHKは、民放以上に公平中立に報道する義務があると思うのですが、今回は公平中立を否定する契約を結んでしまっている。正しく獅子身中の虫がそこに居たわけでして、NHKが病んでいるなぁっていう一連の流れの一つにしか見えないんですよね。

 左翼団体の幹部が、NHK子会社等に勤めていて(NHKからの出向らしいけど)、NHKに許可も取らずに勝手に契約し、左翼団体のプロパガンダ報道を企画する。しかしそれが一方でNHK内部からリークされて、右翼団体が街宣車に乗って騒ぐ。永田町にも漏れ伝わる。一体全体どうなっているのか、魑魅魍魎が跋扈するような世界だなぁっとある意味感心、いや寒心する出来事ですね。

 しかしまぁ何はともあれ、NHKがいっさい手を加える前の、泣いていたオヤジや、左翼団体の女性らが作り上げた、一番最初の番組って言うのが見てみたい気がする。NHK上層部がぶったまげたという映像は、果たしてどんななんだろうか。

19日(水)
 センター試験で、英語の長文の登場人物名や、国語の小説文の作者が、事前漏洩していたっていう問題が出ていますが、あれ簡単に出来ると思いますよ。僕だって悪意があれば出来た立場ですし。僕の場合はセンター試験の準備で借り出され、問題文を触る立場にあったのですが、それが1月11日ですからね。同じような立場の人は全国に何百人何千人といるでしょうし。

 まぁ普通は犯すリスクに対して、見返りが何も無いため、そんな無意味な事はやらない訳ですが(見返りがあればやるっていう意味じゃないです。念のため。)、愉快犯のメンタリティっていうのは計り知れないものがありますからねぇ。僕なんて、早く単純労働が終わらないかと、無意味な肉体労働がタダタダ過ぎ去るのを考えていましたが、これもまた助手の勤めだと耐え抜いていたんですがねぇ。愉快犯的要素を持っている人は、あぁいう時間に色々とほくそ笑んで準備するんだろうなぁ(って、別にその工程で漏洩したかどうかは分からないので。念のため。)。しかし、犯人捕まるんかいな。

22日(土)
 朝日新聞側は「NHK番組改変問題」と呼び、NHK側は「朝日新聞虚偽報道問題」と呼ぶ、なんかプロレス的な面白さになってきましたね。NHKニュースが「朝日新聞の反論は論点をそらしている。反論になってない」と非難すると、報道ステーションで「NHKと永田町の関係こそが焦点です」とやっていて失笑してしまった。朝日新聞とNHKとの間で、誰かが脚本書いて演じ合っているんじゃないかと勘繰りたくなってきます。それくらい良く出来た泥仕合になってます。

 あまりにも糸が絡まっているので、話を最初に戻すと、NHK幹部が安倍・中川両氏から圧力を受けたと語ったところから始まっている。そして、NHKの松尾武元放送総局長が、その取材を受けた幹部は自分だと言って出てきた。松尾武という人物が嘘の上塗りをしたのか、朝日新聞が虚偽報道を行っているのか、2者択一なのは確実なわけです。ここが問題の最大の焦点であって、NHKと永田町の関係というのは、それ自体は是非とも論じるべき問題ですが、今回の話とは全く別の論点だと思われます。

 取材対象であるNHK側の人物が自分で名乗り出てきたわけですから、朝日新聞側はもはや取材源の秘匿等を配慮する必要はなくなったのですし、取材テープなりを提出すれば一気に白黒つけられる問題だと思うんですよね。このご時勢に取材テープが無いなんてことは無いでしょうし、まだつい先日の取材ですから破棄したなんていうことも無いでしょうから、取材をした記者がテープをもとにして記者会見でもすれば一発で明らかになる。そうしない朝日新聞側も、それを要求しないNHK側も、どちらも自分に正当性があるというならばそう主張行動すべきでしょう。

 しかし、従来から新聞を1紙しか読まない人間は阿呆だと言われていまして、新聞同士の主張のやり合いっていうのは多々ありましたが、テレビと新聞の泥仕合っていうのは、あまり記憶に無いなぁ。NHKと朝日新聞、嘘を付いていた方を営業停止に追い込むくらいの勢いでやり合って貰いたいですね。膿は徹底的に洗い出すべし。一週間真っ黒なテレビ画面とか、一週間配達されない全国紙とか、ちょっと期待してしまっている。

24日(月)
 いやぁ、先日土曜日に経営史学会の関東部会に報告聞きに行っていたんですが、そこでとある先生から、社経史の報告は朝一だよと教えてもらった。。。やっちまったか。。。今年は7会場*7報告のギュウギュウ詰め49報告のようでして、第一報告は早朝9時から開始のようです。こりゃ確実に7時前に起きないと駄目だな(TT)。しかし明治後期の話が中心だから、もうちょっと遅くからになるもんだと考えていたのに、あの順番って時系列順じゃないのかよ。。。でも、さすがに早朝9時に間に合うように起きている人達は少なそうだし、まぁ気楽にやるか。朝一でやってしまえば、後は長い一日が他人事だしね。

 初対面の先生だったのに、朝遅刻しちゃ駄目だよと念を押されてしまった。。。顔見て朝寝坊しそうな顔なんだろうか、やっぱり。。。これでも自分の報告とかを寝飛ばしたのって、一回しかないんだけどなぁ。気持ちよく寝ていたら、耕地整理のT氏から電話がかかってきた時には、ありゃ驚いたもんだなぁ。報告の準備とかは完全に終わらしていたんだが、気を抜いて仮眠をとろうと思ったのが間違いだったなぁ。仮眠とるくらいならば、寝ない方が良いんだよな、ああいう時って。けっこう仮眠って苦手プレイでして、ちょっとのつもりが普通に7時間とか寝ちゃっている時があるからな。徹夜明けで仮眠って、元々苦手なんだが、最近は徹夜明けは昼過ぎまでじっくり眠ってしまいますからねぇ。時間がズレただけでいつもどおり(苦笑)

28日(金)
 先日博論会の後で話していたのですが、神保町の古本屋っていうのは、従来は各店舗及び商店街のなかでの品揃えの豊富さという、その専門性と集積によって、書籍自体の高価格を相殺していたんですよね。それがネット社会に移り変わって来た時に、日本全国の古本屋の価格水準っていうのが、恐ろしいぐらいはっきりと出てしまった。各地の古本屋に点在して眠っている書籍も、充実したラインナップの中に位置する一冊も、ネット上では同じ商品として登場する。その時に、以前ならばアクセスの容易さによって成り立っていた神保町の高価格っていうのは、最早滑稽な価格設定になってしまったのでしょう。

 しかしまだネット取引をやっていない古本屋っていうのが、神保町にもいくつか存在しています。そんな古本屋を探索していくのが、これまた一つの楽しみなんですよね。それで、だいたい今時、神保町でネット取引をしていないそういう店は安い。ところで今買い集めている書籍っていうのは、多分僕が死んだ時にはとんでもない事になる(火事とか爆撃とかで一緒に燃えちゃえば良いんだけど)んだろうと思う。死ぬ頃に書籍っていうのがどういう位置付けになっているのかも想像できないが、書籍ってけっこう場所とる存在なんですよね。公的なところに寄贈されるしかないんだろうな。なんて探し求めていた一冊を発見したので上機嫌に書き込む。東大経済と帝塚山とケンブリッジにしかない書籍を発見してしまったんですよ♪