2005年7月

4日(月)
 今日は三谷作品の〈笑の大学〉を。三谷幸喜の作品って僕のメンタリティに合っているらしく、基本的には笑いのツボに嵌ることが多いのですが、これは名作の部類と言って良いでしょう。〈ラジヲの時間〉と同じくらい好きかな。設定は昭和15年という太平洋戦争開戦前夜、タイトルの笑の大学とは、とある劇団の名前なんですね。そしてそこの座付作家である稲垣吾郎と、検閲官役所広司との、脚本をめぐる検閲の場面が描かれています。基本的にはこの2人による二人芝居なんですが、若干のプラスアルファも加わっています。

 役所広司は有無を言わさず上手い。そんなこと今更なんだが、やっぱり上手い。自分には笑う能力が欠如していると言う検閲官が、喜劇作家の脚本を検閲を通じて読み込むことで、次第に笑いに目覚めて行く様子、お役所勤めしていた公務員が、いつの間にか役者になっているような、そういうしっくり感がある。そしてこの映画の最大のポイントは、稲垣吾郎がいい味出しているって言うことでしょうか。同じSMAPの香取は三谷脚本でも如何し様もありませんでしたが、稲垣吾郎は上手く三谷脚本に嵌った。公演を間近に控え、早く脚本を完成させて俳優たちに持って行ってやりたい脚本家の焦りが、しかし検閲官に課される次々の修正指示に苦悩する様子が、見事に演じきられていたと思われます。稲垣吾郎って主演にすると浮いちゃうんだけど、こういったバイプレーヤーとしては素晴らしい能力を発揮してくれるんですね。こういう発見をした三谷幸喜はさすがだね。

 この作品のメッセージでもある検閲制度って言うのは、とっても虚しいですねぇ。言葉を幾ら統制してみたところで、心の内面までは統制できないにもかかわらず、それでも上っ面の統制をすこしでも統制しようとする。そして、現状を少しでも長引かせようと努力する。やっている方は恐ろしく真剣だろうし、その渦中に放り込まれたらたまったものじゃないが、客観的立場から眺めていると、タダタダ虚しくなってくるんですよね。ほくそ笑んだり、抱腹絶倒したりしながら、そんな事をつらつらと考えていたりしました。あと、この作品のオチもタダタダ虚しくなります。虚無感ですね。

 ところで若貴騒動ですが、若乃花の遺産放棄によって片が付くようです。高校時代から大学時代にかけて楽しませてもらった若乃花と貴乃花が、遺産相続争いでいがみ合うのには心を痛めていたのですが、またマスコミに面白おかしく囃し立てられているのが悲しかったのですが、若乃花のお兄ちゃんとしての人間のでかさに感服です。横綱としては弟の後塵を配し、スポーツキャスターとしてもあまり上手くいかず、アメフト挑戦も失敗と言う中で、若乃花って素晴らしく人間的に成長していたんだなぁって、なんだか涙が出てきてしまいました。

 テレビを通じてあんなに誹謗中傷されたら、僕だったら多分許せない。それを若乃花は、自分は相撲界から退いたんだしと、貴乃花部屋経営のために遺産放棄をするという決断。一番最初の入門の時に、若乃花っていうか若花田は、弟を守ってやるって言明していたわけですけど、15年以上の歳月を経て、弟も変わってしまって一方的に誹謗中傷され、そんな中でも弟を守ろうという姿にはただただ頭が下がる。二子山親方もさぞや喜んでいることだろうなぁって、こっちまで嬉しくなってしまいます。これを機に貴乃花が真っ当になってくれると良いんですけどねぇ。

6日(水)
 自宅用のパソコンがクラッシュしてしまい、このサイトの更新も出来ていないわけですが、今日は続いて携帯電話までお陀仏になってしまいました。っていうか、お陀仏って死語ですね。言葉も死んでいます。なぜにこう続けざまに電化製品のクラッシュが続くかなぁ。変な電波でも体内から発し始めたのじゃないかと、ちょっくら心配になってしまいます。よく金属を体に貼り付けているおじさんがいるが、あそこまでいっちゃえば楽しいんですけどね。まだその域には達していないようです。

 しかし携帯を買い替えたのはいいが、いつの間にやらJ-PHONEがボーダフォンになっていたこともあり、料金体系が変わってしまったとのお達し。機種変するなら高いコースに入りなおせといわれ、銭ゲバっぷりに呆れつつ機種変をする。しかも、長期割引が適用されていたんだけど、コース変更になると長期割引は最初からやり直しになりますと言われ、あらためてソフトバンクグループへの怒りに包まれる。元々ソフトバンクは好きな企業ではないのですが、どのくらい好きで無いかといわれると、タイマー付きのソニーと同じくらい好きな企業ではないのですが、J−PHONE&ODNと僕が好きだった企業が軒並みソフトバンクに買収されて憂鬱さはクライマックスに達しています。しかしすべて料金アップして正しく金の亡者だな。唯一、携帯アドレスや携帯メールアドレスを伝えている友人たちに、わざわざ変更お知らせを送るのが嫌だという一点のみにおいて、ボーダフォンを使い続けているが、早くドコモかauが買収してくれないものかと、タダタダそれだけが望みになっています。次に携帯がクラッシュした時は、番号持越しも可能だろうし、流石に他社に移ろうかなぁ。

8日(金)
 2012年のオリンピックがロンドンに決定かぁ、なんて浮かれ気分になっていたら、続いてロンドンでのアルカイダと想定される団体によるテロです。ロンドンにいる谷本さんは大丈夫なんだろうか。ちなみに大英博物館に関する新書を読んだ最中&直後の、オリンピック決定とテロでして、なんだかロンドン情報漬けの1週間になってしまいました。かなりの計画性があるようですので、ロンドンでのオリンピック開催決定を受けてということでは無い(サミット開催初日に合わせてみたい)ようですが、無差別テロというのは兎にも角にも憎むべきものです。

 テロリスト側の主張としては、近代文明の恩恵を享受する我々すべてが憎むべき対象ということなんでしょうが、無辜の民をテロで虐殺したところで、昔ながらのイスラム社会を墨守することなんて出来ないと思うのですがねぇ。タリバン政権が典型的でしたが、無理やり社会の変化を止めるためには、圧政と抑圧で民衆を従属させるしかない訳でして、基本的にその構図っていうのは、自分たちが批判する近代社会−イスラム社会が、イスラム指導者−末端民衆となっただけですよね。社会って言うのは漸進的に何がしかの変化をしていくものなんですから、それを近代文明の責任としても仕方が無い。近代文明との交流によってイスラム社会はどう変わるべきなのか、本来的にはそれを彼らも考えるべきなんでしょうけどね。古ければ何でも良いというのは、かなり間違っていると思うんですがねぇ。

 ただし一方で、近代文明側はただただ今のままで良いのか。先に走り出したために、我々は大きな利益を享受しているわけなのですが、それは遅く出発した人々にも還元すべきなのではないか。利益の再分配が必要なのではないのか。それが今回のグレンイーグルズサミットの主要議題になるはずだったのは非常に皮肉です。特に困ったちゃんはアメリカ合衆国でして、京都議定書の反対に典型的に表れているのですが、近代文明の先頭を走る立場として、是が非でもスピードを緩めることは拒否するという態度は如何にかならないんでしょうかねぇ。。。まぁアメリカ国内は国内で、貧富の格差が恐ろしいほど拡大していますが、アメリカ内の貧困の問題は世界中の富を1国で独占しても解消されないと思いますよ。

 この前ネットサーフィンしていたら、〈Global Rich List〉なるものを見つけたので、是非とも皆さんにもググってやって貰いたいのですが、薄給で泣いている助手であっても、とてつもなく世界の年収ランキングでは上位に来ることを知って愕然としています。勿論物価水準とか色んな問題があるので、このセンセーショナルなサイトの数字だけで全てを語ってしまうのは問題なんですが、それを考慮してもやっぱり先進国への富の偏重っていうのはかなりの問題のある自体ではあるんですよね。国内での富の再配分と同じように、国際的な富の再配分システムって言うのも、将来的には構築する必要があるんでは無いでしょうかねぇ。無駄金をばら撒くだけだった外務省的ODAには反対ですが、もっと包括的で友好的な富みの再配分は考えて行くべきでしょう。

10(日)
 さてかなりの大作であるブラッド・ピットの〈トロイ〉を見ました。不和の女神が投げ入れ、ヘラ・アテナ・アフロディテの美の競争の果てに、パリスの審判によってアフロディテが勝利を得、その代価として世界一の美女へレネがパリスに与えられることになったという、トロイア戦争がモチーフになっています。本作では休戦協定に訪れた地で、パリスがヘレネを略奪愛してしまうという設定からストーリーがスタートしていますが。

 で話は若干ズレるが、アジアの君主・戦闘の勝利(要するに名誉ですね)・世界一の美女の3択になったら、普通は君主を選ぶよなぁ。君主になる過程では戦闘の勝利は付随してくるだろうし、君主になってしまえば世界一の美女が手に入るかどうかはともかく、かなりの美女を囲えるだろうに。そう考えると、〈イリアス〉そのものにかなりの無理があるんだよね。だいたいヘラって言えば、ゼウスの妻にして、恐ろしいことこの上ないおばさんなんだから、それに従っておくのが一番無難じゃね?美は司らないけど、結婚を司る女神でもあるし、絶対こっちのオバちゃん選ぶべきなんだって。パリスも分かって無いなぁ。

 で、パリス役にオーランド・ブルームでして、オーランド・ブルームとヘレネ役のダイアン・クルーガーとのラブストーリーがメインストーリーなんかなと最初見ていたら、どうやらそれは本筋のようで本筋ではない。パリスの兄であるトロイの英雄でありエリック・バナ演じるヘクトルと、ギリシアの英雄ブラッド・ピット演じるアキレスという、両国の英雄同士の抗争の様相を呈してくる。トロイア戦争その物がテーマなんだなぁってって見て行くと、伏線的にアキレスとローズ・バーン演じるプリセウスのラブストーリーが組み込まれるわ、ヘクトスとサフロン・バロウズ演じる妃アンドロマケとの夫婦愛が盛り込まれるわ、もうゴッチャゴッチャにてんこ盛り。こんなに色々入れ込むと、最早何が主題なのかがよく分からない。どうせストーリーなんて皆知っているんですから、個人的にはアキレスとヘクトルを両者主役としておいて、両者を通じたギリシアとトロイの戦いだけに絞った方が面白かったと思います。しかしハリウッドは恋愛物と時代物を組み合わせるのが下手になりましたよねぇ。

 しかしエリック・バナは良かったな。パリス役のオーランド・ブルームの駄目王子加減が、一層英雄ヘクトルの勇姿を引き立てていたとは言え、本当に勇敢な上に冷静沈着で、アキレス役のブラッド・ピットよりもよっぽど魅力的でした。まぁ、アキレスの方は荒々しい英雄、ヘクトスはトロイ王子でもあるので、その人間的大きさの差を両者演じていたと言えばそうなんですが、それならばトロイ側をメインにして、ブラッド・ピットとギリシアを悪役に描いた方が悲劇性がより高まったかも。あぁそうだそうだ。この作品はトロイ勢力を善、ギリシア勢力を悪として読み替えた方が、キャスティング的にもいい作品になったような気がします。ブラッド・ピットの筋肉美は美しかったですが、だからと言ってギリシア側にシンパシーをあまり抱けなかったんですよね。その辺がシックリ来ない原因かも。滅びの美学とすべき作品だった。

 街並、戦闘、服装、神殿、王宮、CGにセットに金かけているのはよく分かるんですけど、やっぱり映画は道具や背景だけでは無いよなぁ。あと、オーランド・ブルームが弓矢を射るシーンを見ていると、〈ロード・オブ・ザ・リング〉にしか見えませんね(苦笑)そりゃ弓矢は上手いに決まっている。ついでにまぁ〈パイレーツ・オブ・カリビアン〉ではあんなに美しい剣捌きしていたんだから、剣の扱いももっとできるだろ、なんていう余計な事も考えながら見ていました。如何に集中していなかったかがよく分かりますね。。。

13日(水)
 結局家用のパソコンはまだ買っていないんだけど、冷静に考えたら、自宅でのパソコン使用って、テレビ番組検索か、ネットサーフィンくらいなんだよなぁ。激しく無駄な気もするし、秋葉原で中古パソコンでも見つけたら買うくらいで十分な気がしてきた。ただ家からじゃないと、飲んだ酒の更新するのが非常に困難になるな。まぁ仕方ないかぁ…とりあえずここが復帰できて良かった良かった。

15日(金)
 さてさて、これから週末を利用してちょっくら史料調査へ。名古屋は暑いだろうなぁ。涼しい東京の夏に慣れきった体には、名古屋のじっとりモワモワな夏はつらいんだよね…気温も違うんだが、湿度が断然違う。東京の相対的にはカラッとした暑さはかえって心地良いくらいなんだが、名古屋はエアコンの前から離れられない。今年は殆んどエアコン送風だけで過ごしていたけど、実家は冷房じゃないと過ごせないな。ところで、オリビアのボケが激しいらしいんだが、覚えていてくれるかなぁ。だいたい人間の場合は、新しい記憶から消えて、古い記憶だけになるって言うし、犬も同じだよね。帰って吠えられたらショックだろうなぁ。。。

19日(火)
 オリビア元気でした。あまりにも元気すぎて、さっき食べたものも忘れて食欲旺盛です。よく痴呆の老人が、わたしゃ嫁に何も食べさせて貰えない、と真顔で主張するというのを聞きますが、正しくあの状態でした。昔から食が細い子でして、ちょっと何を食べているか見せてと言いながら、食べている最中に口をこじ開けて、中のものを取り出してもおっとりしていた子なのに、もはや狂犬状態になっちゃっていました。。。(TT)でもまぁ、僕のことはちゃんと覚えていたから良しとするか。

 ところで史料調査中に東大の所蔵冊数の話になったので、東京戻ってきてからちょっとネットサーフィンしてデータを見つけたのですが、平成15年だから2年前のデータかな。それによると、東大が所蔵する書籍数は約714万冊ありますが、そのうち総合図書館が持っているのは僅か120万冊、駒場図書館が持っているのが107万冊で、残りは各部局に散らばっているんですね。経済学部だけで70万冊も書籍数があるので、総合図書館とかはもっと多いかと思っていたのですが、意外と少ないなぁって言うところでしょうか。各専攻別に持っている文学部を除くと、経済学部の所蔵冊数って各学部の中では随一なんですね。後発の学部にもかかわらず、書籍購入・受入に精を出しているのは感心します。平成15年には約1万冊も書籍が増加したとかで、あの書庫眺めているとそのうちパンクするだろうなぁって思わされますが。

 ただそのデータの増加数を見ていて1つ気になったのですが、受贈書の数は駒場図書館が圧倒的に多くて、総合図書館の3倍ほどあります。もしかして東大に1冊寄贈って言うときに、その本が総合図書館ではなくて、駒場図書館に行っているのかな???それとも重要度の低い本がまとめて広い駒場の新図書館に行っている???どっちなんだろうか。前者だったら、重要な本が本郷に無いのはなんだかなぁって気がしなくも無い。

20日(水)
 自民党某代議士の秘書をしている友人から、高校のMLに情報が流れていましたが、参議院での郵政法案否決は9割方無いだろうという見通しのようですねぇ。マスコミは面白おかしく盛り上げるために、わざと危機的な報道を流しているようですが、参議院の方でも、郵政民営化反対勢力の方(ごく一部を除く)でも、解散総選挙はしてはいけないという空気が流れているようでして、いい落し所での手打ちに相成るだろうっていう感じのようです。一番解散総選挙を望んでいるのは民主党とマスコミでして、わざわざそんな愚を犯すインセンティブなど沸かないと言った所のようです。

 ニュージーランド型の完全分割民営化は拙いでしょうが、窓口業務を一体化させ、更にはコンビニ業務なども兼務できるようにすれば、田舎の過疎地域においても利便性が高まると思うんですがねぇ。利便性が減じるという意味で民営化反対をする人は、ためにする議論としか見えませんね。だいたい、都内とか都市部の特定郵便局が多すぎです。あんなもの殆んどATMと切手販売機だけ並べて、窓口業務なんていらないだろう、っていう都市部の郵便局が嫌って言うほどあります。いったいなんで東京にはこんなに郵便局が多いのかが不思議なんだが…特定郵便局の問題って、地方の過疎地域ではなく、都市部でこそ問題だと思いますね。まぁ、蛇口の出口の議論の方は、民営化しなくても良いような気がしますが、都市部の特定郵便局は民営化して税金納めて貰った方がいいですよ。不必要に多すぎです。うちからでも歩いて10分の距離には2つ、15分の距離だと4つも郵便局あるんですが…

24日(日)
 昨日は経営史学会の関東部会にフラフラと報告聞きに出かけていたら、足立区で震度5強、文京区でも震度4という地震で、殆んど聞いていた報告よりも、実家や友人から送られてくるメールが気になって仕方が無かったです^^;だいたい震度4くらいで騒ぐなっちゅーねんと言いつつも、けっこう僕もソワソワしていましたが。

 ところで、昨日の地震程度で東京都内の交通は数時間に渡って麻痺状態って、後から知ってかなり愕然としています。昨日はっていうか、普段から徒歩や自転車での移動が多い身(昨日ふと話していたのですが、新宿や池袋くらいならば、考え事しながら散歩がてら歩いている事は結構あります。どちらも大学から2時間も歩かないんですよ)としては、いやに道やバスに人が多いなぁっとは思っていたのですが、まさかJRや地下鉄がストップしていたとは…足立区で止まっているのはまだしも、震度4あつらで数時間かけて線路を点検って、いざって言う時においおい大丈夫かいなと、無茶苦茶不安になります。

 前に国交省の友人が話していたのですが、震度3までは何も関係無いのですが、震度4を超えると国道等も全面的に点検が始まるらしく、動員をかけられるという事だったのですが、鉄道も同じで震度4が基準なんですねぇ。まぁ、震度4とは言ってもかなり揺れている時間が長かったですから、崖とかは検査した方が良いのかも知れませんが、地下鉄のトンネルや鉄道軌道なんて、震度4では検査する必要が無いくらい頑丈であって貰わないと困ると思うんだが…

28日(木)
 やっちまった。。。駄作を見ちまった。。。田中麗奈に釣られて見に行った俺がバカだった。だいたい、〈イルカに乗った少年〉だか〈像に乗った少年〉だか、あっちの方が面白いって言う話を友達から聞いていたのに、常盤貴子みたいなババ臭いのよりも、田中麗奈だよなって、そういう選び方した俺を猛烈に反省中。いわゆる猛省中。でもね、でもね、田中麗奈は可愛かったんだよ。笑顔もいいし、ファッションもとってもオシャレで、キュートな感じだったし、周りの俳優陣との調和もなかなかで、田中麗奈は良いんだよアレでね。

 しかし、映画にしか出ないって言うポリシーなんだろうけど、こんな駄作映画に出るくらいならば、テレビ画面に出演してきて欲しいなぁ。今の時代的な売り方としては、映画にこだわるよりも、上質なテレビ作品を探すって言うのも一つの遣り方だと思うんだけどねぇ。確かにテレビは女優を使い捨てにする傾向はあるけど、こんな駄作映画を選ぶくらいだったら、テレビの方がよっぽどマシ。〈なっちゃん〉の頃の初々しさをちょっと残したいい演技で、最近の艶っぽい感じからはちょっと戻った演技をしていたけど、こんな映画にゃ勿体無いよ。本当に。

 ところで駄作〈姑獲鳥の夏〉の話に入りますか。っていうかどうしようか。これ。おい。金田一耕介とか明智小五郎とか、あのラインを狙っているのは分かるのさ。田中麗奈が小林少年みたいなもんでさ。でもあまりにもダメダメすぎ。金田一や明智のオドロオドロしさを取り違えているんじゃないだろうか。原作を読んで無いから何とも言えないんだが、原作が悪いの?監督が悪いの?まぁ、映像的にはかなりの改善の余地有り。最近は素人でももっとマシな映像を作り上げるんじゃないのか?実写にある程度こだわっているようだけど、明らかにCGにすべきだろと言うチープなシーンが多々有り。1970年代の映画じゃないんだからさぁ。観客舐めて無いか?

 さらにストーリーも酷い。こっからネタバレ。だいたい、20ヶ月以上妊娠って言う話を前もって見て、おいおいまさか想像妊娠をオチに持ってこないだろうな、って思っていたのに、本当に想像妊娠オチだよ。今更ねぇ。。。うちのチェリ造だってぬいぐるみ抱えて乳張って想像妊娠していたのに、この21世紀に想像妊娠がオチってさぁ。推理小説マニアをバカにし腐っているな。火曜サスペンス劇場だってもっとマシだろ。しかも犯人は多重人格と来たもんだ。いや、想像妊娠オチに比べればマシだけど、多重人格もかなり使い古されているだろ。さらには五芒星を引っさげて安倍晴明の陰陽道って、さすがに笑った。コテコテでんなぁ。

 こんな愚作を、いい俳優たち使って作っている、その真面目さが馬鹿馬鹿しくてすごい。ほんと俳優たちの演技はけっこう良いんだよ。田中麗奈だけじゃなく、堤真一・永瀬正敏・阿部寛・原田知世・いしだあゆみ・宮迫博之、ちょい役には清水美沙や篠原涼子に鈴木砂羽とかなり豪華な面々。しかもそれなりにいい演技。本当に映画って言うのは、どんなに役者を揃えても作れないっていうのが良く分かる。ここまで酷い映画の原作って言うのが、逆の意味で気になってくる。とりあえず金と時間は返して欲しい。。。