2005年11月 |
1日(火)
さてさて新潟の話でも。新潟はやはり日本酒が美味いねぇっていうことを再確認した学会でした。佐渡の天領盃が美味しかったので、帰りに自分へのお土産に買い込んで来ました。ただ今冷蔵庫で眠っているところですので、そのうち一緒に買い込んだ、茄子と生姜と牛蒡と大根の味噌漬けと一緒に頂きましょう。あと、のどぐろっていう怪しいお魚が、脂が乗っていてとても美味でした。お刺身で頂いたのですが、日本海の魚もなかなかいけますねぇ。
しかもどれもこれも安い。駅前のオヤジゾーンな居酒屋で飲んでいたのですが、越乃寒梅の本醸造(別撰)が居酒屋価格で4合2500円ほど。おいおいって言う感じで、普通の日本酒として飲めます。日本酒ブームははるか昔に去ったとはいえ、越乃寒梅の本醸造を東京の居酒屋で4合瓶頼んだら、確実に3000円台後半はいきますよねぇ。下手したら5000円台でもまだおかしくないからなぁ。この価格で美味しい日本酒が飲めるのならば、東京でだってもっと日本酒ブームが続いたでしょうにねぇ。と、6日のシンポジウムの準備に思いをはせつつ考えてしまいます。
ところで、帰宅後にアパートの前ではたと気付く。アパートと研究室の鍵を新潟のホテルに忘れてきてしまいました(ToT)。幸いにも大家さんがすぐつかまったのと、大学は守衛さんに開け閉めをお願いしたので、ホテルから着払いで鍵を届けて貰うまで、何とか過ごせましたが…必ず何かトラブルを起こしてしまう自分に自己嫌悪。酒瓶3本と味噌漬け抱えて、アパートの前でしばし呆然とたたずんでいる姿は、とてもじゃないけど目も当てられないな。我ながらかなり侘しかった。。。
しかし今回の新潟は、殆んど裏方で走り回っていただけで、あまり報告も聞くことができず、あれでしたねぇ。あと事務局生活も1年チョッとかと思うと、しばしの我慢と耐えるのみですね。秋口の学会なのに、Yシャツが汗びっしょりになっている俺って・・・しかも普段走らないから、2日目は筋肉痛でした。二日酔いの学会と言うのはありふれた光景ですが、筋肉通の学会と言うのはあまりないな。まぁ、走ったり階段上下を1日繰り返したりだけで、筋肉痛になってしまう状況は反省した方が良いかもしれないが。次の神戸は走ることも無いだろうし、ゆったりゆっくりと、気ままに行きましょう。
2日(水)
何人かで飲んでいる時に、植民地研究やっているのがいたので、最近は731部隊とかどういう事になっているのかと聞いたのですが、一応、生物兵器の実験を屋内でやっていたのと、ペストを撒布したっていうところまでは確定しているようです。ところが、撒布したペストが果たして広まったのかどうかが良く分からないらしく、この辺が現在議論になっているようですが、元々ペストの発生地帯にペスト菌ばら撒いたらしくって、ペストが発生していても、731部隊の戦禍なのか、自然発生か区別が出来ないらしく、結論が出そうに無いようです。しかし、ペスト発生地帯にペスト菌をばら撒いちゃ、実験としては完全な失敗だよなぁ。同時代的にも検証しようが無かったろうに…
でも中国共産党が731部隊研究をさせるために、その史料が眠っている文書館だけはオープンにしたとかで、なかなか植民地史研究の史料発掘というのも、大変なもんだなぁって感じで聞いていました。基本的に中国共産党に都合の悪い史料はクローズですから、中国の正史が、王朝交代後にしか書かれない伝統を、現在の中国共産党も脈々と受け継いでいるんだなぁなんて、妙なところで感心してしまいましたが。それこそ王朝交代した東欧やロシアなどの旧共産諸国は、旧政権時代の史料公開がどうなっているんでしょうねぇ。
4日(金)
妹から妊娠したと言うメールが。俺も伯父ちゃんかぁ。。。複雑な心境だなぁっていう前に、うちの両親がお祖父ちゃんお祖母ちゃんになる方がショックだな。まぁ、だらだらと恋愛関係を長く続けてきたから、そのうち籍も入れるんだろう。人が博論で忙しい時期に結婚式されたらツライなぁ。。。兄弟のご祝儀は5〜10万円か。独身で1人で参加だから5万円だな。しかし親族で結婚式の参加って、いったいいつ以来なんだろうか。小学校くらいの時に叔父の結婚式に出席した記憶があるが、たぶんそれが親族の結婚式の最後だったよなぁ。
と言うような話をしている一方で、父方の祖母が亡くなりました。ここしばらくは体調は良くなかったのですが、ついに永眠ということで色々と思い出がよみがえって参ります。父方の祖父は僕が小学生の頃に亡くなっているのですが、食事をする仕草が、僕は祖父にそっくりらしく、特に焼魚を食べるのは瓜二つとか、自分では全く記憶に残っていない祖父の食事シーンを、祖母が僕を見ながら話していたのが昨日のことのように思われます。ところが日仏会館のシンポジウムと葬儀が重なってしまい、東京を離れるわけにはいきませんので、弔電を打ったり何やりと、しばしドタバタしたりしていました。
しかし、慶弔がこう重なる不思議って言うのは、正に事実は小説より奇妙でして、何とも言えない感覚がします。しかし喪中になってしまったんですけど、どうするんでしょうか。。。まぁ、昨今はあまり喪中とか気にしませんから、大丈夫っちゃー大丈夫なんでしょうけど。でも、今年は年賀葉書ではなく、喪中の葉書を用意しないといけませんねぇ。親族が亡くなるのは小学生の時の、父方の祖父以来ですので、彼此24年ぶりの喪中です。今日はしんみりと清めの酒でもいただきましょう。
さて、話は全く変わりますが、酔いどれた席での話を元にして書いた2日の書き込みですが、お互い酔っ払って正確でないと訂正を受けたので、書いておきます。現在議論になっている話として、1941年に吉林省でのペスト菌撒布の効果があるかどうかという話で、それ以外1939年のチフス菌撒布ですとか、1942年の麗水、江山などでのチフス菌、コレラ菌、ペスト菌撒布とその被害などは、明らかにされているとの事です。詳しい研究は、松村高夫「本書の研究視角−社会史として平房を描く−」関成和(松村高夫・江田いづみ・江田憲治編訳) 『七三一部隊がやってきた村―平房の社会史』こうち書房、2000年ですとか、吉見義明・伊香俊哉『七三一部隊と天皇・陸軍中央』岩波ブックレットNo.389、1995年とか、松村高夫・解学詩他著『戦争と疫病―七三一部隊がもたらしたもの』 本の友社、1997年を参照にとの事です。
こちらが昨今の研究状況など、全く知らないままに聞いていて、相手は昨今の確定的な部分はすっ飛ばして議論だけを紹介したために、色々と抜け落ちたトークになってしまったようで、普段からの自分の不勉強ぶりを恥じ入るばかりです。暇な時間が出来たら、上記の書籍なども一度読んで見たいものです。
5日(土)
だいたいさ、タイトル「☆祝☆」 本文「妊娠したよ〜o(^-^)o」なんていうメールが妹から入れば、妹が妊娠したと思うわけじゃないですか。普通は。しかも立て続けに祖母が亡くなり、ドタバタしていたのですが、母親とじっくり話したら、何も聞いていないと突然取り乱されてしまい・・・もう僕としては、しまった妹はまだ言っていなかったのかと、妹に申し訳ない気持ち一杯になりつつ、でもうちの妹と母親の関係から、僕に言う前に話さないなんていうことは、あんまり考えられないよなぁって疑問が沸く。
まぁ、メール貰った時は僕も飲みに行く直前で、タイトル「おぉ」 本文「おめでとう!詳しい話はまた電話するよ(^0^)/」って返信しただけで話は終わっていたのですが、もしかしたらもしかするとと・・・そうしたらそうでしたよ。うちのチェリ蔵、本名チェリーっていうトイプードルがいるんですが、こいつのブリーディングをするって言う話を前にしていたのですが、その種付けが成功して妊娠していた、そういうだけの話だったようです。。。伯父さんと呼ばれる覚悟をして、ご祝儀のことまで考えていたのに。。。だいたいいい年して、紛らわしいメールを送ってくる方が悪いよな。っていうか、種付けのことを母親に話しておいてくれれば、そこで話は笑い話として終わるのに、取り乱されてしまってチョー大変だった。。。
いや、それにしても、メールって言うのは誤解を生みやすい情報伝達媒体なので、誰が妊娠したのかの主語まで、今後はちゃんと確かめたいものです^^;;;
8日(火)
ワインと日本酒のシンポジウムでは、1本1万円なんてするワインも楽しめ、美味しいサーモンやチーズと共に心いくまで堪能してきたのですが、昨今のパリ暴動などを見ていると、なかなかフランス本国は悠長なことを言っていられないようです。6000万フランス国民のうち、500万人が移民とその子孫だと改めて知らされて、なかなかな数字です。しかも移民の子弟の失業率は25%とかで、そりゃ不満も溜まるだろうなぁ。
昨日のN23で良い解説をやっていましたが、同化主義的な移民政策を行なったフランスが今回のようなパリ暴動、マイノリティのサークルを推し進めたイギリスはロンドンの地下鉄テロと、移民政策を安易に進めれば、どんな方法を選択しようと国内の摩擦はどうしようもないくらい高まるって言うことですね。前にも書きましたが、安価な労働力をあてにしてっていう、人権無視も甚だしい移民導入政策は、国内の摩擦をいたずらに増やし、治安も悪化させるだけだから全く良い事はないでしょう。それよりも、技術者や資本家や芸術家や研究者などに限定した移民受け入れ政策こそが、日本全体の活力を高める方策だと思いますけどねぇ。労働力不足は技術革新や女性・高齢者で埋め合わせるのが正当な路線だと思います。
ところで本田美奈子が白血病から回復できずに亡くなってしまいました。白血病に倒れる直前、昨年の12月にステージを見ているだけに、衝撃もひとしおです。世代的には、僕らより若干上の世代がどんぴしゃなファン層でしょうが、〈Oneway
Generation〉なんかは名曲ですねぇ。田村正和主演の〈パパはニュースキャスター〉の主題歌として印象的です。代表作とされる〈1986年のマリリン〉よりもこちらの曲の方がお薦めかな。あれは当時としては衣装が刺激的だったためだけで、曲としての良さは負けてしまうよなぁ。勿論ステージは見ていて楽しかったけど。しかし、最近は白血病からの回復が多かっただけに、本当に残念ですねぇ。まだ38歳でしたか。
あと、免許証の更新なんぞに行って参りました。いつの間にやら、誕生日前1ヶ月から、誕生日前後1ヶ月へと変更されていて、こんな時期の更新です。5年前には無かった携帯電話の罰金とか、飲酒運転の罰金額改正とか、チャイルドシートとか、その辺を中心に変なビデオを見せられました。しかしそれよりも驚いたのは、5年前には1階にあったはずの神田免許センターの手続場所が、3階に変わっていたことです。道路交通法よりも、そちらの方がよっぽど大きな変化だと衝撃的だった。。。
あぁ、あとは牛肉。アメリカ産牛肉の輸入問題ですが、20ヶ月未満の牛に関しては、日本でもアメリカでもプリオンを検出することが不可能なんですから、たぶん蓄積されていないと仮定して、脊髄や脳等がそれなりに適切に処理されていれば、輸入を許可するって言うのは、まぁ当然なラインでしょう。僕はたぶん買いませんが。と言うよりも、狂牛病騒ぎ以来、めっきり牛肉を食べなくても何の問題も無く過ごせることが分かり、肉類が食べたい時は豚・鶏・羊で満足しているので、殆んど関係無いですねぇ。かえって牛を食べないでいると、牛肉って臭みが強くて食べづらく感じるくらいです。まぁそうは言っても、外食、レトルト、さらには医薬品や化粧品等での牛関連の使用があるので、気持ち悪くても完全に避けるのは困難ですけどね。でもまぁ、20ヶ月以下ならば、気持ちはかなり悪いが、輸入を禁止する合理的な理由は無いよなぁ。
ただし、20ヶ月以上の牛に関しては、全頭検査をしない限り、決して輸入を許可すべきではないでしょう。アメリカの農務長官が30ヶ月未満までラインを緩くしろと主張していますが、そんな外圧に屈して日本人の生命を危険に晒すような行為が、認められて良いわけがありません。ただし、アメリカの牛肉業者も、大手と中小で異なっているらしく、中小では全頭検査をしてでも日本に輸出したいという生産者がいるようです。ですから、中小で日本の基準に沿って検査体制を構築するような場合には、20ヶ月以上であっても輸入しても良いと思いますけどね。問題なのはアメリカ大手の牛肉メーカーのロビー活動ですね。
10日(木)
今回のフランスでの暴動を拡大させた原因として、暴れている移民たちを「クズ」呼ばわりして一躍日本でも有名になったサルコジ内相ですが、政策的にも移民選別論を唱え始めたようです。日経新聞によると、熟練労働者、起業家、研究者、大学教授等に限定して移民は受け入れるというスタンスです。しかも受け入れ人数も限定するということで、若干の違いはありますが、僕が前々から主張しているラインと似通っていて、結構現実的な選択だなぁっていう感想です。自由と平等と博愛のフランスですから、あまり現実的な政策選択って言うのは似合いませんが、ここまで混乱して、ついに現実路線に踏み切って行くのでしょうか。しかし、まさしく〈パリは燃えているか〉ですね。本当よく燃える燃える。
14日(月)
さてたまにはミュージカルでもと、〈依頼人〉〈評決のとき〉のジョエル・シュマッカーが監督をした〈オペラ座の怪人〉を見ました。製作作曲は言わずと知れたアンドリュー・ロイド・ウェッバー、サラ・ブライトマンの元亭主です。怪人ファントムには〈トゥームレイダー2〉のジェラルド・バトラー、ヒロインクリスティーヌには〈デイ・アフター・トゥモロー〉のエミー・ロッサム、子爵ラウルにはミュージカル俳優のパトリック・ウィルソンなどです。やっぱりミュージカル映画は、スクリーンで見るべきだよなぁって思いながら、我が家の小さな液晶で鑑賞していましたが。。。
で、この作品なんですが、メインの楽曲3曲が、かなり早い段階で出尽くしてしまいます。〈Overtune〉〈Think
Of ME〉〈The Phantom Of The Opera〉この3曲はとっても素晴らしく、全く申し分が無いのですが、残りの曲がそれらと比べると弱い。やはりミュージカルの醍醐味は、終わりにどれだけ良い楽曲を持ってきて、そこまでに高めつつあった気持ちを、いかにして最後に向かって更に高ぶらせていくか、これだと思うんですよね。トップギアに入れた発散。それから考えると、ちょっと中弛みから、尻すぼみといった感が残りまして、不完全燃焼っぽいです。
DVDを買って、好きな場面だけ切り取って見れば充分かな。2時間20分もあったのか、ちょっとここまで只管に長いと拷問入っています。1時間半辺りからは睡魔との闘いになります。音楽ベースで話が進む分だけ、気をつけないと観客が眠くなること必然。大画面で見ていればまた違ったとは思いますが、映画館だと今度は気が散りそうだな。集中し続けるのはチョッと・・・
映像は1870年代のパリをイメージしているんですが、これはロウソクや松明の炎を効果的に用いることによって、かなりいい雰囲気を醸し出しています。しかも、炎が消えて闇の世界に変わる時、それがファントムの世界への入り口として見事に表の世界と入れ替わる。これが素晴らしい。あとは、醜い自分を嫌うファントムが、鏡を実はたくさん身の回りにおいてあるのが皮肉です。また劇場の中にも実に多くの鏡が配置されている。この鏡には、区切られた狭い空間を広く見せ、また闇の世界と表の世界の橋渡しもする、というように様々な役割が与えられているのだが、確かに鏡って不思議な物体ですね。そこもまた良かった。他にもオペラ座の美しさや衣装の壮麗さなんかもあって、映像的にはそれなりに満足できます。シャンデリアも見ておくべし。
17日(木)
なにやら、国立大学法人の入学金が、私立大学の入学金の平均を超えてしまったとか。勿論授業料があるから、それでも依然として私立大学の方が高いのだが、入学金は大学から大学院に上がる時にも徴収されますからねぇ。これって、かなり問題なんですよね。そもそも育英会(今は日本学生支援機構っだっけ?)の奨学金が、研究職に就いても免除対象にならなくなったのですら、高等教育をどう考えているんだと言うところなのに、さらに追加の負担を国民に強いるとは…僕らの頃までは、研究職に15年だか就けば免除される予定の600万円以上が、今の院生とかは全額自己負担になっている訳でして、チョッとどころでは無く洒落にならないでしょう。
大学はまだしも、本来ならば大学院なんて無料にして、積極的に国民に高等教育を受けさせることが、国際的な競争下で求められているはずなのに、いったいどうするつもりなんだか。1000歩譲って文系学部の院は置いておくにしても、理系なんて修士に進学させなきゃ、世の中的にもあんまり使い物にならないだろうに…先輩なんかには、企業に就職した後に、企業の金で大学に戻って数年間学んでいる人もいるが、大半の企業だと社員にそこまでの教育を施す余裕や制度がないだろうから、もっと国家的な視点で理系の院生へは援助すべきだと思うんですけどねぇ。理系の生涯賃金は文系に比べてただでさえ低いんだから、もっとフォローしないとおかしいでしょう。まぁついでに、相対的に人数は多くないから、文系の研究職志望にもおこぼれをというのもありますが(苦笑)
理系にしろ、文系の研究職にしろ、いったい文科省は優秀な人材を集める意図があるのか無いのか、そこがサッパリまるっきり分からない。義務教育費の地方移管は勝手にやってくれと思うが、高等教育は国が責任を持たなきゃ駄目だろ。現在の日本のようなシステム下では。
21日(月)
名古屋経由で神戸から帰ってまいりました。今回は経営史学会賞などいただいてしまい、恐縮至極なわけですが、あんまり誰も聞いていない中で挨拶をしたので、その要約も含めて若干エピソードを。話しは9月に遡るのですが、経済のエレベーターで某O先生と一所になった時に「今回はおめでとう」、と言われて「?」と顔を訝しめてしまったら、「あ、じゃぁいいです」とかえされ、更に「???」状態のままアパートに帰ったんです。そうしたら学会賞受賞の通知が届いていて、はたと手を叩いて合点がいったというわけです。
で、誰が経営学会賞を受賞をしているんだろうかと、いつも通りググって見たところ、あの先輩が受賞していたのかとか、あの先生も貰っていたんだと、かなり錚々たる顔ぶれに怖気づいてしまいました。。。やっぱり賞って言うのは、賞を貰った論文もありますけれど、賞を貰って以降の研究の成果っていうのが重要でして、歴代の受賞者の方たちが積み上げてきた学会賞の重みっていうのを、この小さな肩に感じたりしてしまいました。若手の中で経営史学会賞がこれだけ権威ある賞となってきたのも、過去の受賞者のその後の研鑽のおかげでしょうし、それに傷を付けないようにと、そんな所でしょうかねぇ。
で、受賞対象となった論文っていうのは、瀬戸の中小企業として展開していく生産者を、小零細経営からの分離として扱った論文です。その前の岐阜県東濃の生産者との差異で、最初は着目した対象です。そうしたら、瀬戸は技術革新を行なうのですが、これが、岐阜県東濃との産地間競争に遅れを取る中で、その苦境を打開する手段としての技術革新を行なっていたわけです。企業家のイノベーションという話しはよくしますが、その背景としての苦境っていうのを、明治中期から後期にかけて実証した論文になっています。
ところで、神戸大学にはイノシシが出るっていう話は聞いていたのですが、懇親会が終わって、バスを待つ列が長かったので、酔い覚ましとカロリー消費も込めて皆で歩いていたところ、なんと本当に遭遇してしまいました。2匹のちっさめのイノシシが、まさしく猪突猛進とはこのことなんだっていう、そう言う勢いで道路を横断して疾走。小さいながらに非常に勢いがありまして、これが成長した奴もあの辺をウロチョロしているかと思うと、確かに危険なものがあるかもしれません。
他にも色々書きたいことはあるんだが、チョッと疲れているのでまた後日。
22日(火)
さて、神戸では南京町に行ってまいりました。横浜の中華街よりもこじんまりとしているのですが、週末だったこともあってかなりの賑わいでして、更には横浜よりも呼び込みが激しいのがさすがは関西。関東であれだけ呼び込みすると、かえってお客さんは逃げてしまいそうな勢いでした。ところで、なかなかお勧めのお店を見つけてしまったのですが、華人工房っていって、南京町の入り口近くにあるデザート屋さんです。ココナッツプリンやマンゴー杏仁豆腐を買い込んで、ホテルでニンマリしながら堪能していました。これが、値段は若干高めなんですが、味は絶品です。
そもそも杏仁豆腐は好きな食べ物なんですが、普通の杏仁豆腐のようにツルッと固め過ぎておらず、程よい弾力と程よい弛みの、その絶妙なバランスがいい。しかも味わいは濃厚でして、でも杏仁とマンゴーがお互いに我を張らずに調和し合っていて、舌の上にまったりとした快感が走っていきます。ココナッツミルクのプリンも、これがいいトロトロ感が残っていて、プリンって言うか、なめらかプリンって言うか、ココナッツミルクでのトロトロさは初体験でした。他にも色々と美味しそうなデザートが満載だったのですが、人間の食べられる量というのには限度があるものでして、全てを食べつくせない自分が悲しくなります。
ところで、変な名前の食べ物@梅田編。浪人生時代以来の友人のうちに泊めて貰ったので、前日は梅田で飲んでいたのですが、〈きずし〉なる見慣れないメニューを発見。寿司の一種でありそうな予感は働くものの、全く招待が掴めないまま注文しました。そしたらなんと、出て来たのは普通のしめ鯖。酢鯖、しめ鯖とは言いますが、関西ではこいつを〈きずし〉なる名称で呼ぶんですねぇ。なれ寿司に対する生寿司っていう意味なんでしょうか?
あと変わったものは〈鯛わた〉。鯛の内臓であることは名称から想像がつくのだが、味はいたって不明。そこで当然の如く挑戦してみました。塩辛っぽい見た目なんですが、味は塩辛とは程遠い。あえて例えるならば、チャンジャ(鱈の内臓の塩・唐辛子漬)を甘くしたような味わいでして、お酒のつまみよりも、お茶漬けとかにしてやると美味しいかも。ちょっと上品過ぎて、田舎者の口には、お酒のアテとしてはパンチに欠けていました。
それにしても、神戸大学は寒かった。イノシシが猪突猛進するくらいの標高なわけですが、とにかく寒かった。六甲おろしに颯爽と、と関西人が歌っているのがほんと良く分かりました。
25日(金)
秋ですし、若干サイトを変更です。といいましても、現状にそぐわない部分を削ぎ落としているだけで、大幅な変更はしていませんが。一つにはプロフィールで無駄な部分を省いたのと、もう一つはこの頁のタイトルを変えただけです。まぁ、実質的に映画評と時事評の頁になっていたので、名は体を表している方が良いでしょう。
というわけで、樋口真嗣監督による〈ローレライ〉です。主演は役所広司、共演に堤真一、妻夫木聡、石黒賢、柳葉敏郎等がでています。時は1945(昭和20)年8月上旬、まさしく日本が降伏に向かっていく時期に、3発目の原爆が東京を狙っているというシチュエーションによって、それを阻止すべく役所広司が館長をする潜水艦〈伊507〉が出航していきます。映画の出だしを、アメリカ軍側の視点で描き、アメリカが名付けた正体不明の〈鋼鉄の魔女〉として持ってきたのは上手いところです。
この手の作品はメッセージ性が強いことが多く、この作品でも堤真一演じる浅倉大佐がそのメッセージを語る役どころを与えられるわけですが、これがいただけない。なんと、手ぶらコードレス無線で会話をするという、1990年代であるかと錯覚させてしまう演出。1945年にそんなハイテク技術が存在していたら、日本は負けちゃいないだろと突っ込みたくなるような、そういう無茶苦茶さに圧倒されてしまいました。基本的に、映画の中の矛盾とかあまり気にしないタイプなんだが、手ぶらコードレスはさすがにチョッとやりすぎです。その他も色々ありますが、日本海軍の恐るべき技術力に見入られ、ストーリーどころではなかった(苦笑)
ここはネタバレ。しかし、天才と言われた浅倉大佐だとしても、どうして誰も彼を止めないのか。誰も彼に反論しないのか。東京に原爆を落とすことで、戦後日本の無責任体質が逃れられると言うのは、いくらなんでもトンデモ論であって、全く論理的ではない。こんなトンデモ論に、いくら銃を突きつけられているとはいえ、全くの反論も無く黙って拝聴していると言うのは、どう考えてもおかしいだろう。天才ならばもっと筋立てて語らせてくれないと、風が吹けば桶屋が儲かる的な議論には困ったもんだ。
あと、メインは潜水艦という限られた空間ですから、映像的な面白さっていうのは少ないんですよね。機械に詳しければ色々とあるのでしょうが。一つ印象的なシーンを上げるならば、妻夫木と日系ユダヤ人役の香椎由宇が、2人して船上に上がるシーンがあるのですが、そこでの夕日に彩られた2人が、セピア色に染まっていて、それが圧迫された潜水艦という空間との対比で良かったですねぇ。戦闘シーンはハリウッドとかから見ると、やはり見劣りがします。同じようにCGを使っているのに、どうしてこうも見劣りがするのだろうかと、それが気になる。CGもかける予算によって出来が違ってくるんでしょうか?
内容のほうでは、軍部における無責任体質だとか、無茶な人権無視も甚だしい特攻だとか、軍隊内における暴力的な様子だとか、戦争最末期の焦土であるとか、今まで散々語られて来たことなので、これといって目新しい話はありません。どうしてこの映画がヒットしたのか、僕にはよく理解できないなぁ。役者を見るにしても、別の作品で堪能することをおススメします。
28日(月)
日本人が生涯でする買い物のうち、多くの人間にとって最も高額なのがたぶん住宅なわけですが、今回の耐震強度の偽造を見ていると、なかなかリスキーな買い物だよなぁって考えさせられます。元々1戸建てに関する手抜き工事とかはしばしばニュースになっていましたが、マンションよお前もか、っていうのが今回の事件のポイントですからねぇ。1戸建てだけじゃなく、マンションも、手抜き工事が横行しているかはともかく、それなりに存在するらしいという事でして、自分が買う立場になったらなかなか困りものですよねぇ。
そもそも素人があの手の設計図を見て理解できる訳も無く、医療におけるセカンドオピニオンのように、建築も第3者の意見を聞くというシステムを作らないと、1戸建てにしろマンションにしろ、手抜き工事は無くならないでしょうねぇ。しかし、建築家の友人にやゼネコンの先輩に聞いたところによると、建築士を施工主・建築主と全く関係無い人物を用いるだけで、だいたいコストは1割アップするとの事。4000万円の家ならば4400万円ですからねぇ。安全とは高い買い物です。本来ならばこの建築士が、セカンドオピニオンの役割をするはずなのですが、今回のように施工主や建築主と癒着した、安価な建築士の場合には、全くチェック機能が働かないって言うことですからねぇ。
1割高く払って安全を確保するのも良いですが、セカンドオピニオンを実施してくれる建築士が誕生して貰いたいものです。医療の場合もそうでしたが、他人の診療に口を出さないと言う、そういう悪しき慣習から建築では現在はあまり見かけないんだと思いますが、発想の転換でして、建築のチェックは普通はセカンドオピニオンを利用する者という慣習さえ出来上がれば、医療現場ですら出来るんだから、建築現場で出来ないはずがない。保険の10倍、自動車の20倍とかいう高額の買い物なんですから、世間一般の価値観の変更が重要じゃないですかねぇ。建築士の方も、5〜10万円位の費用で、セカンドオピニオンって言うビジネスを考えないものでしょうか。だいたい建築士って余っているんでしょ?
29日(火)
公職選挙法違反や覚醒剤取締法違反に続いて、今度は弁護士法違反で議員逮捕とは、民主党はある意味人材が豊富なようです。新党首の前原代表が、なんだか謝罪担当の党首みたいで、かなり気の毒。秋の夕暮れのような哀愁が漂っていまして、謝罪している姿しかテレビで見かけないような気がする今日この頃。そもそも40代の党首ということで、若さを売りにして、小泉首相より2世代下、安倍官房長官よりも1世代下、っていうフレッシュさを売りにできる筈だったのに、それすら自民党の杉村太蔵に奪われちゃってますからね・・・
いやはや、最初はあんなにバッシングを受けていたタイゾー君を、いつの間にかお茶の間の人気者に仕立て上げてしまった、飯島秘書官だか世耕議員だかの手腕も恐るべし。立党50周年の式典でも彼がパフォーマンスをやっていましたが、50年目の自民党が若々しく、立党10年未満の民主党の方が疲れて見えるのは、果てさてどうしたものやら。。。そもそも野党って言うのはこれといった政策を実現することが困難だから、クリーンさとパフォーマンスで売り出すしかないはずなのに、クリーンさはないは、パフォーマンスも出来ないはで、敵失待ちの状態では先が思いやられます。
西村議員は核武装論を唱えてみたり、北朝鮮への先制攻撃を唱えてみたり、さすがにチョッとやり過ぎ感が漂っていて困りものの政治家でしたが、それにしても民主党っていうのはバラバラで統一感の無さに圧倒されます。自民党よりも右翼的な人物から、社民党や共産党なんかと大差ない人たちまで、よくもまぁ寄せ集めたもんだと感心します。けど、もうちょっと統一感の取れる範囲に収めてくれないと、支持するにも大変だと思うんだが…今は謝罪でしか見かけない前原さんをもっと盛り立てて、政権交代できる政党に民主党を脱皮させて貰いたいものです。
30日(水)
とあるところからチケットを頂いたので、ブラブラと気分転換に上野の国立博物館へ、伊万里焼と京焼の展覧会を見に行ってきました。普段から陶磁器を扱っているものの、あまり実際にどんな製品かを意識していないで、生産数量やら生産者数ばかり気にしているものでして、ちゃんと美術的な品に目をやると心が洗われます。時期的には近世初期から後期にかけての美術的な価値の高いものばかりでして、明治期の庶民が広く使うようになった物と、近世の武家や豪商たちに使われていた物との、品質的な格差に目がいってしまいました。やはり生産者数を限定することによって、美術的・品質的な水準を維持しいてた時代なんでしょうねぇ。
ところで琴欧州が大関に昇進ということで、ヨーロッパ出身力士としては初の大関の誕生です。別にブルガリア出身の琴欧州にちなんでいるわけではないのですが、最近は少々ヨーグルトがマイブームでして、朝食にヨーグルトを食す日が増えています。ところで明治ブルガリアヨーグルトといえば、大阪万博でヨーグルトと出会って以来の深い関係ということは有名ですが、今でも毎月2回、ブルガリアから乳酸菌株を空輸してきているらしいです。日本国内で培養した乳酸菌では、味が変わってしまうのでしょうか?どんな姿形をしているか知りませんが、まぁあいつらも生き物ですから、意外と繊細なんですねぇ。そんなブルガリアヨーグルトのCMに、琴欧州が起用されることが決まったとかで、当然だろうっていうか、今まで起用されていなかった方が驚きです。化粧回しは前々から確かブルガリアヨーグルトなんですけどね。