2007年5月

3日(木)
 大学に就職しちゃうと、GW中って言うのは絶好の研究時間でして、自宅と大学の往復だけの隠遁生活みたいになっちゃいます、って書こうと思ったら、何やら僕が東京でお気楽に遊んでいるらしいという話があるとか。。。いやはや、そんなお気楽に遊べる身分ならば、喜んで遊び呆けたいんだけど、色々原稿は抱えているは、昨日また別に新しい原稿を依頼されてしまうはで、学会でもないのに東京へ遊びに行っている暇は無いって(苦笑)箱崎まで来ていただければ、いつでも屋台にでもご一緒します。

 社経史が月末だから、前日の金曜日の夜に友達かき集めて、パーッと飲み会やろうと画策しているので、その面子をどうするか思案中くらいの楽しみしかないんだけど、とりあえず3人は捕獲。まぁ、ディープな飲みをするには適性人数のような気がするし、騒ぐにはもうチョッと集めようかという気もするし、はてさてどうしたもんでしょうねぇ。いつも利用しているホテルが、月末の週末で予約できなかったから、ちょっくら宿泊が不便な場所になっているのはイマイチなんですよね。酔っ払って宿泊して、次の日は山奥だからなぁ。改めて遠いなぁ。今から若干ブルー。

4日(金)
 祝日と祝日に挟まれた日は、国民の休日になるんだったよなぁっと思っていたら、何やら今日はみどりの日とか…ん?4月29日が昭和の日になったおかげで、5月4日にみどりの日が横滑りしてきていたんですね。すっかり忘れていました。そんなことよりも、5月1日のメーデーを祝日にして、4月29日と5月1日に挟まれた4月30日を国民の休日、5月1日と5月3日に挟まれた5月2日を国民の休日にしてしまえば、どんなに短くても4月29日から5月5日までの7連休は確保できるのになぁっと、憤懣やる方ない思いでいっぱいです。

 とはいえ、今年は5月1日&2日とど真ん中に2日間あるおかげで、海外旅行を躊躇させたらしく、国内への旅行が大目とか。まぁ景気的にはそちらの方が好ましいので、なかなか難しい問題ではありますけどね。景気といえば、今年はラニーニャの影響で猛暑が予想されていまして、家電・衣料・電力・飲料品等々かなり恩恵を受ける業種がありそうです。ただ、水不足が予測される事態なので、水源が貧困な福岡はどうなってしまうのか、チョッと心配だったりします。しかも穀物価格が上昇している昨今、ラニーニャはアメリカでは冷夏で穀物不作を引き起こしますので、こちらも注意が必要そうですねぇ。

7日(月)
 最近宮地のサイトは面白くないと言われていることとは関係無いのですが、たまにはお酒を飲んだ勢いで好き勝手なことでも。幸いにも、大学院時代も、福岡へ来てからも、僕の周りの一緒に仕事をする方々って言うのは、僕が恥じ入るくらいよく働く方々ばかりで、一緒にいて人間的にも恐れ入るし、見習いたいし、こういう人たちと一緒にいられると言うこと自体が楽しい中に身を置いてきました。東大時代だったら、高村さんに始まり、加藤陽子、宮地正人、藤田覚、大豆生田稔、谷本雅之、武田晴人、加瀬和俊、西田美昭、粕谷誠、橘川武郎、岡崎哲二、伊藤正直、中村尚史(すべて敬称略)と、お世話になったどの方々も素晴らしかった。九大に来てからも荻野喜弘、有馬学、三輪宗弘、北澤満(こっちもすべて敬称略)と真面目でいい人たちに囲まれて、とっても楽しくやっています。

 しかししかし、世の中には何も働かない人って言うのがいます。何もって言うと語弊がありますが、必要な事を働かない人がいます。研究者っていうのは、今になってやっと分かるのですが、実質的には研究だけをしている訳ではなく、それに伴う様々な雑務の中に身を置いて、その傍らで研究もやっているのが優秀な研究者だと思います。ところが、この必要不可欠な事をやらない人がいる。自分の必要な事を行なわず、自分で大変な目に合う分には自分の勝手なのですが、他人が関係してくる部分でも働かない人がいる。これははっきり言って迷惑です。

 で、大体そういうトラブリそうなところって言うのは目に付くものでして、僭越かなぁっとも思いつつも、僕もよせばいいのに、あまりにも酷いので、ついつい忠告してしまったんですね。そしたらこれが良くなかったらしい。若造の癖に、何を生意気に、ってやられてしまった。まぁ相手は悪名高き団塊世代。身の回りの団塊世代がいい人ばかりで油断していたのですが、世間的にバッシングされるだけあって、本当に酷い団塊世代の象徴に当たってしまいました。その場は、よく分からないまま、仲介してくださると言う方の好意に甘えて、とりあえずは平身低頭謝る。

 ただ、そう平身低頭意味も無く謝ったからとっいって、僕が最初にトラブルだろうなぁって思った点が解消されるわけも無く、ただただ無意味に放置されていたために、案の定予想通りにトラブル事が発生。僕の方からやっぱりトラブリましたねという暇も無く、また勝手に団塊オヤジが怒りまくるわけですが、そんなトラブル最初っから分かっていただろと、あまりにも無責任、いい加減、それなのに高圧的な態度に辟易としてしまいます。自分が仕事をしないのに、どうしてあぁも偉そうな態度に出られるのか、それが僕には全く理解できない。団塊世代で年くっているから偉いのか?

 教訓。働くべき仕事を行なわない人と、一緒になってはいけません。確かに、トラブルが生じる前から、彼は全く何もしないで他人任せで、ひたすら他の人が働いていたんだよなぁ。目の中には入っていたはずなのに、トラブル前に逃げ出せなかった自分を反省中。東大時代や九大の感覚で、みんな目の前の仕事はちゃんと行なうと言う錯覚が、知らず知らずのうちに出来上がっていたんでしょうね。仕事を放棄して何もしない人は、ほんと驚くほど何もしないですよ。しかも誹謗中傷は一人前。トホホですね。

8日(火)
 先日、北九州市に光化学スモッグ注意報が出たと言う話を聞いてはいたのですが、ついに福岡市にも発令されてしまいました。日本国内では環境問題意識の高まりや、過去の種々公害への反省から対策が施されて、窒素酸化物や揮発性有機化合物を含むような工場煤煙や排ガスなどは、ほとんど見かける事が無くなっていたので、はるか昔に終わった話と思っていたんですけどねぇ。

 しかし地球は一体化しているといいますか、日本国内で一番西に位置してしまっている九州では、中国大陸での工場煤煙や揮発性有機化合物が、偏西風に乗せられて届いてしまっている状態でして、中国大陸での公害・汚染をなんとかしないと、九州の人間の健康に影響を与えるレベルにまで来てしまっています。このままだと、中国・関西・東海・関東と、順次東へ東へと被害は拡大していくことでしょう。

 光化学スモッグは高温時に化学反応で発生しやすいので、夏場は建物の中にエアコン効かせてまったりしているのが一番の予防策なのですが、外出しなければいけない時は、手早く移動し、帰宅後に手洗い、顔荒い、出来たらシャワーも入った方がいいとか。でも外でシャワーなんて無理ですから、洗顔用のフェイシャルペーパーは持ち歩きたいところですね。美容のためよりも、健康のために必須です。

 ですがより根本的には、中国大陸での環境破壊をなんとかしないと、日本国内だけで解決するレベルの環境汚染ではないですからねぇ。公害防止技術というのは、日本企業はかなり進化させてきているのですが、中国側がその技術を買う事を拒否しているとかで、一向に中国の工場で採用される事態にはなっていません。公害を起こしてしまった方が、公害防止技術を買うより安く上がると言う、極めて単純な理由から導入していないわけです。中国は2006年度で1,775億ドルもの貿易黒字があるわけでして、サミット等で中国が適切に公害防止技術を輸入するよう、国際的な圧力を強めて行くべき段階にあるのではないでしょうか。日本の公害国会のように、下から声を上げて公害が解決される可能性は低いですから、国際圧力によって改善させるしか方法は無いと思うんですがね。

10日(木)
 研究生の受け入れに関して、その基準を載せたところ、なんで中韓からの留学生だけ別基準なのかと聞かれてしまいました。話はいたって簡単で、欧米の大学が入るのが簡単で卒業が難しいのに対して、中韓は日本と同じように大学入学自体が難関なために、入学がスクリーニング機能を果たしているためです。それに加えて、僕が知っている日本と類似の国が中国と韓国しかなかったためでして、もし別の国でも同じようになっていれば、中韓からの留学生と同じように扱います。

 入るのが易く、出るのが難しい日本の現状の大学システムが良いか悪いのかは議論が色々ありますが、大学で思う存分遊んだ方が大学院へ入って心置きなく研究できるような気もします。と、自己の過去の行動を正当化してみる。まぁ、大学で遊べば大学院で全く遊ばないというわけではないですが、高校で汲々とした受験勉強をし、大学で必死に卒業単位を稼ぎ、大学院でより専門的な研究をするとなると、息抜く暇がないよなぁ。受験勉強をなくすか、大学をある程度レジャーランド化しておくかなら、個人的には現状でいいかな。レジャーランドでもやる奴はそれなりにやってますし。

18日(金)
 いやぁ、九大に来てからの2着目のスーツをオーダーしてしまいました。前回のが春秋冬物なのと、手持ちの夏物のスーツが7-8年着ていてかなり疲れているので、夏用のスーツも新調しようって思い立ってしまいました。7月頃に秀村さんの恩賜賞学士院賞のパーティーもあるらしいので、夏物のスーツが無いっていうわけにもいかず、ボーナス払いという事で・・・

 今回も前回と同じように麻布テーラーへ行ってきたのですが、最初の心積もりでは夏用で薄手なので、8万円位であげようと思っていたんですね。ところが麻布テーラーのテーラーに笑われてしまったのですが、夏物の方が涼しさを出すために、高番手の糸を使って、風を通すよな目で織り上げるので、技術的に高価格になってしまうんだとか。言われてみれば、確かにそうだよなぁっと、納得。普段、16番手の糸がどうの、18番手の糸がこうの、40番手になってなんだと話していながら、実生活に全く結びついていなかった自分に驚きです。

 と言うわけで、前回と同程度のグレードのスーツを作ろうとすると、同程度の金額がかかってしまうということで、夏で布が薄くて軽くなっているのに、11万円のスーツをまた買っちゃいました。グラム当たりのコストが上がっているので、理屈は分かってもなんだか微妙なところはありますが。しかし前々から不思議なんですが、同素材使っているのに僕の衣服と、女性のSサイズとかまで同じだと、グラムあたりの単価で得した気分がするのですが、軽い服を買っている人たちは、みんな納得しているのでしょうか???衣料品の価格体系はとっても不思議です。

 そういえば、先日国民投票法案が可決されましたねぇ。あれもチョッと書きたい事があるんですが、また今度。

22日(火)
 週末に社経史で出かける創価大学が、4月にはしかで閉鎖というニュースを聞いていて、5月末でづれていて良かったなんていう話を、福岡の方ではしていたのですが、なんとその後も感染は広がって、上智なんかに続いて遂には早稲田も大学閉鎖なんていう事になっているとか・・・MMR3種混合ワクチンの副作用のおかげで、ちょうど今の15−20歳がはしかワクチン未接種世代という事らしく、どうやら手が付けられない状態のようです。

 九州まではしかがやって来て拡散(潜伏期間は約2週間らしい)するには、誰かが感染したまま飛行機ででも持ち込まないと無理なので、もうチョッと首都圏で感染が拡散して、早くて6月中頃から末くらいでしょうか。でも出来たら、首都圏で頑張って感染拡大を食い止めて貰いたいものです。まぁ、自分がウィルスの運搬役にならないよう、人混みは極力は避けたいとは思うのですが、東京で人混みを完全に避けるというのは、無理な相談ですからねぇ。。。しかし、はしか程度でこんなに大騒動になっていて、生物兵器とかばら撒かれたら、いったいどうなってしまうんだろうかと空恐ろしくなります。24シリーズでもまた見たくなって来てしまった(苦笑)

 はしかの場合は感染力が強いため、予防接種を昔々していても、症状は軽いものの罹患してしまうようでして、これが更に感染に拍車をかけているのだとか。症状が軽いと、人間無理してしまうわけで、そうすると感染する場所が増えるという悪循環のようです。いっそ、みな感染したら治癒するまで寝込むしかなければ、もっと感染が抑えられるのでしょうけどねぇ。潜伏期間だけじゃなく、症状が軽い人からの感染にも要注意です。って言う事で、実質的にほぼ予防は無理じゃないかという気もしますが・・・今からでも、対象年齢者に予防接種をバシバシ受けさせちゃいましょう。来年以降も同じことの繰り返しなわけで、医療費や社会的コストが上がるより、そちらの方が安上がりでしょ。

28日(月)
 他に書こうと思っていた事があったのですが、松岡農水相が自殺ですか。なんと現役閣僚の自殺は鈴木貫太郎内閣の阿南惟幾陸相以来ということでして、1945年8月14日(絶命は翌15日)から数えて62年弱ぶりの出来事です。色々と調べものがあった関係で月曜まで東京にいたのですが、羽田第2ターミナルのラウンジで飛行機待ち合わせのための時間を使って読書をしていて、ふと顔を上げてテレビ画面を見たら、松岡大臣死亡の文字が見えて、この状況ですから自殺だろうなぁっと思ったらやはりでした。

 しかも、本当に偶然なのですが、新宿の紀伊国屋書店をブラブラしている時に城山三郎のチョッとしたコーナーがあって、まだ読んでいなかった〈落日燃ゆ〉を購入して、ホテルで読んでいて、移動の電車でも読んでいて、ラウンジでも読んでいて、ほぼ終わりに近付いたあたりで、顔をふと上げたら松岡大臣死亡の文字だったわけです。なんだか不思議ですねぇ。〈落日燃ゆ〉で松岡と言えば、そういえば松岡洋右は東京裁判の判決が出る前に病死でしたね。松岡洋右と白鳥敏夫がいるから靖国に行かないと言う、昭和天皇に関する富田メモもそういえばと、なんだか話が脱線してしまうくらいショックを受けています。

 しかも、松岡大臣自殺のニュースをググっていたら、ZARDの坂井泉水が癌の闘病を苦にしてこちらも自殺。しかも最期は同じ慶應病院ということで、あぁ、それで松岡大臣の自殺の報道があんなに手際が良いのかと妙な納得をすると共に、坂井泉水が自殺かぁっていう、無常観がより一層の無常観が漂っています。本当に、なんだか世の中無常ですね。。。

30日(水)
 松岡農水相の自殺で話がズレてしまいましたが、社会経済史学会で東京へ行ってきました。ANAユーザーとしては、日曜日のシステム障害にちょうどバッティングするところだったのですが、日頃の行いがいいせいだと思われますが(ここ強調)、月曜に東大経済で調べ物や打ち合わせをついでにして来た関係で、非常に空いて広々とした快適な空の旅を堪能しつつ福岡へ帰ってくる事が出来ました。しかし、新しいシステムへと更新しようとしたら不具合が起きて、どうにもならないから古いシステムに戻したら正常に動いたとか・・・いやはや、ANAの発券システムに限らず、見切り発車でのプログラムのアップデートは止めて貰いたいものです。

 社会経済史学会といえば、角山栄さんの乾杯の挨拶がやはり印象的でして、乾杯用のグラスを持たずに乾杯の挨拶を始めた人というのを始めてみました。確かに、グラスを持たずに挨拶を始めた方が、長々と漫談できるので、そういう意図だったのかと途中で気付きまして、こっちもグラスをテーブルに置いて聞いていましたが。ですけど、できうれば挨拶は短く、幸せは永くというのが理想的です。でも、さすが関西人、トークが面白いから困ったもんだよなぁ。

 あと、社経史の編集システムが改変されるという事でして、今までの内部1人審査制から、内部外部の2人審査制へと変わるとか。研究者の興味関心と、研究対象がここまで広がってくると、内部1人審査制というのはかなり無茶な話だろうとは想像できまして、あまりにも的外れの審査コメントが返って来ただとか、どうしてこんな論文が掲載されているんだとか、よくない噂も広がって色んな所から聞いていただけに、時宜を得た対応という所でしょうか。僕も相談されると、社経史に投稿するよりは、別に回した方が無難だよとしばしばアドバイスしていましたが、システムが変更されれば、また社経史も貴重な投稿先に戻ると期待したいですね。

 先駆けて編集システムを改変した経営史学が、外部2人審査制+内部担当者で実質3人の目に触れる編集体制でして、経営史学に掲載される論文の質が、グッと安定化した実績がありますからねぇ。やっぱり学会誌というのは学会の顔でもあるわけですから、そこにどれだけコンスタントにいい論文を掲載できるかというのは、学会ごとの質を担保するとともに、経済史や経営史という学問分野の質を維持する意味合いも持ちます。学問として説明責任を問われることも多い昨今、学会誌が劣化していたら、その分野はどうしようもなく衰退するだけでしょうから。