2007年9月

3日(月)
 アメリカへ行ってきました。そして帰路に東京で途中下機して、研究会に出てきました。というわけで久しぶりに新宿中村屋にカレーを食べに行ったのですが、四川カリーっていう季節限定商品が出ていて、これが山椒がよく効いていて美味い美味い。もうしばらくやっているはずなので、東京にいる方は是非ともお勧めです。福岡で未だに美味しいカレー屋を見つけられない宮地的には、東京に行くとなぜかカレーが食べたくなるんですね(苦笑)

 で、四川カリーを食べるついでに、先日は夏休みで混んでいたので見逃した〈ハリーポッター不死鳥の騎士団〉を見てきました。重要な人物が死んでしまう、死んでしまうという話を前前から聞かされ、それでも誰が死んでしまうのかは耳にしないままここまで辿り着いたのですが、いやはや、これは呆気なかった。期待外れというか何というか、全体を通して、このシリーズの中では一番いただけない出来だったのではないでしょうかねぇ。

 勝ち気でチャーミングなハーマイオニーだけじゃなく、ルーナ役のイヴァナ・リンチが不思議ちゃんぽさをよく出していてお勧めですけど、ダンブルドア校長はやっぱりリチャード・ハリスが良かったなぁ。なんで亡くなっちゃったんだろうか。こういうシリーズ物は、一番最初の印象が強烈に残ってしまうので、キャスティングが替わると辛いんですよね。賢者の石と秘密の部屋で2001年2002年ですから、もうリチャード・ハリスは5年も前のはずなのに、マイケル・ガンボンのダンブルドア校長にいまだに馴染めないんだよな。。。

 今回はアラン・リックマン扮するスネイプの過去が明らかにされるけれど、スネイプとハリーの父親とのエピソードなんかも含まれていて、賢者の石から見ている身としては、色々と考えさせられることもありますね。アラン・リックマンやエマ・トンプソンを見ていると、また久しぶりに〈ラブ・アクチュアリー〉を見たくなってしまいますね。

 と、ツラツラと書いていたら何時になってもアメリカまで戻れませんが、帰りの飛行機では隣にアメリカ人のおじちゃんが座ったのですが、このおじちゃんがワインを最初から最後まで飲み続ける人で、時々トイレに籠もったままでて来ないし、大丈夫かなぁっていう心配をしていたのですよ。そうして座席に戻って、苦しそうに眠って、毛布をかけて、あぁあと思っていたら、ワイングラスがガチャン・・・おもいっきりこぼされてしまいました。僕も毛布をかけていたので被害はなかったのですが、あぁ言う隣の人が不安定に置いているワインって、勝手に片付ける訳にもいかないですし、なかなか難しいもんですよねぇ。

 帰りの飛行機の機内では、まだ公開前の〈パーフェクト・ストレンジャー〉を見てきました。アカデミー主演女優を獲得しているハル・ベリーと、ブルース・ウィルス、それにジョヴァンニ・リビジっていう〈プライベート・ライアン〉や〈ロスト・イン・トランスレーション〉などに出演したらしいんだが僕はよく知らなかった俳優さんと、この辺がメインの作品です。インターネットのチャットなどで、人が他人に成り切る事ができる「現代社会」をモチーフに、完全に騙し切ることを目論んだ完全犯罪を描いたサスペンスです。ネットの匿名性を批判するハル・ベリーが、自分もペン・ネームで記事を書いている記者じゃないかとジョヴァンニ・リビジに指摘される所なんかは意味深です。

 それはさて置き、ブルース・ウィルスと対峙するハル・ベリーがかなり良くて、こっちはお勧めの一作ですね。サスペンスとしてはストーリー的にそれ程奇抜でもないので、まぁある程度のところで分かってしまうのですが、ハル・ベリーもブルース・ウィルスも好きな観客としては、見ていて飽きさせないいい作りになっています。大富豪の家に婿養子に入って、浮気をしては、妻に頭が上がらないという役柄を、ブルース・ウィルスがよく演じています。そして、ハル・ベリーに惚れていて協力させられるジョヴァンニ・リビジも意外と当りです。勿論、幼馴染が殺されて捜査に乗り出すハル・ベリーもいけてます。ただまぁ、キャスティングが違ったら土曜ワイド劇場で十分だろうなぁっていう気はする。。。

 そういえば昨年に続いて2回目のアメリカなので、時差ぼけ対策が意外と万全に身についていまして、日本からアメリカに向う時は極力寝ないようにする、アメリカから日本に帰って来る時は早い段階で寝てしまう。こうすると、アメリカにいる時は若干、日本に帰ってからは殆ど時差ぼけを感じません。今回は1週間しかアメリカにいなかったので、まだアメリカ時間に体が順応する前に、日本に帰ってきたと言うのもあるんですけどね。

 さて、それではアメリカでの話といきたい所ですが、疲れたのでこの続きはまた後日。

8日(土)
 アメリカは南部、アトランタまで行ってきました。アトランタ市は福岡市と姉妹都市となっています。別にそれで行ったわけではありませんが。マーガレット・ミッチェルの〈風と共にさりぬ〉の舞台でもあり、黒人解放運動のキング牧師が生まれた地でもあります。ジェシカ・タンディが最高齢アカデミー主演女優賞を獲得した、モーガン・フリーマンとの名作〈ドライビング Miss デイジー〉も アトランタのお話でした。アトランタではそれらにちなんだ場所はどこにも行ってはいませんが。

 某企業のヒアリング調査でアトランタに行ったので、アトランタではそこの広報・宣伝関係の副社長さんに案内をして頂いたのですが、広報・宣伝関係のエキスパートだけあって、至れり尽くせりの調査でとっても快適に過ごしてきました。とっても申し訳ないくらい充実した1週間でした。一番ビックリしたのはステーキハウスで注文したステーキでして、16ozと書いてあるもののメートル法で生活している人間にはイマイチ分からないのですが、とにかくどでかいステーキが出てきまして、ホテルのパーティーなどでロースとビーフを切り分けているコックの気分で肉を切って食べていました。日本に帰ってから調べた所、16ozは453.6gらしく、どうりでペットボトルを横に寝せたようなボリュームだったわけだと納得。これだけのボリュームですが、肉の焼き方が絶妙で、さらには赤ワインとの相性も抜群で大満足でした。アメリカのステーキを始めて堪能した気分です。

 食べ物で言えば、ジョージア州の片田舎の方へ行ったときに、カントリークラブへ連れて行って貰いました。日本でカントリークラブっていうと、どうしてもゴルフ場っていうイメージが固定化されているので、何故にゴルフ場というクエスチョンマークが頭の中を行き来していましたが、アメリカでカントリークラブっていうのは社交場を意味しているんですね。勿論ゴルフ場も併設されていますが、それはカントリークラブの一施設でしかないわけで、レストランとかもゴルフ場と並ぶ一施設でした。そこでハンバーガーを頂いたのですが、アメリカの伝統的なハンバーガーっていう感じで、付け合せのフライドポテトと共に頬張りましたけど、肉食の国の肉はすごいよなぁ。

 さらに良かったのは、肉食の国といっても魚も食べる、って言うわけでいただいたナマズです。〈MARY MAC'S Tearoom〉っていう南部料理を食べさせてくれる名店があって、創業が終戦の1945年だからかれこれ62年っていう老舗です。ここでナマズcatfishのフライを食べてきました。ナマズって白身魚で淡白だ淡白だといいますが、けっこう脂身もしっかりありますよね。日本のナマズと、アメリカのナマズは種類が違うようなので、そのためなのかなぁ。日本でもスーパーで売っていれば、僕なら喜んで買うな。ただ、骨がかなり硬いのでさばいて売っていないと、素人には調理をするのが難しい食材のようです。まぁ、アメリカでは姿揚げされていましたが(笑)

 あと、アメリカでは何度かイタリア料理のお店へも連れて行って貰いましたが、イタリア料理も美味しいですね。アメリカンな感じの大きなステーキもいいですが、イタリアンなソースたっぷりのステーキも美味しくて、やっぱり肉食文化の国は肉のアレンジの仕方が上手い。イタリアということで、食後酒にはグラッパなど頂いてきました。日本ではあまり飲みませんよね。ブランデーがブドウから作る蒸留酒なのに対して、グラッパはワインを作ったブドウの搾り粕から作る蒸留酒らしいですが、甘くてこれはまたブランデーとは違った美味しさがありました。エスプレッソの中に入れるなんていう飲み方もあるらしいです。頭の中でゴッドファーザーのテーマ曲でも流しながら飲むとベストです。

18日(火)
 さてさてアトランタの話でも。アトランタといえばコカコーラの本社があるということで、コカコーラ博物館に行ってきました。そういえば日本にはGeorgiaという缶コーヒーがありますが、あれってコカコーラの本社があるアトランタがジョージア州なために、そう言うネーミングになっているらしいです。教えられて目からウロコ状態でした。コーヒーを飲まないので、ボーっと飯島直子を見ていた気がします。あぁ最近は渡哲也か。

 で、コカコーラ博物館に入って最初の案内スペースに来ると、おばちゃんが何処から来たのかと客に聞いて回るんですね。そしたら僕らが行った時は、我々日本と、南米はブラジルと、欧州はフランスからという客層でした。そして新入社員のお姉ちゃんの解説を聞いていたら、おばちゃんが日本語とポルトガル語とフランス語の案内を持って来て配って回っていました。さすがコカコーラ博物館、多分世界各国から観光客が来るので、色んな言語の案内を用意しているんでしょうねぇ。ポルトガル語まで出てくるとは恐るべし。

 あとはポーラベアと一緒に写真撮ったりして、まぁそんな感じなのですが、日本のビール工場見学なんかでもよく見かける、スクリーンシアターがありました。あれは何処の企業が最初に始めたのかよく知りませんが、ほんと色んな所でよく見ます。揺れるのも、水がかかるのも、世界共通のようです。個人的には大好きなので率先して楽しむのですが、苦手な方は最後列に行くと揺れないということを某先生に教えて貰いました。アトラクション系が苦手な人は覚えておくと便利かと。

 さらにはアトランタはブレーブスの本拠地ということで、ターナー・フィールドも連れて行って貰いました。遠征中のために試合は残念ながらありませんでしたが、試合がない日は球場見学をやっているんですね。そこで、実況席や、選手控え室、グラウンド、ベンチなどなど、普段は入れないような所まで色々とコースになっていました。このシステムは日本でも取り入れるといいと思うんだけどねぇ。あと、トヨタが出資しているエリアがあるのですが、レクサス専用駐車場とかありまして、アメリカでもトヨタはトヨタらしいなぁっと納得して帰ってきました。

 それとジョージア州といえばピーナッツ畑のオヤジのジミー・カーター。カーター博物館に行きまして、カーターの業績などを色々と見てきました。まぁ色々と興味深いものは展示してあったのですが、ノーベル平和賞のメダルもありましたし、各国元首から貰った贈物もありましたし、大統領選挙の時の選挙グッズなどもありました。しかし中でも強調されていたのは、昨今カーターが取り組んでいる、アフリカでの医療支援のためのエリアでしたかね。大統領としてはイマイチぱっとしませんでしたが、元大統領としては歴代上位に入るカーターならではの展示でした。あ、カーターの昔の演説なんかも流れていました。

 と、日曜日一日でよく回ったもんだというくらい駆け足で回ったのですが、時間があれば大きな水族館もありますし、CNN本社もありますし、まだまだ見るところは多そうです。

 アトランタの話を書かないうちに、3連休を利用してちょっくら旅行に行ってきました。〈ハチミツとクローバー〉っていうスピッツが〈魔法のコトバ〉っていう主題か歌っていて、テレ東で深夜になっていたのは昔チラッと見たのですが、ふと漫画本の方を読んでしまったんですね。そうしたら無性に砂丘を裸足で歩いてみたい症候群に駆られてしまいまして、鳥取で砂丘を裸足で歩くことになりました。台風の雨が降る前に間に合いまして、ほんとサラサラで気持ち良かったですよぉ。しかも目の前には〈馬の背〉と呼ばれる小高い砂山がありまして、勿論汗まみれになりながら登ってきました。頂上に上った時の達成感も気持ちいいので、ヘタレずに皆さん登りましょう。ちなみに、先日来騒ぎになっている名古屋大学のサークルが落書きをしたとかいう文字もどうなっているのかは興味があったのですが、綺麗さっぱり消えていました。

 で、当然山陰まで足を運んだら、日本海の幸を食べないわけはない。酒は日置桜に鷹勇なんかがいいですが、メインは寿司で、鯵、白イカ、鯛、松葉ガニ、平目の縁側、鯖寿司、ハタハタは塩焼で、デザートには勿論今が旬の二十世紀梨という至福の旅になりました。10月は松山と静岡だから、こちらも海産物が美味しそうで今から楽しみですね。でも、松山は福岡とあまり食べるものは違わないのかなぁ。四国初上陸になるので、ちょっと福岡と違っている方が楽しそうだけどな。

27日(木)
 今日は博多のお奨めお土産の話でも。うちの親がお気に入りになったので、実家に帰省する時はいつもこれを買っていくのですが、〈左衛門〉っていう和菓子屋さんの〈栗々どら焼き〉と〈麦こがし〉がお奨めです。どちらも渋皮の付いたでっっか〜い栗が入っていまして、特にこれからはシーズンなので一番いいですね。昭和4年2月の今まさに恐慌勃発という時期に天神に創業した和菓子屋さんでして、よく創業当初に倒産しなかったなぁって、まずはそちらの方に感心してしまいます。

 どら焼きの方は、つぶ餡と栗がズッしり詰まっていまして、どら焼きの皮との相性も最高ですので、お茶をすすりながら頂くとお腹もいっぱいになって至福の時間が過ごせます。麦こがしの方は、どら焼きよりもより栗が強調されていまして、栗を欲張りたいという人にはこちらの方がお奨めかもしれません。どら焼きよりも何個も食べられます。麦こがしの皮って言うのは、なんていうか小麦と重曹で作っているみたいなのですが、サクッとした食感で和風シュー生地っぽくイメージして貰うといいのかも。

 ところで安倍晋三に続く総理は福田康夫になったようで、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と4人連続同一派閥ということになりました。橋本龍太郎と小渕恵三が連続しただけでも驚きだったのに、時代は変わるもんです。旧田中派、旧竹下派の影響力は見る影も無く、旧岸派−旧福田派−旧安倍派の流れで動いているんだなぁっと変な感慨があります。しかしシニカルな皮肉屋で、仲間を作らないで端からジトジト覗いているタイプの、マニアな人気があった福田康夫が、安定感という名目で首相にまで昇り上げるんだから面白いですねぇ。

 福田康夫を見ていると、どうしてもちびまる子ちゃんの野口さんをイメージしてしまってしょうがない。時代はあぁいうシニカルな笑いを求めているのでしょうか。マスコミの調査でも一押しのようですし、日本人も斜に構えた笑いを求める時代になったのかもしれません。小泉時代の能天気な明るさや、安倍時代の糞真面目さから、福田時代の皮肉へと。日本人の望む世相というのも色々と移り変わっていくんだなぁって、なかなか感心してしまいます。これから、どんな皮肉や嫌味が飛び出すのか、僕もけっこう楽しみにしています。やっぱり、一段上の笑いですよね。

28日(金)
 大相撲が集団リンチ殺人事件で揺れていますが、いったい何をやっているんでしょうねぇ。角界では温和で人格者として通っていた親方が、ビール瓶を振り回して率先して集団リンチを促していたという報道もなされていますが、いわば業界の体質的なものという側面も強いのかもしれませんね。日本人の新弟子入門がゼロとかいわれて、チョッと前に話題になっていましたが、集団リンチ殺人までは行かなくても似たような体質のところへ、普通の感覚なら自分の子供を行かせたくは無いでしょうからねぇ。元々が衰退傾向ですが、それにより拍車をかけることになる殺人事件だと推察されます。

 業界の体質としては、研究者の世界も昔は親方子方関係があったおかげで、角界なんかと似たような体質もあったとは聞きますが、アカハラ問題がクローズアップされた影響もあって、大学全体で減少したみたいですから、就職環境をさて置けば、いい時代に変わっているんだと思います。まぁ、ボスが就職を斡旋できる状況じゃなくなったから、アカハラ体質みたいなものが許容されなくなったという見方も出来ますがね(苦笑)

 当然研究指導として、研究の質が悪いからここを改善しろとか、アレが不足しているとかいう話は出ます。研究の方向性として目の付け所がいい悪いという話も出ます。最近バイトばかりしていて、まともな研究していないんじゃないかという生活指導が入ることもあるかもしれません。だからと言って、ストレス発散で罵倒されたり、意味がよく分からない「かわいがり」をされたり、ましてやビール瓶で殴られたりって言うことは無いですからね。いやさ、大学業界全体って言われると良く知りませんが、僕が知っている範囲ではありませんから、それが元々なのか、アカハラが注目されたからなのかは知りませんが、ネーミングを付けて注意喚起をしたこともある程度はプラスに働いていると思います。

 ビール瓶で殴打したり、集団リンチ事件は論外としても、指導とイジメの境っていうのは、大学におけるアカハラ対策みたいに、ある程度のケーススタディを列挙して注意を促した方が分かりやすいですからね。意外と、昔からこうやられていたからという理由で行なわれていて、イジメや犯罪と自覚していないケースって言うのもありますから、角界もちゃんとガイドラインを作ることは最低限必要でしょうね。それで果たして角界を目指す人間が増えるかどうかまでは知りませんが・・・