2008年4月 |
1日(火)
エープリールフールですがあまり気の利いた小ネタもなく、真面目な話で。平成20年度入りをしたために、ガソリン税の暫定税率によって約25円/lの減税がしばらく続くことになります。衆参のねじれ現象によって法案が通らなかったためですが、本来的には道路特定財源化しているガソリン税の性格こそが問題であって、財政健全化のためにはここでの減税はあまり好ましくは無いと思っています。国交省の友人知人もいるのであまり言いたくも無いのですが、国交省の既得権益護持と政治家の集票機能のために存在しているような道路特定財源こそが、とっとと廃止すべき悪システムでしょう。
少子高齢化によって医療費等の増加は不可避なんですから、道路なんて作っていないでそちらに廻すのが本筋ですし、そもそもの国債消却にも利用すべきです。福岡県でいうならば、某代議士の地元には、交通量の予測値の1/10しか満たしていない橋やら道路やらがワンサカと作られています。選挙の際に集票に協力してくれた業者に発注したオブジェです。適切な予測に基づいて、適切な場所に作られる道路では最早なくなっている段階で、道路特定財源なんていう戯言はとっとと止めて貰わないと、あまりにも馬鹿馬鹿しい。
道路が必要無いとかいうつもりは全く無く、今のような配分をするならば道路予算は必要ないということです。そのような、政治家の介入を許すほどの膨大な道路予算を脱却するためにも、暫定税率が再値上げされようがこのままであろうがどうでもいいですが、まずは一般財源化こそが重要だということを再確認したいところです。
3日(木)
この春休みはジャック・バウアーの〈24〉をシーズンX〜Yまで幾つか見ていたんですけど、黒人大統領に期待しちゃいますよね。デイビット・パーマー大統領が大好きだったもので、現実世界もそれを投影して見ちゃう癖が付いてしまっています。アメリカで選挙権を持っていたら、オバマとパーマーがシンクロしてオバマに投票しちゃいそうです。多分アメリカ人の有権者の間でも、〈24〉とかの影響力は強いんじゃないかなぁ。アメリカでジャック・バウアーの捜査を真似る困った軍人や捜査官が頻出しているなどというニュースもありましたが、大統領に関しても言えることでしょう。ちなみに日本にとっては、マケインが大統領になった方が好ましいとは思いますが。
〈24〉シリーズは昔からのお気に入りですが、嫁に薦められてこの春は〈CSI〉のシリーズも見始めてしまいました。日本でも沢口靖子の〈科捜研の女〉とかありますけど、犯罪の物証などの検証をメインにした番組でして、ラスベガスとマイアミを幾つか見ていますが、アメリカならではの犯罪の数々に魅了されます。やはり日本は武器や薬物や現実世界が限られているせいで、犯罪のパターンも限定されますからねぇ。こういう犯罪物は、やはり犯罪大国のほうがリアリティがあって良いですね。
ところでこの〈CSI〉シリーズを見ていて思うのですが、CSI捜査官達はそれぞれの科学技術の専門を持っていて、その専門性を活かして捜査にあたっているドクター達ばかりです。多分文科省が日本にこのような図式を求めていたことはよく分かりますが、民間どころか警察などを始めとした他省庁でも導入の動きが無く、ようやくと先日秋田で高校教員にドクター採用のニュースが出ていたところです。まさに隗より始めよでして、ドクターを増やすならば、民間にどうこう言う前に、まずは全省庁にドクター採用を義務化するところからやるべきでしょう。文科省管轄の教員なんて全員にマスター以上を取らせても良いくらいだと思いますけど。
8日(火)
チベットを巡って、ロンドンやパリがお祭り騒ぎになっているようで、北京オリンピックというチベットが国際舞台で華々しく活躍するための舞台は、一道具として大活躍をしているようです。次は舞台をサンフランシスコに移して、ゴールデンゲートブリッジもビックリなイベントを企画しているようですから、とっても今から期待大です。でも、聖火はパリで4回も消されてしまったようなので、今年2008年のオリンピック総合優勝はぶっちぎりでもうフランスということにしておきましょう。
聖火を消すという、非暴力不服従の体現化みたいなこういう抗議行動は、まさに平和社会の活動として賞讃に値します。日本にも人権団体とかたくさんありますから、きっと長野でも華々しいチベットの人権を守るための活動がなされることと思います。4月26日は土曜日なので、皆さん集まり易いことでしょう。しかし東京ならまだしも、長野はぶらりと参加するにしては交通アクセスが悪すぎますからねぇ。日頃から人権意識の高い人々か、長野市近郊の人以外は参加しづらいですからね。それが残念なところです。
こんなに世界的な盛り上がりを見せているにもかかわらず、政権末期で死に体になっている福田政権からは、なんの行動も起きてこないのが残念なところです。行動を起こせないくらい末期も末期で麻痺しているのか、こういうKYだから支持率壊滅状態なのか、鶏が先か卵が先かは難しい問題がありますけどね。日銀総裁選びのグダグダ感などは、漏れ伝わってくる話だけ聞いていると、福田首相には呆けていそうなくらいKY感丸出しなのですが、安倍前首相のころには喜んで使われたKYというフレーズが、より適切な福田政権で使われないのが不思議な今日この頃です。
9日(水)
今年の桜は今夜の雨で終わりをむかえそうです。お花見は嫁とブラブラと香椎宮と箱崎宮をまわったくらいで、本格的な花見宴会はしないで過ぎました。香椎宮は福岡へ来てからいつか行ってみようと思っていたのを、桜を見るのにかこつけて漸くと足を伸ばしたのですが、福岡のお花見の名所ではないので、なかなか空いていて良かったです。桜の方も本数的にはそれ程多くないのですが、なかなか見事な桜が何本もあり、特に神社の楼門前の桜が絵的に印象的でした。楼門の左から右から桜が彩るところっていうのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。
この香椎宮、仲哀天皇が崩御した場所ということです。日本武尊を父に持ち、神功皇后を妻に持つという、日本書紀の中でも怪しげな位置にある天皇なのですが、熊襲を討伐するために陣を構えている時に、神の怒りに触れたか熊襲に襲撃されたか知りませんが、亡くなってしまったとの伝説を持っています。ちなみにこの後で、神功皇后が新羅討伐のために海を渡っていくことになり、戦前には紙幣の顔にもなっているわけです。そんな仲哀天皇の崩御の地は、とっても寂しげなちっちゃな丘で記念碑だけひっそりと佇む場所でして、香椎宮のはずれもはずれにありました。
香椎宮には不老水っていう、たぶん不老長寿の水があるのですが、15時にはそこだけ閉まってしまうらしく、ほんの僅かな差で行くことができませんでした。不老不死の肉体を手に入れるために、もう一度香椎宮に行かざるをえませんねぇ。人魚の肉でも混ざっているのでしょうか。ちなみに嫁は、摂津の12センチ砲があるので、不老水よりもそちらに夢中でした。
17日(金)
大阪府で橋下知事が大ナタを振るっていまして、各方面で色々と反対に声が上がっているようです。文化面や教育面など、本来的には削るべきではないところまで削減対象になっているようでして、研究者や文化人なども色々と声を上げているようです。文化面や教育面でのサービス内容を充実させるべきという点においては、橋下知事へ反対する人々と共通する認識が僕にもあります。しかしだからと言って、橋下知事の方針を反対すべきかどうかというと、ちょっと立ち止まって考える必要があるでしょう。
例えば、松本零士が館長をやっていた事で大々的に取り上げられた、大阪府立の大型児童館ビッグバンなる施設ですが、総工費171億円もかけて失われた十年真っ最中の1999年に開館した施設です。副館長以下には大阪府からの天下り役人が顔を並べます。松本零士館長が子どもの夢を橋下知事に説く場面はテレビでも散々流されましたが、府の財政が危機的水準で巨額の資金を使って作られ、しかもランニングコストも馬鹿にならない箱を、同じように今後も維持するというのは土台無理な話でしょう。財政再建団体になってしまっては元も子もないわけですし。
そういう意味で、文化面でも教育面でも、コストをかけずに府民へとサービスすることを考えるべき時に来ているにもかかわらず、従来の箱物と天下りがサービスの全てかのような議論にはちょっとついていけません。ハードに大金をかけるのではなく、ソフトに程々の金をかけるのがあるべき姿でしょう。奇抜な形をした建物じゃなきゃ子どもに夢が与えられないなんて、嘘っ八もいいところだと思うんですけどねぇ。
関係無い大阪府のことながら、橋下知事を応援したいところです。
22日(火)
光市での母子殺人事件の、最高裁からの差し戻し審判決が広島高裁で出されました。判決は死刑だったのですが、その判決内容よりも判決理由の方が注目されます。18歳になったばかりということで、複数人の殺害でも情状酌量で無期懲役の可能性もあったものの、弁護士に唆されて反省心も無く、死刑回避のために荒唐無稽な証言を繰返したことが、死刑を言い渡す大きな原因になっているようです。
弁護団のスタンスに関しては大阪府知事になった橋下弁護士がテレビでアピールしたために、日本国中から懲戒請求が殺到したことで有名になっていましたが、裁判の途中で証言を翻して、精神的に幼くて〈ドラえもん〉がどうのこうの、〈魔界転生〉がどうのこうのと、被害者や世論の怒りを買って余りあるような戦術に転換したわけです。ところが、〈魔界転生〉云々のところで、そもそもの〈魔界転生〉の描写には無いようなところまで、それを真似たと言ってしまう御粗末さ。弁護士が唆して更生の可能性が無くなったと、名指しで弁護士の責任で死刑になったと判決で指摘される始末です。
もし別の弁護士が普通に弁護していたら、死刑にならなかった可能性も高いようですが、このような弁護士に唆される被告は、罪状が重くなるということを明確にしまして、なかなか画期的な判決文だったのではないでしょうか。今後、良いか悪いかはさて置き、裁判員制度なるものが始まるわけですから、このような弁護士の教唆に乗ってしまう被告は、より重い刑を科される可能性が高くなるという、良い指針になるのではないでしょうか。死刑判決によって被害者の心がすべて癒されるわけも無いのですが、被害者家族が立ち直っていく契機になって貰えればと思うばかりです。
26日(土)
長野での聖火リレーの当日を迎えました。善光寺がチベットで虐殺された人々への哀悼の意を表して出発地を辞退したため、刑務所(思想犯)跡地の空き地が出発点になったために、物々しい警護と絡めて聖火護送などと揶揄されていますが、しかしまぁ何というか壮絶なイベントですね。スタート地点やゴール地点は日本人立ち入り禁止とかで、不思議なイベントです。
しかしあの中国国旗の数々を見ていると、中国大使館が動員をかけて、交通手段も用意して、旗なども大使館関係者などが獅子奮迅の働きで準備したようですが、大使館ももっとやり様があったのではないですかねぇ。まずは五輪旗が全く無いのはあまりにも不自然です。オリンピックという名目で聖火リレーをやっているのに、オリンピックの旗がはためかないイベントって、最早何が何だか分かりません。中国国旗とチベット国旗、それに東トルキスタン(ウイグル)国旗なども混じっていましたが、数年経ってあの映像を見返したときに、オリンピック関連だとは気付かないことでしょう。
中日友好を訴えるなら、嘘でも日の丸を交えて振るように大使館も指導したでしょうし、そういう事も全く無かったのが分かります。日本人立ち入り禁止のイベントを、日本でやる必要があったのかどうか、僕には日本政府の考えることも、中国政府の考えることもよく分かりませんねぇ。でもまぁ、死者も出てないから成功した聖火リレーだったんでしょう。パチパチパチパチ(拍手)。