2008年5月

7日(水)
 GWは皆さん何をしていたでしょうか。僕は結婚式などを挙げていました。入籍は前に書いたようにもう終わっているのですが、式はGWまでずれ込んでしまっていたんですね。と書くとまた誤解されそうですが、子どもが出来たから入籍を急いだんじゃなく、入籍をした後にそう言えば結婚式っていうのも挙げるもんだよなぁって、はたと気付いたためです。そんなこんなで入籍後に式を挙げようと思ったら、双方の家族の都合やらお日柄やらの関係で、GWまでかかってしまったのです。

 結婚を始めてするので知らなかったのですが、結婚式っていうのは入籍の前から準備をした方がいいようです。次にこの知識を使う機会は自分には無いと期待していますので、是非とも他の方々にはこの丸秘テクニックを伝えておきたいところです。でも、GWに双方の家族が集まれると発覚して式の準備を進めていたところ、なんとGWの福岡は博多どんたくなどをやっているということが・・・というわけで、家族には博多どんたくの喧騒の中を結婚式に参列して貰った次第です。

 あ、あと結婚式の注意事項は、花嫁のウェディングドレスを踏まないように気をつけることです。思った以上にドレスっていうのは広がっているので、チョッと意識を抜くと面白いようにドレスを踏むことになります。ドレスを踏まれて嫁はふらついていましたので、それに連れて自分も不安定になっていました。後で怒られました。

 僕も嫁もゼクシィとかメロンとかいう雑誌類は読んだことも無いので、だいたい何をやっていいのかもよく分からない中で、式の担当の人たちが話している日本語も良く分からないボキャブラリーが乱舞していまして、なかなか要領を得ない新郎新婦相手によくやって貰ったと感謝しているところです。結婚関係の用語は山田盛太郎よりもはるかに難解です。

 結婚式後の会食は、桜坂にある柚子庵っていう料亭に行ったのですが、これがなかなか美味しくて満足満足。結婚式での親族の会食だって話しておいたので、鯛を中心として薄紅色の膳にしていただき、しかも味も上品でした。何軒か候補は挙げていたのですが、正座はみんな苦痛だろうっていう理由で、椅子席が可能っていうことで選んだのですが、味のほうも十二分でして、ここはお奨めしたいお店リストに加わりました。まだまだGWは話の宝庫なのですが、また気が向いたときにでも。

10日(土)
 船場吉兆が産地偽装や消費期限偽装だけではなく、残飯を次の客へと使い回していたことが発覚していますが、いやはや全くどうなっているのやら。しかも先代社長が指示を出して以来の伝統のようでして、博多店でも創業から残飯を食べさしていたようです。3万円とか5万円とかを払って残飯を出されていた客には同情を禁じ得ませんが、他人の唾まみれの残飯を高額で食べていた方々は今頃怒り心頭なことでしょう。

 従業員や業者などの目もあるでしょうし、食材コストをカットするのに対するリスクが大きすぎて、普通はいつ不祥事が発覚するか恐ろしくて、食材の使いまわしなんて割の合わないことを、超高級料亭でするなんては思わないわけですが、ハイリスクローリターンな馬鹿なことをしていたもんだと感心します。これで再建の目処は失われるのではないでしょうか。騒動の中わずかに支援をしてくれていた常連さんは、残飯を有り難がる味覚音痴だと晒されて、顔に泥を塗られたわけですからねぇ。

 僕は幸いにも船場吉兆博多店には行っていなかったから良かったのですが、福岡の方々の中には利用された方もいるでしょうし、本当にご愁傷様ですとしか言いようがありません。

16日(金)
 我が家のお風呂はなかなかハイテクでして、お湯がいっぱいになると勝手に水を止めて、呼びかけてくれたりします。そんなわけで浴槽も全く汚れないんですね。けっこう凄いよなぁっていうことを飲みながらふと嫁に話したのですが、なんと、なんと、なんと、浴槽が汚れないんじゃなく、嫁が洗っていたみたいで、かなり気まずい空気が流れ・・・でも前に理系の先生と話していて、ビルの窓なども掃除しなくても汚れを防止する加工が最近は開発・実用化されているとかで、うちの風呂もてっきりその一種だと思っていたんですけどねぇ。いやはやほんとビックリしましたよ。

 ところで、福岡に来てはや2年も経ちますと、いろいろと行き付けの飲み屋さんも出来てくるわけですが、結婚式をしたよって大将に報告をしに行ったところ、お祝いにワインを貰ってしまいました。いっつも美味しい焼き鳥を食べさせて貰っているのに、申し訳ない限りです。せっかくなので紹介をしておきますが、〈やき鳥陣太鼓〉っていうお店でして地元の人に愛され続けて30有余年、大将と女将さんがいい味を出しています。大将が飲みながら話に来るんですが、最近気付いたところ女将も飲みながら話しかけてきます。そんなわけで一番働きもんなのは若大将です。

 お奨めは豚バラ、つくね、軟骨、レバー、ニンニクの芽巻き、ナス味噌、豚足、大手羽etcでして、基本的に何を頼んでも美味しいのにリーズナブルで大満足です。でも実はこのお店、他のメニューと比べて高いメニューもありまして、牛サガリと牛タンがどっちも1串900円でして、嫁といつも注文するかどうか迷ったまま、注文しないままになっています。そのうち挑戦してみようとは思っているんですが・・・

 ワインを貰ったと言えば、GW中に福岡タワーの下でジャーマンフェスタなるものをやっていたので、こちらもいそいそと嫁と遊びに行って来ました。バイエルンから親善の演奏団がやって来ていたのですが、飲みながら陽気に演奏していまして、会場あげての大宴会も雰囲気出ていました。もちろんドイツビールとジャーマンソーセージにジャーマンポテトも美味しかったのですが、ザワークラウトが食べられなかったのが残念。。。でなんでワインなのかというと、会場でワインの試飲会をやっていて、もうすぐ結婚式なんですよって言ったらワインを貰っちゃったんですよねぇ。いいでしょ。

 話は変わりますが、ミャンマーでの10万人規模のサイクロン死者に胸を痛めていたところ、今度は中国四川で五万人規模の死者を出す震災です。台風と地震という日本でもなじみが深い災害ですが、被害の大きさにただただ唖然とするばかりです。人間ができる防衛なんて限界があるよなっと無常観も漂いますが、ミャンマーにしろ四川にしろ、人災の側面もやはり見逃せません。ミャンマーでは高波の警報が出されていませんし、四川では耐震構造がいい加減な高層建築の数々。また被災者支援への対応の遅さと不十分さも、日本から見ると驚きを禁じ得ません。

 しかし翻って考えると、日本ができる国際貢献っていうのは、こういう分野が多いということなのかも知れません。バブル崩壊以後のODA削減によって発言力が低下する中で、外務省はODA増額ばかりに熱心ですが、災害援助や復旧などで、短期の救出や食料・飲料水、中期の住宅や人々の収入、長期の復興と、すべての分野で経験豊富な日本ができることって、けっこう多いと思うんですけどねぇ。福井での原油流出の時のボランティアもそうですが、そういうのの受け入れとかのノウハウなんかも、もっと世界的に輸出していい貢献だと思います。ともあれ、被災者の救助・支援と復興を願うばかりです。

19日(月)
 〈大学教員の摩訶不思議〉というサイトがあると聞いてググったのですが、あまりにも酷い状況に唸りながら見入ってしまいました。内定書などを多くの大学で発行しないのが、慣例として存在していまして、僕も東大の助手から九大へと赴任してくる時には、大学間での割愛手続きが進んでいたので基本的には心配していなかったものの、何の書類も本人に渡されることなく話だけが進んでいくのには心細さを感じたものです。

 それを、採用決定の書類を出さないという慣例を悪意的に利用して、なんと4月1日付け採用をまさに前日の3月31日に撤回したなんていう、とんでもない大学があったということです。フィクションとしてという但し書きがありますが、現実に起こっていること推察されます。当然そんなことをされてしまったら、ある日突然無職ということです。しかも他大のテニュアの職にある人物を引き抜くケースで、前任校は退職してしまった後に、こんな無茶苦茶なことが行なわれたとの事。怒りを禁じ得ません。

 大学側にどのような事情があるかは知りませんが、働く権利がこんなに簡単に侵害されて良いわけがありません。幸いにも非常勤の口を紹介されて、1年間はなんとかなる道を見付けられたようですが、来年度以降はどうなるか分かりません。それでもこんな方を救済するようなシステムっていうのは、現在の大学業界には存在しないのが現状です。大学がボコボコとできていった時代なら兎も角、今後の大学業界は縮小均衡へと向かうでしょうから、ポストから酷い状況で叩き出される可能性が高まってきます。教員の方も権利意識をしっかり持って、なんとか共通の対策を採らざるを得ない時期に来ているのではないでしょうかねぇ。対策が遅ければ、程度の差はあれ被害者が多発すると思われます。

27日(火)
 後輩が学振に採用されたなんていうめでたい話を聞いていたので、ふと学振のサイトなんかをボケーっと見ていたのですが、最近は年に2,500人ほどと、採用を増加させているみたいでして、若手の研究者にとっては好ましい状況を向いてはいるようです。まぁ、博士課程の学生の増加に比べれば焼け石に水との批判もあるでしょうが、学振が1,000人も増加しているっていうのは、それなりに評価しても良いのではないでしょうか。

 僕も見るまで知らなかったのですが、昔は人文・社会で一括して扱われていたものが、人文系と、社会科学系でちゃんと区別されていまして、しかもその社会科学系の中できっかりと経済史・経営史も複数採用が行なわれているようです。この傾向を一時的なものに終わらせるのではなく、着実に続けていければ良いですねぇ。景気が良い関係もあって、経済史の大学院進学者はポストの割には相対的に少なめなので、こうやって将来の見通しも立てやすい状況になると、いい人材をそれなりに呼び込めるようになるのではと期待したいところですね。