2009年8月

4日(火)
 ようやくと北部九州も梅雨明けをしたようです。ペルー沖でのエルニーニョ現象の影響ということで、2002年以来の冷夏が予想されています。農作物の状況はどこも悪そうでして、今年の秋の収穫は少々寂しいことになりそうです。スーパーに出回っている夏野菜なども、どれも色づきがイマイチなものばかりでして、トマトなどをかじっていても満たされませんねぇ。そうそう、実家では、母が市の家庭菜園スペースを借りて色々と作っているのですが、そこで採れたゴーヤを佃煮にして送って来てくれました。白いご飯にはなかなか合うのですが、ゴーヤらしい苦さが無くなってしまって不思議な食べ物です。

 送って貰ったと言えば、嫁さんの実家からお中元で鳥取の海の幸を届きまして、魚大好きな身としては身震いしながら食べています。
〈松乃江〉っていう境港の業者さんで、ここのうま味漬っていうのが絶品です。銀鱈が特に大好物でして、滴り落ちる魚の脂が味噌とよく馴染んで、しかもふっくらとした身自体にもこのうま味漬がよく浸み込んでいて、ついついおかわりがしたくなってしまう逸品です。あと、鳥取といえばペルルメロンも絶品でした。ペルル?と始めて聞く名前で最初は訝しげに食べたのですが、そこらのメロンよりも糖度の高さが抜群です。ただし形は円形ではなくて楕円形なので、見た感じはマスクなどに負けてしまいますが、味では遜色ない水準のメロンです。スーパーなどで見掛けたら、是非とも御一食を。

7日(金)
 日本初の裁判員裁判が終わりました。戦前の陪審制度とはまたちょっと違う、相対的に裁判員の責任が軽減されたシステムです。しかし常々思うのは、このシステムの目的は、プロである裁判官の判決があまりにも国民意識からかけ離れてしまうことがあるため、民間人の感覚でそれを補うっていうことから始まったはずです。ですから、なんだかんだ言って、裁判員制度っていうのはプロの裁判官の補助役となってしまうわけです。最終局面で、検察がわざわざ死刑や無期懲役では刑が重すぎると、裁判員たちに語りつつ懲役16年を請求したように、結局は司法のプロたちの相場があって、その枠内で動くだけということです。だったら、わざわざ忙しい民間人を連行してくることなく、プロの司法関係者が国民の感覚に近づけよ、っていう話になってしまいます。

 アメリカの映画度では典型的に取り上げられるモチーフですが、法に携わるということは、脅迫や暴力などの危険に、一般の国民が晒されてしまうことを意味します。逆恨みする加害者家族だっているでしょうし、暴力団関係者だったら仲間が襲って来るかも知れません。裁判官は住居なども守られているからいいようなものの、一般人にはちょっとリスキーではないでしょうか。今回の加害者は、家庭が崩壊した孤独な老人による隣人殺害ということで、まぁ裁判員が復讐されるようなことはないでしょうが、裁判が増えていけばそのうち懸念される事態も登場してきてしまうことでしょう。

 ところで、大原麗子が自宅で死後2週間にして遺体発見ということで、春日局や少し愛してながーく愛してっていうフレーズなどが思い浮かべられますが、孤独死だったということが非常にショッキングです。飯島愛が亡くなった時にもそうでしたが、芸能人の孤独死っていうのは多いですねぇ。ギランバレー症候群という難病のリハビリ中だったとかで、62歳というまだまだ若い年齢の死は惜しまれます。大原麗子だったら、たぶん天真爛漫で可愛いお婆ちゃん役をやってくれたのではと思ったりします。ご冥福を。

10日(月)
 こう言ってはなんですが、押尾学が逮捕された時にはあまり大きな驚きというものはありませんでした。しかし、酒井法子の指名手配から逮捕へという流れは、さすがに驚天動地な出来事でして、いったい世の中どうなってしまっているのやらと、呆れ果てるばかりです。
彼女のデビューシングルは1987年2月、光GENJIのデビューする半年前のことなんですね。だから、光GENJIの赤坂晃が逮捕された時と同じくらいの衝撃を受けています。大学などでも覚醒剤やら大麻やらという形で、色々と逮捕から退学へという話を耳にしますが、芸能界はその比ではないくらい蔓延しているようでして、今後も摘発が続けられるのでしょうか。

 過去の栄光も、将来の可能性も、そういう一切合財を奪ってしまうのが薬物でして、手を出すメリットなんて何もない筈なんですけどねぇ。金だってかかるのだから、そんな金があるならば、海外旅行へ行くなり、趣味に没頭するなり、いくらでもストレスの発散方法なんてあります。そんな中で、どうして摘発されて犯罪者となってしまうリスキーな選択をするのか、そこのところがよく分からないんだよなぁ。多分、酒を飲む延長やタバコを吸う延長で手を出してしまうのでしょうが、そもそも酒やタバコだって中毒にならないように用法と容量を守りながら嗜むものでありまして、薬物は依存度と副作用が強すぎるので全く別物です。

 酒井法子の場合は覚醒剤、押尾学の場合は安物の合成麻薬と、かなり中毒性の高い薬物でしたが、より入手しやすく陥りやすいのが大麻です。大麻がゲートウェイドラッグなのかどうかには議論があるようですが、中毒性の相対的な低さと、オランダなどで一部容認されていることもあって手を出す人が多い薬物の一つです。しかし、オランダなどでの大麻容認は、ヘロインや覚醒剤などへの重篤な依存者となってしまった者を、相対的に依存が少ない大麻へと移すことによって、なんとかして救い出そうとしているのであって、ゼロから手を出す気軽な薬物ではありません。この辺の誤解があるのも、薬物乱用に繋がっているような気がします。何はともあれ、自分の人生が惜しかったら、薬物なんかには手を出さないことです。

18日(火)
 以前、九州大学も順次、IC職員証を導入していくという話を書いたかと思いますが、多くの部局からの要求があったからなのかどうか知りませんが、希望者にはすぐに発行をするように方針転換をしたようでして、ちょっくら申請をしてみたりしました。そのうち届くと思いますが、これまで3年半に亘って身分証を免許証しか持たない生活が続いてきましたので、身分証が発行されるということは何よりです。しかし、免許を持たない人がどうやって過ごしていたのか、大学教員の生態というのはなかなか謎です。他大学の図書館とかへ行く時も、これで結構便利になったりする所があります。何よりです。

 ところで、人事院勧告によりまして公務員の給料が減らされてしまいまして、この前の夏の手当てからそうなのですが、それに準じている国立大学法人の我々の給料も減額です。民間の給料が回復してくれないことには、僕らの給料も下がり続けてしまいますので、何とか民間には頑張って貰いたいところです。しかし、民主党が掲げている子ども手当なるものが実現したら、それに伴って扶養者控除が廃止されてしまいますので、我が家は大増税になってしまいます。0歳から中学の子どもを持つ家庭だけが優遇されるそうで、世の中的に大半の家庭は大増税時代を迎えそうです。給料が減少している中で痛いところですが、人口を増加させないと経済にはマイナスですし、あれですねぇ。

 でも思うのですが、人口増加、つまりは出産数の増加のためには、子どもへの手当てを厚くしても意味がないと思うんですよね。出産しない原因は結婚数の減少にありまして、いかにして20代、30代を結婚させるかっていうことを考えた方が、人口増加もしくは現状維持には結びつくような気がします。あと、やっぱり金がかかるところは高等教育でして、国立大学の学費をもう一度昔のように下げるべきだと思います。現状だと、入学金と学費だけで4年間合計250万円程度でして、僕らが学部生だった頃より、更に50万円程の値上げとなっています。当然これに生活費やらが上乗せされてきます。

 0歳児や小学生へのコストではなく、高等教育時に費用が多額にかかっているのは明白なんですから、子ども手当もいいですけど、大学の学費値下げをもっと取り組んで欲しいところですね。というか、そこに予算を割かないと、金銭的に出産を考えている層は、子どもの数を増やしませんよ。後はより本質的に、いかに結婚数を増やすかを真剣に議論した方がいいかと思われます。まぁ、東京に居続けていたら、僕もまだ独身生活を謳歌していたかも知れないので、あまり大きなことは言えないわけですが。

19日(水)
 嫁さんが近所の歯医者さんに行ったところ、なかなかそこが雰囲気が良かったということで、紹介されて僕もここしばらく通っていました。右上の奥歯の方が全体的に沁みるんですよね。柑橘系の飲み物だとか、アルコール類だとワインなんかが特に良くないのですが、それらを飲んだ次の日に頻りにズキズキ痛むんですね。これはもう大学院も博士課程に入ってくらいからずっとだったのですが、この機会にっていうことで嫁に連行されて歯医者さんへ行ってきました。

 そうしたら、右に二か所と、左にも一ヵ所虫歯があるということで、全面的に治療しましょうと言われてしまいまして、この8月頭くらいからちょくちょく歯医者さんへと通っていました。そして、まぁ、色々と見てもらい、治療して貰って来たのですが、一番の右奥に親知らずがありまして、この歯だけはどうしようもないと言われてしまいました。僕の場合は、親知らずが4本中、わずか右上のだけが生えてきている状況でして、残りの3本は埋まったままです。で、左側はいいのですが、右下の親知らずが生えていないために、噛み合わせが出来ずに上は変な方向へ伸びており、しかも今後も怪しい動きをしていくだろうとのことで、そんな右上親知らずが一番ひどい虫歯だったわけです。

 ということで、もうこれは抜くしかありませんという最後通牒を突き付けられてしまいまして、8月31日が刑の執行日と確定しました。あと11日しかありません。嫁が歯医者さんに、旦那はビビりなので宜しくと伝えたらしく、歯医者さんは懇切丁寧に症状から、どうして抜かなきゃ駄目なのか、抜かないとどうなるか等々、色々と優しく説明してくれたのですが、結局は抜くっていうことです。色々なサイトをネットサーフィンをしていると、親知らずを抜糸した人々の悲痛な声で溢れていまして、もうそれらを読んでいるだけで陰鬱な気分になってきます。かなり痛いらしいです。麻酔が切れた後が悲劇らしいです。3−4日は痛みが続くらしいです。ということで、想像するだに落ち込んでいます。。。

28日(金)
 静岡空港をめぐっては、静岡県とJALとの間で、搭乗率が70%を下回った場合に、静岡県からJALへと補填金を支払うという契約があるということで、色々と話題になっています。最初はへぇっと思う程度で聞いていたのですが、どうやら静岡−福岡便においてそのような契約があるらしく、となるとどうしても一言言いたくなってきます。現在の福岡空港は、羽田便を中心にして発着数がかなりタイトな状況でして、補填金を払いながら何とか生き残らせるような路線を、新たに置いておくメリットは全くありません。ただでさえ、時間帯によっては混雑していて飛行機が地上で順番待ちをしている状況なのに、朝や夕の時間帯に、静岡県が補填金を払って無理に搭乗率の低い飛行機を飛ばせているかと思うと解せません。福岡の人間が、静岡空港に向かって飛ぶことなど稀有なケースでしょうし、無理をせず福岡便を止めるのが、静岡県の財政にとっても、JALの経営にとっても良いのではないでしょうかねぇ。

 ところで文部科学省の概算要求の中に、博士課程の院生の中から選抜して、ある程度の人数に年間180万円(月額15万円)を給与として支払う、ということを構想しているみたいです。学振のDCを増加させていることは以前書きましたが、それに加えて学振よりは若干額は少ないものの、こちらも課程の3年間を金銭の不安なく過ごして貰うための制度です。僕らの世代までは日本育英会の奨学金がありましたが、奨学金制度は廃止されて低利借金のみとなってしまったので、その補填の意味合いも強いのでしょう。確かに、修士課程の学生は増加傾向になっていくかと思われますので、博士課程に特化した奨学システムというのは一つのやり方でしょうね。

 ただ現在でている案では問題がありまして、大学に資金を渡して、大学が対象者を選定ということを考えているようですが、そういうのはハラスメントの温床になりやすいので、学振と同じく第3者による研究審査をして選抜するべきでしょうね。研究室につく理系の院生への労働の対価ということが考えられているようですが、これを経済系をはじめとした人文・社会系の院生に対してまで行ってしまうと、全国各地で色々と摩擦が発生してしまうのではと危惧されます。ま、それすら杞憂で、科学技術系に特化した資金になってしまうかも知れませんが・・・

31日(月)
 取るも取ったり308議席とは、小選挙区制度っていうのは本当に劇的な制度です。前回の小泉郵政選挙での大勝も衝撃的でしたが、今回の民主党大勝も衝撃的です。頭では当然こうなると理解していても、中選挙区制度に長らく慣れた身としては、実際の結果が出てくるとやはり驚いてしまいます。しかしマスコミはあまり報道していませんが、前回の小泉郵政選挙の結果が、自民と公明を足して320議席を超えていたのに対し、今回の民主党は308、社民党7、国民新党3、新党日本1、新党大地1でようやくと320議席、みんなの党5を足して衆議院の3分の2をやっと超える程度になっています。つまりは、参議院で否決された法案を衆議院多数で再議決という裏技を、行使が困難なギリギリの線での大勝をしているということになります。

 ところで今回の結果で衝撃だったことは、民主党大勝の裏返しとして、前回の小泉郵政選挙で当選した顔ぶれが軒並み敗退していることです。小選挙区制度ですから、当然と言えば当然なんですが、傍から見ていると代議士というものが極めてリスキーな職業に見えてきます。中選挙区制度下であれば、風が吹こうと暴風雨だろうと、自分の地盤さえ固めておけば勝つことができました。だからこそ、老練な政党政治家というのも生まれたんだと思いますが、小選挙区制度だとよほど選挙に強くない限り、当選と落選を繰り返すことになるという話です。今回の民主党1年生議員の何割かも、次の総選挙では今回の小泉チルドレンのようになるでしょう。

 そう考えると、当選回数がモノをいうような昨今の状況だと、まともな人間は政治を目指さないという事態になっていってしまうでしょう。また、落選期間の資金策や活動など、今回の落選者も、次回以降の落選者も、どうやって捻出しながら過ごしたらいいのでしょうか。このまま与野党ともに当選と落選を重ねる状況だと、議員の小物化がさらに進行するのではと危惧されます。だからと言って中選挙区に戻せば良いかといわれるとこれもまた微妙ですし、都道府県知事などが当選後いきなり総理や大臣を目指すような、そういう構造に自然に向かっていくのが小選挙区制というものなのか、その辺が気になります。

 さて、親知らずの抜歯へ行かねば…