2011年4月

5日(火)
 昨年に札幌で開かれた経営史学会全国大会パネルで報告した内容を、先に『企業家研究』へ研究ノートとして投稿していたのですが、こちらの方から条件付採択というお返事をいただきまして目下手直し中であります。事例研究としてはとても面白い内容だとは思うのですが、奈何せん資料的に限界があるものでして、それを寝かせておくのも何だなぁって言うことで研究ノートとして仕上げたものです。最近は炭鉱関係のペーパーばかりを書いていましたが、久しぶりに陶磁器業のペーパーです。

 ところで話は変わりますが、大学業界には他人の研究を盗む悪い輩たちが横行しているようですので、ご自身および関係者のレジュメや文章等の管理には、皆さん気を付けていただきたいと思います。名誉棄損というのは事実であっても成立してしまいますので、あまり詳しい内容をここで書くことは避けますが、最初に聞いた時には耳を疑うほどの状況でした。具体的に被害者の過去のレジュメや文章と、加害者とされる人物達の文章を比べてみますと、愕然とする事態です。これからどういう対応を取りましょうか。

3日(日)
 問題の東京電力ですが、原子力発電所自体は理論上は安全なものが机上で作れるんでしょうが、今回の東京電力の状況を見ていると、原子力を扱いこなせない人類ということを考えさせられます。福島第一原子力発電所に対しては、事前に各方面から津波対策が不十分であるという指摘がなされていたにもかかわらず、それらを軽視してきた結果が今の惨劇なわけです。産総研やIAEAなど国内外の諸機関からの警告を、何故に軽視してきたのかということを東京電力は明らかにする責任があるのではないでしょうか。

 あと現実問題として、今後、日本国内で原子力発電所を増やしていくことは難しいでしょうから、代替エネルギーをどうしていくべきかというのが主要な論点になっていくことでしょう。風力、地熱、太陽光、小規模水力などなど、色々と取り組まれてきてはいますが、原子力発電所がまかなっていた大量の電力量をどうしていくべきか、今後は国策的にこちらの方面の開発を推し進めていくしか道はないのではないでしょうかね。リスクに目を瞑った見かけだけのクリーンさは終わっていくことでしょう。

4日(月)
 自衛隊による福島第一原子力発電所での活動を見ていますと、ふと吉田茂の演説が頭をよぎります。1957(昭和32)年の防衛大学校卒業式での演説です。「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが国民や日本は幸せなのだ。どうか耐えて貰いたい。」

 今我々は、福島第一原子力発電所で放射能と戦っている自衛隊員らを、固唾を飲みながら応援している状況です。国民や日本が幸せな時代ではなくなってしまったという事でしょう。吉田茂の演説から半世紀を経て、彼の演説を卒業式で聞いたような面々は引退し、完全に世代交代をし終わった自衛隊ですが、それがこうして国民の感謝や歓迎の中にいる事態というのは、しかも広島や長崎に続く3度目の放射能の惨禍でのこととは、本当にやりきれないですね。

12日(火)
 カミさんと一緒にブラブラと散歩をしていたところ、良く分からない何もないところで突然立ち止まりまして、おもむろにカメラを取り出してパシパシと撮影している事が間々あったんですね。普通のビル街など街並みなんかを写す趣味でもあったのかな、結婚4年目にしてもまだまだよく知らない趣味があるなぁっと思っていたのですが、どうやら研究対象の跡地やら何やらの現在の情景を撮影しておきたかったようです。

 カミさんは今、渡辺鉄工所という福岡の鉄工会社さんについて調べているのですが、確かに言われてみますと、渡辺鉄工所関係のビルやら工場ばかりが撮影されていまして、ただビル街の光景が美しくて撮影していたんじゃないのかと納得した次第であります。渡辺鉄工所というのは、戦時中には海軍とつながりが深い中小企業だったというお話なんですが、如何せん、機械の細かい話が出てきて話がチンプンカンプンでして、陶磁器やら石炭やらといった商品を見ている身としましては、彼女が語っている機械関係の単語に圧倒される日々であります。

13日(水)
 大学業界には他人の研究を盗む悪い輩たちが横行しているようですので、ご自身および関係者のレジュメや文章等の管理には、皆さん気を付けていただきたいと思います。名誉棄損というのは事実であっても成立してしまいますので、あまり詳しい内容をここで書くことは避けますが、最初に聞いた時には耳を疑うほどの状況でした。具体的に被害者の過去のレジュメや文章と、加害者とされる人物達の文章を比べてみますと、愕然とする事態です。このような事態が許されて良い筈がありませんので、加害者達に鉄槌が下されるよう生涯かけて追及していく決意を新たにしたところです。

25日(月)
 東日本大震災からの復興に向けて、消費の自粛というのが一番の足枷になりかねないということはよく言われることです。2万人を超える死者・行方不明者を出して、鎮魂の気持ちから派手な行動を控えようというのは当然の人情なんですが、生き残った人たちの立ち直りにとっては自粛は全く意図と逆の効果を生みだしてしまいます。気持が自粛に向いている時こそ、かえって消費を増やすぐらいの方が、直接的に大震災に被災しなかった人々がとるべき行動かと思っています。

 というわけで、天神にあります東北物産館、その名も〈みちのく夢プラザ〉という所へと出かけて行きまして、少々東北の物産を買い漁ってきました。東北と言いましても青森、岩手、秋田の3県の共同物産館でして、宮城や福島は入っていないのですが、福岡で出来る範囲でというところです。大震災といっても大津波による被害が大きかったのが今回の特徴ですが、三陸や八戸の幸を色々と物色いたしまして、帆立等をいくつかと、いちご煮っていうのを中心に購入しました。帆立は酒の肴用っていうことでいいとしまして、いちご煮っていうのは初めての体験でして、ウニとアワビのお吸物とのことです。超高級缶詰なので恐れ多くてまだ開封しておりませんが、結構楽しみにしています。

 宮城や福島の物産もどこかで見つけたら購入したいところです。日本全国の消費者が、機会がある時にで良いので、普段の買い物の延長で何か被災地の品を購入していったら、一人一人の貢献はほんのチョッとだけですが、前へ歩みを進めていけると確信しています。