2015年2月

9日
 最高気温が5℃を下回りまして小雪もちらつく福岡の冬でして、九州大学のキャンパス内ではウグイス達が群れを作って飛び交っているという風情ある一コマでした。都市の中心部としては大学キャンパスっていうのは緑が残っているエリアでもありますから、結構珍しい鳥などもいますし、箱崎から大学が移転した後にも、緑のエリアっていうのは確保して貰いたいなぁっと思うところです。

 こういう寒い季節にはスープが美味しいですが、今年の冬は牛乳スープに嵌っています。昨年に小国へと旅行したために小国ジャージー牛乳の虜になったというのもありますが、カミさんが冷蔵庫の牛乳の処分につくってくれた牛乳スープが美味しくて、何度もリクエストをリピートしているところです。基本的には洋風スープのところに牛乳を入れているだけですが、菜の花だとか、セロリだとか、タマネギだとか、白菜だとかいった野菜類に、肉類は鶏肉かハムの相性が良いですね。クリームシチューとはまた違いまして、牛乳スープっていうのはそれよりも若干軽い口当たりのスープですし、何よりも胃に優しい感じが嬉しいところです。

 やはり冬と春の境目には、菜の花のほろ苦さが季節を実感させてくれまして、九大の伊都キャンパスよりも更に西側の糸島市あたりが菜の花に力を入れていることもあり、1月には菜の花がかなり市場に溢れます。菜の花っていうのは3月くらいの食材だと思っていた身には中々衝撃的ですが、福岡の早い春の味を堪能できるのも菜の花の嬉しいところでしょうか。

20日(金)
 玄海灘のカマスっていうのがこれまた美味しいのですが、この前、港のオバちゃんから説明を受けたところ、カマスには青カマスと赤カマスって言うのがいて、値段が安くて一般的にいるのは青カマスで、この青カマスでも充分美味しいのだけれども、せっかく港まで来たのならば赤カマスがお勧めだって言うことで、この赤カマスを調達して帰ったのでした。確かに色をよく見てみると、赤カマスの方はほんのりと体の一部が赤くなっていまして、始めて買ってみました。ちなみに、色だけではなくて背びれと胸びれの位置で判別できると云うことです。

 味のほうは、両方を買って比べてみたのでよく分ったのですが、確かに赤カマスのほうが旨み成分が濃いです。ちなみに両方とも干物でして、塩梅も全く同じくらいなのにも関わらず、赤カマスのほうが味が深いです。青カマス単体で食べているとそれで充分に美味しいのであまり気付きませんが、赤カマスと食べ比べをすると違いが分ります。というわけで、またカマスの干物を目で探してしまいます。

23日(月)
 ネスカフェのCMで違いのわかる男を演じていた坂東八十助が思い出されますが、十代目坂東三津五郎がすい臓がんで亡くなりました。59歳。十八代目中村勘三郎、十二代目市川団十郎につづいての大名跡の死去によって、歌舞伎界へと人が呼べる人が次々といなくなっていくと云う状況です。江戸歌舞伎が衰退しないように、なんとか残った人々で盛り上げていって貰いたいものですし、故人たちも今はそれを望んでいることでしょう。

 ところで、歌舞伎座の呪いというお話があるようですが、歌舞伎座の建て替えの際に歌舞伎稲荷神社を粗末に扱ってしまったということで、御稲荷さんの祟りではないかという噂話があります。歌舞伎座の御稲荷さんは、元々は八丁堀の鉄砲洲稲荷神社からの分祀という歴史ある御稲荷さんでして、そこを丁重に遇しないのはいけませんね。新歌舞伎座が完成した際には、新しい神社を建てて遷座祭もやったみたいですが。。。

 話は変わりますが、冬は煮込み料理が美味しい季節です。鶏の手羽元が安かったので大量の鶏の手羽煮を作ってもらったのですが、それがある程度減ってから、なんと大根の投入です。大根っていうのは旨み成分を良く吸い込む食材ですが、手羽煮の鶏の旨みやら、それを煮た煮汁の旨みやら、大根自体の旨みやらが合わさって、トロットロの絶品へと変化していきます。あめ色となった大根っていうのは幸せを具現化した存在でして、病み付きになってしまいますね。ちなみに、鶏も大根も全部食べ終わった後は、プリン体のことが心の片隅をよぎっては行くものの、冷やして煮こごりを堪能しないではいられないのです。