2016年9月

13日(火)
 しばらく沖縄へと調査へ行っていましたが、箱崎宮の放生会が始まったこともあり福岡へようやくと戻って参りました。沖縄は外国人旅行客が3割以上増加、日本人旅行客も7%弱の増加ということで、百貨店・スーパー・コンビニ等の売り上げも6%近く増加していまして、驚くほどの好景気に沸いています。街中も、行く度に人も車も増えている状況でして、コンスタントに沖縄へ調査へ行っている身としては、その変化がありありと感じ取れます。

 福岡の街も再開発ラッシュですが、それに輪をかけて那覇の街は再開発ラッシュでして、もう何処へ行ってもそこら中が工事中です。福岡と那覇を比較してみますと、都市の規模としては福岡のほうが圧倒的に大きいのですが、都市開発という点では那覇の方が上手です。道路計画とかが上手いのは以前にも書きましたが、それに加えて那覇が上手なのは建物や施設の維持・メンテナンスです。

 福岡の街は、建てた時、設置した時には見事で美しいのですが、その維持・メンテナンスというのがとても下手糞です。それに対して那覇は、一度建設・設置した建物や施設を、その都度その都度、上手い具合に手入れをしてやりながら、長く美しく使い続けています。巨大台風がしばしば襲来するという那覇の立地から、常に建物や施設に手を入れざるを得ないところからきているのでしょうが、それが却って那覇の街の美しさを維持しています。景気がいいこともあり、建設ラッシュに加え那覇は修繕ラッシュでもあります。

 一方で福岡の街は、台風もかなり勢力が衰えてからしか到来しませんし、自然風土的には恵まれています。そのために、そこまで無理して維持・メンテナンスをしなくても、建物や施設はそれ程壊れません。だからこそ、福岡では維持・メンテナンスという発想が弱くなってしまったのではというのが宮地的な仮説です。しかしそれは、建物や施設の美観という意味ではマイナスでして、高圧洗浄した方がいい建物や、修繕した方がいい施設、塗りなおした方がいい看板、もっと手を入れた方がいい公共施設・民間施設などのオンパレードです。

 福岡も那覇程ではないにしろそれなりに景気がいい状況ですから、その成長分を街の維持・メンテナンスに向けていくと、もっと魅力的になるのにと思った那覇路でした。

18日(日)
 箱崎の放生会は例年雨が多いのですが、今年も変わらず雨の放生会です。「梨も柿も放生会」とか「梨柿栗も放生会」とか色々なバージョンがありますが、秋の収穫をお祝いするのも箱崎の放生会です。そんな中、我が家では新生姜を毎年買い込んでいます。この生姜を売っているのは黒田官兵衛ゆかりでして、荒木村重に有岡城で幽閉されている時に牢番をしていた加藤重徳ですが、後年、黒田官兵衛が箱崎宮へ来た際に再開を果たし、新生姜を贈ったという故事に基づいているのです。ちなみに今売られているのは、毎日長崎から新鮮な新生姜が届けられているのだとか。

 この新生姜ですが、カミさんに鹿児島の黒酢と沖縄のザラメと長崎の昆布で甘酢漬けにして貰うのが絶品でして、スーパーで売っている新生姜とは全く違います。新生姜っていうのは葉付きのままの掘ったばかりの鮮度と、少し時間が経ってしまってからの鮮度では、全く味が違います。葉の部分はハジカミにしてこれも甘酢漬けにしますが、とにかく美味しい。ジンジャーシロップを作るのもお勧めと聞いたのですが、我が家では甘酢漬けが一番です。

 ところで放生会もあって福岡へ戻ってきましたが、沖縄からウリズンなるものを持ち帰って来ました。和名は四角豆っていうらしいですが、このウリズンの天麩羅が絶品という噂をカミさんが聞き付けてきまして初挑戦です。最初食べた時は、フーンって言うだけだったのですが、なんか食べているうちに中毒性が出てきます。食べれば食べるほど止まらなくなってしまう謎の豆でして、このウリズンは絶品です。今まであまり沖縄で気付かなかったのが何故かは謎ですが、また一つ美味しいものを見つけてしまったのでした。