| 2025年10月 |
2日(木)
選挙といえばJR九州の〈駅長対抗ご当地麺総選挙〉をやっていまして、JR久留米駅長のお薦めは〈田中の麵屋〉さんのうどんとのこと。僕も〈田中の麵屋〉さんへ行ったことはありまして、めっちゃ美味しいことは間違いないのですが、お店の場所ってJR久留米駅から車で30分はかからないけれど、20分だと着かないかなぁっていうくらいの距離にあります。久留米近辺に住んでいる人ならば、車で行くのに良い場所ですので、JR久留米駅の駅長さんも休日に食べに行って感動したんだろうなっとは思います。
でも、わざわざ電車に乗ってJR久留米駅まで来て、〈田中の麵屋〉さんに行くほどのうどん好きはそれ程いないだろと、突っ込みたくはなります。昨今はわざわざ久留米までグルメを楽しみに来る観光客さんたちもいますが、だいたい豚骨ラーメンと焼き鳥が目当てです。他にも美味しいお店はたくさんありますが、ほぼイメージ的に久留米は豚骨ラーメンと焼き鳥でして、それ以外を電車にまで乗って食べに来るお客さんってあんまりいないよなぁっていう感じです。
豚骨ラーメンや焼き鳥に続くグルメとしては、鰻屋さんもけっこう名店揃いなのですが、鰻は柳川の方へと行っちゃうでしょうしね。あとは牛も豚も肉類全般が美味しく隠れた名店は沢山知っていますが、これも他地域よりも久留米へとはなっていませんね。うどんは〈田中の麵屋〉をはじめ、〈立花うどん〉〈正八郎うどん〉〈至誠〉〈久留米荘〉〈德兵衛うどん〉など名店揃いですし、さらには鳥栖の〈人力うどん〉や太刀洗の〈あずみうどん〉の支店などもあり激戦区ですが、わざわざ久留米までうどんを食べに来る人は少ないのではないでしょうかね。
まぁ、久留米で好きな豚骨ラーメン屋さんの話になると、どのお店がいいのかという話が、複数店舗がある場合には〇〇店よりも〇×店の方がいいというレベルでの話になってしまいます。以前、藤井フミヤが〈大砲ラーメン〉で撮影をしていましたが、あれが本店ではなく合川店だったので、本店に撮影を拒否されたのか、それとも合川店の味が好きなのかと、色々と議論のタネになっていたこともありました。
そういう状況ですからJR久留米駅長さんとしては、大きな対立を市内で発生させないためにも、豚骨ラーメンの推しを代表として出すのは避けたのかも知れませんね。〈田中の麵屋〉さんはもともと田中製麺所でして、そこの商品がJR久留米駅で買えるんですよね。そういう大人な事情もあるんだろうなと思いながら、今回の選挙を見ているのでした。
8日(水)
高市早苗議員がガラスの天井を打ち破って自民党総裁に就任したのは驚きでした。総理の座へのガラスの天井を割るまであと少しという感じですが、ガラスの天井が壊れていく様を見るのは小気味良いものがあります。サッチャーを尊敬する政治家として挙げていますが、政策的にはけっこうマーガレット・サッチャーとも違うところが多々ありまして、どうなっていくのか楽しみです。
ところでそれよりも今回の注目は小泉進次郎議員の2回連続の敗戦についてでしょう。前回の敗因としては解雇規制の緩和がありますが、今回の敗因はカンペ読みにステマなどでしょうか。なんて言うかひとまとめにして、取り巻きが悪いというのをヒシヒシと感じます。昔、小沢一郎幹事長(当時)が海部俊樹を総理総裁へと担ぐときに、「神輿は軽くてパーがいい」と言ったという伝説が残っていますが、まさにあの時の小沢一郎の心境を小泉進次郎議員の回りの人たちは垂れ流しているように見えます。
小泉進次郎議員は44歳。もし総理大臣になれば、初代の伊藤博文と並ぶ若さでの首相就任。戦後だと安倍首相で52歳、田中角栄首相で54歳ですから、44歳というのはかなりの若さです。そして、幕末の動乱を駆け抜けた伊藤博文と、小泉進次郎議員が同じだけの経験とリーダーシップがあったのかという問題になってきます。
そんな中で、総裁選の投票日の前夜に、議員会館で予祝会として宴会をやっていたというニュースには唖然とします。軽くてパーな神輿を担いで我が世の春を謳歌するという心持の議員たちが集まって開いた会なのでしょうが、そんな取り巻きばかりの小泉進次郎議員には不安が集まって当然だったことでしょう。
しかし最大のハイライトは、茂木敏充候補と小林鷹之候補へと票を流してGoodLoserにしておき、決選投票で倍返し3倍返しをしてもらうという麻生太郎元首相によるキングメーカーっぷりでしょうかね。ゴッドファーザーのテーマソングが勝手に頭の中で流れていました。
15日(水)
妹家族が九州まで来たため、一緒に呼子へとイカを食べに行って来ました。なにげに僕も呼子は初体験でして、妹は子どもの頃からの無性のイカ好きなために是非ともと行ってきたのでした。妹の子どもたちはそこまでイカを好きな訳でもないらしく、妹としては子どもたちをイカ好きに洗脳する目的もあって連れて行きたかったようです。僕はイカよりもサバ派なのですが、さすがに呼子まで行ったのでイカを食べました。
福岡にいるとイカの刺身が半透明なのは当然だと思ってしまいますが、岐阜は海無し県なために過熱して白くなったイカしか食べられませんから、なかなかの新鮮な体験だったようです。刺身も美味しいですが、後造りの塩焼きや天婦羅も美味しいですよね。洗脳もそれなりに上手くいったようで、次からは一緒にイカを食べてもらえることでしょう。
ところで、なかなか次の首相が決まりませんね。自民党の高市早苗総裁か、国民民主党の玉木雄一郎代表か、という線で話が進んでいるようですが、どちらが首相になっても少数与党の内閣になることは確実です。しかも深刻なのは、衆議院どころか参議院でもどこも過半数がとれないところ。それくらいに石破自民党の連続での負けっぷりは惨めでしたし、野田立憲の勝てなさっぷりも微妙でした。
衆議院は1回の選挙でどこかが過半数を取る可能性がありますが、参議院は最低でも6年間は過半数を取れるところは無いでしょう。ということは、最低でも6年間は何らかの連立政権でないと安定しないことになりますから、選挙管理内閣という訳にもいかないし、まぁどう転んでも大変でしょうねぇ。
21日(火)
ようやくと高市内閣が誕生する運びになりまして、憲政史上初の女性首相が誕生することになります。ガラスの天井を打ち破りました。高市内閣が長期政権となるのか、はたまた連立のごたごたで短期政権に終わってしまうのか、それとも程々の中期政権になるのかは分かりませんが、初の女性総理ということで歴史に刻まれる事になったわけです。
ところで女性総理といえば、その可能性としては土井たか子元衆議院議長などもあったわけです。1989年のマドンナ旋風の際には参議院での首班指名を受けています。その後の選挙で負けて党首の座を田辺誠へと渡し、田辺誠が金丸信の裏金問題に連座して辞任すると党首は山花郁夫へと変わっていきました。この山花郁夫党首の時に1993年の細川護熙内閣が誕生しますが、社会党自体は選挙で大敗していたために引責辞任をして党首は村山富市へと代わったわけです。
さて話は1993年ですが、細川護熙内閣は非自民非共産の8党連立政権でしたが、その際の比較第1党は自民党でした。連立政権側はここで、衆議院議長ポストまで奪いに行くわけです。その際に担がれたのが土井たか子であり、史上初の女性の議長が誕生したのでした。これもまた1つのガラスの天井を打ち破った事象でして、その後には参議院ですが扇千景議長や山東昭子議長へと繋がっていきます。
ところでここで〈if〉なのですが、非自民非共産政権が土井たか子衆議院議長をj実現していなければ、山花郁夫の次の党首には土井たか子が再登板という可能性だってあったわけです。そして、社会党の党首が土井たか子だったときに、非自民非共産政権が崩壊した後に果たして自社さ連立の土井たか子政権ができていたのであろうか、と思案してしまいます。僕は多分ですが、土井たか子が社会党党首だったならば自社さ連立政権は無かったんじゃないのかなぁっと思っています。
土井たか子という政治家は、北朝鮮の拉致問題などへの対応を含めて批判も多い人物です。しかしながらそういう政策的な問題はさて置き、村山富市という国対畑の男性議員だったからこその自社さ政権であって、土井たか子という女性議員では当時はまだ首相にはなれなかっただろうなぁっと感覚的に思うわけです。逆に言えば、土井たか子衆議院議長ということで衆議院議長のガラスの天井が打ち破られたことが、今回の高市早苗首相へと繋がっているのだとも思います。
土井たか子は、イギリスでマーガレット・サッチャー政権が誕生した事について、イギリスには女性首相がいるのだということを喜んでいました。その点について、政策的に土井社会党とは真逆なサッチャー首相について喜ぶことへの批判的な声も多くありました。サッチャー政権に対する土井たか子のスタンスへの批判に触れた10代の頃の僕は、その批判の声にそうだそうだと同意をしたものです。
しかしながら今なら分かりますが、政策の賛成反対はさて置き、ガラスの天井を破った人がいるということは、政策とは関係なくそのポストへの女性の可能性がグッと広がるということを意味します。発展途上国ではなく、G7のイギリスで女性首相が誕生したことは、その後の多くの国での女性首相へと道を開いたことでしょう。サッチャー首相には、そういう世界史的な意義があります。そういう意味でいえば、土井たか子衆議院議長がいたからこその、扇千景参議院議長であり山東昭子参議院議長がスムースに誕生したわけです。
高市早苗首相が誕生したということは、これからの後ずっと、保守的な議員からも革新的な議員からも、現在の与党・野党関係なく女性だからと言ってのガラスの天井の悩みはグッと小さくなります。氷の天井かサランラップの天井くらいは残るかも知れませんが、ある種、肩ひじを張らずに選択肢の一つとして今後は女性首相の可能性があり続けることになります。そういう意味で、土井たか子元衆議院議長でも破れなかった、そして小池百合子都知事でも敗れなかった、首相へのガラスの天井を打ち破った高市首相に大きなエールを送りたいと思うのです。