研究者を目指す人へ(3)

★学会報告へ向けて
 実は、日本史の分野ではあまり学会報告って言うのは頻繁ではありませんでして、経済史が学会重視なのは経済学系の影響ですね。なので、日本史系の院生の場合は、あまり必要ではない情報かもしれません。と言うか、法学部とかもあまり大学院生の学会報告とか聞かないので、文系では実は特殊なんでしょうか?

 学会報告とは、経済史の場合は40分くらいの報告時間が与えられますが、実はこの40分では論文1本分の報告は出来ません。論文を書いてから報告という順番だと、無茶苦茶早口で、ほとんど何が伝えたいのか訳が分からないという事態に陥りがちです。ですから、論文としてはチョッと物足りないくらいの分量で、しかし論文には載せられないくらいのたくさんのデータ掲載して、顔見世のアピールの場だというくらいの心つもりで報告するのがお薦めです。全国大会などでは、報告時間の厳守が出きるかどうかも、結構見られていたりします。5分も10分も超えて、ダラダラと報告しているような報告者は、チョッと同僚にするのはどうかと思われてしまうので気をつけてください。僕は読上げ原稿を作って、時間をオーバーしないように準備していっていました。部会とかだと、そんなに厳密に時間を守らなくても大丈夫ですけど、全国大会は要注意です。

 学会報告は報告する事も重要ですが、報告が終わった後の懇親会も重要です。大学院生なんていうのは、未だ誰にも名前を知られていない存在なんですから、将来の就職戦線に向けて、自分の存在をアピールする必要があります。報告を聞きに来てくれた人で、研究に興味を持って声をかけて貰えるケースもありますが、基本的には自分から挨拶回りをするしかありません。しかし、学会デビューしたばかりの大学院生では、誰が誰だかさえよく分からないと思われます。なので、指導教官や先輩にお願いして、他の大学の色んな先生へと挨拶回りをし、色々と聞きたい事を聞いて、教えを受けるように心がけましょう。懇親会で仲間内で固まっている大学院生の姿を目にする事がありますが、懇親会代の無駄だと思うのですが・・・懇親会で挨拶をし、後述する論文を書いた時に抜刷なんかを送って、色々コメントを貰えるようになれば、より自分の研究にとってプラスになりますよ。 

★学会誌への投稿
 さて、経済史の場合には、学会報告を踏まえて投稿をするのが一般的です。勿論学会報告をせずに投稿をしてもいいのですが、報告→投稿だと、業績がチョッだけですがと水増しできたりします。この学会誌への投稿と言うのがなかなか曲者でして、昨今の傾向では、基本的にレフリー誌への論文が無ければ学振も取れないですし、ましてや研究職への就職も困難となっています。レフリー誌へ掲載される水準の論文を、紀要や共同論文集に掲載してしまうと、就職の際に評価が下がってしまうことが多いので、研究職に就くまではレフリー誌重視で行った方が無難です。

 レフリー誌は各分野ごとに色々とあると思いますが、注意しなければいけないのは、雑誌ごとに投稿規程が異なっていることです。脚注のつけ方や、数字の表記の仕方、句読点の打ち方、ほんと細々とよくこんなにまちまちに規定を付けたもんだと呆れ果ててしまいますが、冗談抜きでこれが面倒くさい。大体は自分の好きなスタイルで文章を書いて、投稿先の規定に従ってヴァージョンアップさせるという人が多いと思いますが、間違えないように気をつけてくださいね。あと、雑誌の表記と投稿規程は、必ずしも一致していませんので、掲載された論文を見て勝手に書式を判断することなく、投稿規程を注意して読み込むことが肝要です。

 あと、政治経済学・経済史学会の編集委員会の雑用をしていた関係で、色々と見ていたのですが、驚くほどに制限枚数を守らず投稿しているケースが見られます。そう言う場合は、審査に図られること無く問答無用で返却となってしまい、貴重な大学院の時間を無駄にする事になりますので注意してください。図表の割合を規定している雑誌もありますし、図表の枚数換算には特に気をつけた方がいいですよ。というか、ちゃんと投稿規程を読んで投稿してください。あと、教官が10年も20年も前の経験則で、大学院生に変なアドバイスしちゃって、大学院生がその情報に踊らされるケースを目にしましたが、今は21世紀です。20世紀の慣習が続いている保障などありませんよ。ちゃんと投稿規程に従いましょう。

 審査が終わると論文が返ってきますが、1発で掲載可となるのは大学院生の場合1〜2割くらいでしょうか(経験則)。職を得ている研究者でも、いきなり掲載可を貰うのは2〜3割くらいです(経験則です)。殆どが、一度はもうチョッとここを直せというコメントが付けられることになります。基本的にはコメントに沿って論文を書き換えれば、掲載可に近づくこととなります。まぁ例外もあり得るので、あまりにも審査者との相性が悪いと思ったら、別の雑誌へ投稿先を変えるという選択肢もあるかも知れませんが。。。

 さぁ、論文を1本完成させると、次の研究に移らなければいけません。   →つづく